大学入試センター試験 2017年(平成29年) 本試 数学ⅠA 第1問 [3] 解説
セ~ト
$g(x)$の式を平方完成する。
$g(x)=x^{2}-2(3a^{2}+5a)x+18a^{4}+30a^{3}+49a^{2}+16$
の右辺に$(3a^{2}+5a)^{2}$をたして引いて、
$g(x)$$=x^{2}-2(3a^{2}+5a)x+(3a^{2}+5a)^{2}-(3a^{2}+5a)$
$+18a^{4}+30a^{3}+49a^{2}+16$
$g(x)$$=\{x^{2}-2(3a^{2}+5a)x+(3a^{2}+5a)^{2}\}$
$-(9a^{4}+30a^{3}+25a^{2})$
$+18a^{4}+30a^{3}+49a^{2}+16$
$g(x)$$=\{x-(3a^{2}+5a)\}^{2}+9a^{4}+24a^{2}+16$
となる。
なので、頂点の座標は
$(3a^{2}+5a,9a^{4}+24a^{2}+16)$
である。
解答セ:3, ソ:5, タ:9, チ:2, ツ:4, テ:1, ト:6
別解
文字を含む式の平方完成が嫌いな人向けにはこんな解き方もある。
復習
$y=ax^{2}+bx+c$のグラフの頂点の$x$座標は
$\displaystyle \frac{-b}{2a}$
だった。
この考え方を使って、頂点の$x$座標は、
$x=\displaystyle \frac{2(3a^{2}+5a)}{2}$
$x$$=3a^{2}+5a$
解答セ:3, ソ:5
頂点の$y$座標は、これを$g(x)$の式に代入して、
$y=(3a^{2}+5a)^{2}-2(3a^{2}+5a)(3a^{2}+5a)$
$+18a^{4}+30a^{3}+49a^{2}+16$
あとはひたすら計算だ。
$y$$=$$(3a^{2}+5a)^{2}$$-2$$(3a^{2}+5a)^{2}$
$+18a^{4}+30a^{3}+49a^{2}+16$
赤い部分が共通なので、共通因数として、
$y$$=(3a^{2}+5a)^{2}(1-2)+18a^{4}+30a^{3}+49a^{2}+16$
$y$$=-(3a^{2}+5a)^{2}+18a^{4}+30a^{3}+49a^{2}+16$
$y$$=-(9a^{4}+30a^{3}+25a^{2})+18a^{4}+30a^{3}+49a^{2}+16$
$y$$=9a^{4}+24a^{2}+16$
となる。
解答タ:9, チ:2, ツ:4, テ:1, ト:6
ナ~ネ
頂点の$x$座標を$p$とおくと、
$p=3a^{2}+5a$式A
と書ける。
頂点の$x$座標の最小値は$p$の最小値だから、二次関数の最小値の問題だ。
$a$の定義域は実数全体だから最小値は頂点なので、式Aの頂点の座標を求めよう。
ここでは、式Aの頂点の求めかたを
解法1
平方完成する
解法2
上の復習の方法を使う
解法3
グラフから考える
の3通り解説しておく。
この問題では3通りのうちどの解き方を使っても大差ない。好みで選んでほしい。
解法1
式Aを平方完成する。
$p=3a^{2}+5a$
$p$$\displaystyle =3\left(a^{2}+\frac{5}{3}a\right)$
$p$$\displaystyle =3\left\{a^{2}+\frac{5}{3}a+\left(\frac{5}{6}\right)^{2}-\left(\frac{5}{6}\right)^{2}\right\}$
$p$$\displaystyle =3\left\{a^{2}+\frac{5}{3}a+\left(\frac{5}{6}\right)^{2}\right\}-$$3$$\left(\frac{5}{6}\right)^{2}$
ここで、赤文字の$3$を忘れがちなので注意。
問題文で最小値のときの$a$は問われてないので、$\{\}$部分は計算せずに放置する。
$p$$\displaystyle =3\left\{a^{2}+\frac{5}{3}a+\left(\frac{5}{6}\right)^{2}\right\}-3\cdot\frac{5^{2}}{6^{2}}$
$p$$\displaystyle =3\left\{a^{2}+\frac{5}{3}a+\left(\frac{5}{6}\right)^{2}\right\}-\frac{5^{2}}{2\cdot 6}$
$p$$\displaystyle =3\left\{a^{2}+\frac{5}{3}a+\left(\frac{5}{6}\right)^{2}\right\}-\frac{25}{12}$
となるので、最小値は、
$-\displaystyle \frac{25}{12}$
である。
解答ナ:2, ニ:5, ヌ:1, ネ:2
解法2
上の復習より、式Aの頂点の$a$座標は
$a=\displaystyle \frac{-5}{2\cdot 3}$
$a\displaystyle $$\displaystyle =-\frac{5}{6}$
これを式Aに代入すると、最小値が求められて、
$p=3\cdot\left(-\frac{5}{6}\right)^{2}+5\left(-\frac{5}{6}\right)$
$p$$\displaystyle =\frac{25}{2\cdot 6}-\frac{25}{6}$
$p$$\displaystyle =\frac{25}{2\cdot 6}-\frac{2\cdot 25}{2\cdot 6}$
$p$$\displaystyle =-\frac{25}{12}$
である。
解答ナ:2, ニ:5, ヌ:1, ネ:2
解法3
式Aは
$p=3a^{2}+5a$
$p$$=3a\left(a+\frac{5}{3}\right)$
と因数分解できるので、グラフは図Aのような形になる。
横軸との交点の$a$座標は
$-\displaystyle \frac{5}{3}$,$0$
なので、この中点の
$\displaystyle \frac{-\frac{5}{3}+0}{2}=-\frac{5}{6}$
が、放物線の軸だ。
これを式Aに代入すると、最小値が求められて、
$p=3\cdot\left(-\frac{5}{6}\right)^{2}+5\left(-\frac{5}{6}\right)$
$p\displaystyle $$\displaystyle =\frac{25}{2\cdot 6}-\frac{25}{6}$
$p\displaystyle $$\displaystyle =\frac{25}{2\cdot 6}-\frac{2\cdot 25}{2\cdot 6}$
$p\displaystyle $$\displaystyle =-\frac{25}{12}$
である。
解答ナ:2, ニ:5, ヌ:1, ネ:2
ノ,ハ
$g(x)$の頂点の$y$座標を$q$とおくと、
$q=9a^{4}+24a^{2}+16$式B
と書ける。
ここで、
$a^{2}=t$
とすると、
$0\leqq t$式C
であり、式Bは
$q=9t^{2}+24t+16$式B'
となる。
このグラフの頂点の$t$座標は
$\displaystyle \frac{-24}{2\cdot 9}=-\frac{4}{3}$
である。
以上より、式B'のグラフを描くと、図Bができる。
図Bより、$q$が最小になるのは$t=0$のとき。
最小値は、式B'に$t=0$を代入して、
$16$
である。
解答ノ:1, ハ:6