大学入試センター試験 2020年(令和2年) 本試 数学ⅠA 第1問 [3] 解説
(1)
図Aのように、$G$は$y=x^{2}$のグラフを平行移動したもので、$(c,0)$,$(c+4,0)$で$x$軸と交わる。
よって、$G$の式は
$y=(x-c)\{x-(c+4)\}$式A
とかける。
これを展開して、
$y=x^{2}-\{c+(c+4)\}x+c(c+4)$
$y$$=x^{2}-(2c+4)x+c(c+4)$
$y$$=x^{2}-2(c+2)x+c(c+4)$式B
となる。
解答:ツ:2, テ:4
このグラフが、点$(3,0)$,$(3,-3)$を両端とする直線(図Bの緑の直線・両端を含む)と共有点をもつ場合、グラフは例えば図Bのようになる。
図Bより、放物線が緑の直線と共有点を持つためには、、
$x=3$のとき$-3\leqq y\leqq 0$
であることが分かる。
この方針で解こう。
$x=3$のときの$y$座標は、$G$の式に$x=3$を代入して求める。
式Aと式Bのどちらを使ってもいいんだけど、ここでは計算が簡単っぽいので式Aを使うことにする。
式Aに$x=3$を代入して、
$y=(3-c)\{3-(c+4)\}$
$y$$=(-c+3)(-c-1)$
$y$$=(c+1)(c-3)$式C
となる。
これが$-3\leqq y\leqq 0$なので、
$-3\leqq(c+1)(c-3)\leqq 0$
より、連立不等式
$\left\{\begin{array}{l}
-3\leqq(c+1)(c-3)\\
(c+1)(c-3)\leqq 0
\end{array}\right.$
ができる。
これを解く。
上の式より、
$c^{2}-2c-3\geqq-3$
$c^{2}-2c\geqq 0$
$c(c-2)\geqq 0$
$c\leqq 0$,$2\leqq c$式D
下の式より、
$-1\leqq c\leqq 3$式E
以上より、答えは式Dと式Eの共通部分の
$-1\leqq c\leqq 0$,$2\leqq c\leqq 3$
である。
解答ト:1, ナ:0, ニ:2, ヌ:3
(2)
次に、$G$が$(3,-1)$を通るときのグラフは、$y=x^{2}$のグラフをどのように平行移動したか答えよという。
$(3,-1)$を通るときのグラフを$G_{1}$として、このタイプの問題のお約束通り、$G_{1}$の頂点の座標を求めよう。
まず、$G$の式に$(3,-1)$を代入する。
式Aと式Bのどちらを使ってもいいんだけど、今は式Aに$x=3$を代入した式である式Cをそのまま使うことにする。
$x=3$のとき$y=-1$なので、式Cより、
$(c+1)(c-3)=-1$
とかける。
これを計算して、
$c^{2}-2c-3=-1$
$c^{2}-2c-2=0$
解の公式より、
$c=\displaystyle \frac{-(-2)\pm\sqrt{(-2)^{2}-4\cdot 1\cdot(-2)}}{2\cdot 1}$
$c$$\displaystyle=\frac{2\pm\sqrt{2^{2}+2^{2}\cdot 2}}{2}$
$c$$\displaystyle=\frac{2\pm 2\sqrt{1+2}}{2}$
$c$$=1\pm\sqrt{3}$
となる。
今は$2\leqq c\leqq 3$の場合を考えているので、$c=1-\sqrt{3}$は不適。
よって、$G_{1}$のときの$c$は$1+\sqrt{3}$だ。
この
$c=1+\sqrt{3}$式F
を使って$G_{1}$の頂点の座標を求める。
(2) 解法1
反射的に式Aや式Bに代入して$G_{1}$の式を求めそうになるけど、ちょっと落ち着こう。
計算はできるだけしたくないし、楽な方法を考える。
考えてみると、$G_{1}$のグラフは図Cのようになっている。
放物線の軸は$(c,0)$と$(c+4,0)$の中点を通る。
よって、放物線の軸は、
$x=c+2$
である。
いま、$c=1+\sqrt{3}$なので、放物線の軸は
$x=1+\sqrt{3}+2$
$x$$=3+\sqrt{3}$
となる。
これが頂点の$x$座標だ。
次は、頂点の$y$座標。
これも、計算はできるだけ避ける方向で考える。
$G_{1}$は$y=x^{2}$のグラフを平行移動したもの。
つまり、図Dのような移動だ。
図D中の点Aを考えると、$x$座標は$2$のはず。
これを$y=x^{2}$に代入すると 点Aの$y$座標は$4$になるから、図中のオレンジの線の長さは$4$だ。
図中のオレンジの線と赤い線の長さは等しい。
なので、赤い線の長さも$4$である。
よって、$G_{1}$の頂点の$y$座標は$-4$である。
以上より、$G_{1}$の頂点は$(3+\sqrt{3},-4)$なので、
$G_{1}$は $y=x^{2}$のグラフを
$x$軸方向に$3+\sqrt{3}$ $y$軸方向に$-4$
平行移動したものである。
解答ネ:3, ノ:3, ハ:-, ヒ:4
このときの放物線と$y$軸との交点の$y$座標は、式Bに
$c=1+\sqrt{3}$
と
$x=0$
を代入して、
$y=0^{2}-2(c+2)\cdot 0$
$+\left(1+\sqrt{3}\right)\left\{\left(1+\sqrt{3}\right)+4\right\}$
とかける。
あとはこれを計算して、
$y=\left(1+\sqrt{3}\right)\left(5+\sqrt{3}\right)$
$y$$=5+6\sqrt{3}+3$
$y$$=8+6\sqrt{3}$
である。
解答フ:8, ヘ:6, ホ:3
(2) 解法2
アドバイス
以上、解法1は考え方を説明したから解説が長くなってしまったけど、イメージさえつかめれば解くのは一瞬だ。
この考え方に気がつかなかった場合は、式Fを式Bに代入して$G_{1}$の式を求め、頂点の座標を計算しないとしかたがない。
その場合は次のようになる。
$G_{1}$の式は、式Bに式Fを代入して、
$y=x^{2}-2\left(1+\sqrt{3}+2\right)x$
$+\left(1+\sqrt{3}\right)\left(1+\sqrt{3}+4\right)$
$y$$=x^{2}-2\left(3+\sqrt{3}\right)x+\left(1+\sqrt{3}\right)\left(5+\sqrt{3}\right)$式G
右辺を平方完成する。
$y=\left\{x-\left(3+\sqrt{3}\right)\right\}^{2}-\left(3+\sqrt{3}\right)^{2}$
$+\left(1+\sqrt{3}\right)\left(5+\sqrt{3}\right)$
$y$$=\left\{x-\left(3+\sqrt{3}\right)\right\}^{2}$
$+(-9-6\sqrt{3}-3+5+6\sqrt{3}+3)$
$y$$=\left\{x-\left(3+\sqrt{3}\right)\right\}^{2}-4$
より、$G_{1}$の頂点は$(3+\sqrt{3},-4)$なので、
$G_{1}$は $y=x^{2}$のグラフを
$x$軸方向に$3+\sqrt{3}$
$y$軸方向に$-4$
平行移動したものである。
解答ネ:3, ノ:3, ハ:-, ヒ:4
このときの放物線と$y$軸との交点の$y$座標は、式Gに$x=0$を代入して、
$y=0^{2}-2\left(3+\sqrt{3}\right)\cdot 0+\left(1+\sqrt{3}\right)\left(5+\sqrt{3}\right)$
とかける。
あとはこれを計算して、
$y=\left(1+\sqrt{3}\right)\left(5+\sqrt{3}\right)$
$y$$=5+6\sqrt{3}+3$
$y$$=8+6\sqrt{3}$
である。
解答フ:8, ヘ:6, ホ:3