大学入試センター試験 2020年(令和2年) 本試 数学ⅡB 第1問 [1] 解説

(1)

まず、加法定理の復習から。

公式

sin(α±β)=sinαcosβ±cosαsinβ
cos(α±β)=cosαcosβsinαsinβ
tan(α±β)=tanα±tanβ1tanαtanβ

加法定理より
cos(θπ3)=cosθcosπ3+sinθsinπ3
より
cos(θπ3)=12cosθ+32sinθ

この両辺に3をかけて、①の右辺は、
3cos(θπ3)=32cosθ+32sinθ
となる。

解答ア:3, イ:2, ウ:3

よって、①は、
sinθ>32cosθ+32sinθ
より
32cosθ+12sinθ<0①'
と変形できる。


ここで、三角関数の合成の復習だ。

復習

大学入試センター試験2020年本試 数学ⅡB第1問[1] 復習図

asinθ+bcosθ=rsin(θ+α)

図は0<a0<bのとき

図A
大学入試センター試験2020年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図A

なので、図Aより、①'は
sin(θ+π3)<0①''
となる。

解答エ:3


あとは、見慣れた三角不等式だ。

θ+π3=A式A
とおくと、①''は
sinA<0
とかける。

また、0θ<2πなので、Aの定義域は
π3θ+π3<2π+π3
より、
π3A<2π+π3
である。

以上をグラフにすると、図Bができる。
緑は、定義域だ。

図B
大学入試センター試験2020年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図B

今は、
sinA<0
となる範囲を問われている。

sinAが負になるのは、単位円のy座標が負になる部分。つまり、図のオレンジの部分。
なので、緑とオレンジの重なる範囲、つまり赤い部分が答えだ。

よって、
π<A<2π式B
となる。

このAの範囲をθの範囲に変換する。

式Bに式Aを代入して、
π<θ+π3<2π
より、求めるθの範囲は
23π<θ<53π
である。

解答オ:2, カ:3, キ:5, ク:3

(2)

まず、解と係数の関係について復習だ。

復習

二次方程式
ax2+bx+c=0
の2つの解をαβとすると、
α+β=ba αβ=ca である。

25x235x+k=0式C
の解が
sinθcosθ
なので、復習より、
sinθ+cosθ=3525
sinθ+cosθ=75式D1
sinθcosθ=k25式D2 とかける。


式D1の両辺を2乗すると、
(sinθ+cosθ)2=(75)2
これを展開して、
sin2θ+2sinθcosθ+cos2θ=7252

これに、式D2とsin2θ+cos2θ=1を代入して、
1+2k25=7252
2k25=72521

両辺を25倍して、
2k=7252
2k=2(7+5)
k=12
である。

解答ケ:1, コ:2


よって、式Cは
25x235x+12=0式C'
とかける。

式C'をたすきがけして、

5x 315x
5x 420x
25x2 +12 35x

より、
(5x3)(5x4)=0
なので、
x=3545
である。

この2解がsinθcosθで、sinθcosθなので、
{sinθ=45cosθ=35
となる。

解答サ:4, シ:5, ス:3, セ:5


このθの角は、図にすると、図Cの赤い角だ。

図C
大学入試センター試験2020年本試 数学ⅡB第1問[1] 解説図C

θの定義域は0θπ2で、 sinθcosθ
なので、
π4θ
12<cosθ
なので、
θ<π3

より
π4θ<π3
である。

なので、選択肢のうちで当てはまるものは

だ。

解答ソ:3