大学入試センター試験 2017年(平成29年) 本試 数学ⅠA 第2問 [2] 解説
(1)
⓪~⑥の選択肢をひとつずつ確認しよう。
⓪ $X$と$V$の相関図と、$X$と$Y$の相関図を比較すると、後者の点の分布の方が直線に近い。なので、$X$と$Y$の方が相関が強いと考えられるから、誤り。
① $X$と$Y$の相関図を見ると、点は傾きが正の直線状に分布している。なので、正の相関が考えられるから、正しい。
②
$X$と$V$の相関図の$V$が最大の点(図Aの赤い点)は、$X$は最大ではない。なので、誤り。
③
$Y$と$V$の相関図の$V$が最大の点(図Bの赤い点)は、$Y$は最大ではない。なので、誤り。
④
$X$と$Y$の相関図の$Y$が最小の点(図Cの赤い点)は、$X$は最小ではない。なので、正しい。
⑤
$X$と$V$の相関図の$X$が$80$以上の点(図Dの赤い点)には、$V$が$93$未満のものも含まれる。なので、誤り。
⑥
$Y$と$V$の相関図の、$Y$が$55$以上で$V$が$94$以上の範囲(図Eの赤い領域)に点はない。なので、正しい。
以上より、正しいものは①④⑥である。
解答シ:1, ス:4, セ:6 (順不同)
(2)
次は、データの変換と統計量の問題だ。
まずは復習から始めよう。
復習
もとのデータを$\{x_{1}$,$x_{2}$,$x_{3}$,$\cdots$,$x_{n}\}$とし、
平均値が$\overline{x}$
分散が$s^{2}$
標準偏差が$s$
とする。
$y=ax+b$($a$,$b$は定数)としてデータ$\{y\}$をつくると、
$\{y_{1}=ax_{1}+b$,
$\{$$ y_{2}=ax_{2}+b$,
$\{$$ y_{3}=ax_{3}+b$,
$\{$$\vdots$
$\{$$ y_{n}=ax_{n}+b\}$
となる。
このとき、$\{y\}$の
平均値は$a\overline{x}+b$
分散は$a^{2}s^{2}$式B
標準偏差は$|a|s$
となる。
詳しくはこのページ参照。
$X=1.80\times(D-125.0)+60.0$
を変形すると
$X=1.80D+(-125.0\times 1.80+60.0)$式C
なので、復習の式Bから、$X$の分散は$D$の分散の$1.80^{2}$倍である。
$1.80^{2}=3.24$
より、ソは④である。
解答ソ:4
さらに、共分散と相関係数の復習もしておこう。
復習
データ$\{x\}$と$\{y\}$があって。その
共分散が$s_{xy}$
相関係数が$r_{xy}$
とする。
定数$a$,$b$,$c$,$d$を使って、
$u=ax+b$としてデータ$\{u\}$,
$v=cy+d$としてデータ$\{v\}$
をつくるとき、$\{u\}$と$\{v\}$の
共分散は$ac\cdot s_{xy}$になる。式D
相関係数は
$a$と$c$が同符号のとき、$r_{xy}$で不変。式E
$a$と$c$が異符号のとき、$-r_{xy}$になる。
$b$,$d$は共分散,相関係数には影響がない。
式C,式Dより、$X$と$Y$の共分散は、$D$と$Y$の共分散の1.80倍である。
なので、タは③である。
解答タ:3
また、式C,式Eより、$X$と$Y$の相関係数は、$D$と$Y$の相関係数と変わらない。
なので、チは②である。
解答チ:2
(3)
まず、箱ひげ図の復習から。
復習
四分位範囲は、第3四分位数$-$第1四分位数
問題文中に「1回目の$X+Y$の最小値は$108.0$であった」とある。
ヒストグラムを見ると、
Aは最小値が$105$~$110$の階級
Bは最小値が$100$~$105$の階級
なので、Aが1回目であることが分かる。
一方、箱ひげ図を見ると、
aは最小値が$105$~$110$の間
bは最小値が$100$~$105$の間
なので、aが1回目であることが分かる。
よって、正しい組合せはA-aの⓪である。
解答ツ:0
テは、選択肢の⓪~③をひとつずつ検討する。
⓪ 箱ひげ図を見ると、1回目の四分位範囲は$15$未満で、2回目の四分位範囲は$15$をわずかに超えている。なので、誤り。
① 1回目の中央値は$123$付近、2回目の中央値は$113$付近なので、正しい。
② 1回目の最大値は$143$付近、2回目の最大値は$141$~$142$付近なので、誤り。
③ 1回目の最小値は$108.0$、2回目の最大値は$103$付近なので、誤り。
よって、正しいものは①である。
解答テ:1