大学入試センター試験 2019年(平成31年) 追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説
(1)
対数をそのまま考えると分かりにくいときには、指数に書きかえてから考えるのがお薦め。
というわけで、まず指数と対数の関係の復習から始めよう。
復習
$0 \lt a$,$0 \lt b$のとき
$\log_{a}b=c\ \Leftrightarrow\ a^{c}=b$
である。
復習より、
$\log_{2}\text{タ}=0$
は
$2^{0}=\text{タ}$
とかける。
よって、
$\text{タ}=1$
である。
解答タ:1
$\log_{2}\text{チ}=1$
は
$2^{1}=\text{チ}$
なので、
$\text{チ}=2$
である。
解答チ:2
また、$\ell$を整数として、
$\log_{2}x=\ell$
とおくと、
$2^{\ell}=x$
とかける。
いま、$x$は$100$以下の自然数だ。
よって、$2$の整数乗が$100$以下の自然数になる場合を考えればよい。
$2$の整数乗を書き出してみると、
$2^{-1}=\displaystyle \frac{1}{2}$ | 自然数でないので× |
$2^{0}=1$ | ○ |
$2^{1}=2$ | ○ |
$\vdots$ | |
$2^{6}=64$ | ○ |
$2^{7}=128$ | $100$を超えるので× |
なので、$x$が$100$以下の自然数となるのは
7個
である。
解答ツ:7
(2)
$54=27\times 2$
$54$$=3^{3}\times 2$
なので、$\log_{2}54$は
$\log_{2} 54 = \log_{2} (3^{3} \cdot 2)$
$\log_{2}54$$=\log_{2}3^{3}+\log_{2}2$
$\log_{2}54$$=3\log_{2}3+\log_{2}2$
$\log_{2}54$$=3\log_{2}3+1$式A
とかける。
いま$\log_{2}3 =r$なので、式Aは
$\log_{2}54=3r+1$
となる。
解答テ:3, ト:1
次は、対数の大小の問題だ。
$\log_{2}5$と$\displaystyle \frac{r+3}{2}$は、そのままの形ではどうにもならないので、$\log_{2}X$の形にそろえてから比較しよう。
$r=\log_{2}3$なので、
$\displaystyle \frac{r+3}{2}=\frac{\log_{2}3+3}{2}$
である。
これを変形すると、
$\displaystyle \frac{r+3}{2}=\frac{1}{2}\log_{2}3+\frac{3}{2}$
となる。
右辺の$\displaystyle \frac{3}{2}$は対数じゃないので、対数にしないといけない。
対数にするには、$1$をかける。
$1$とは、$\log_{2}2$のことだ。
$\log_{2}2$をかけると、上の式は
$\displaystyle \frac{r+3}{2}=\frac{1}{2}\log_{2}3+\frac{3}{2}\log_{2}2$
途中式
$=\log_{2}3^{\frac{1}{2}}+\log_{2}2^{\frac{3}{2}}$
$=\log_{2}\sqrt{3}+\log_{2}\sqrt{2^{3}}$
$=\log_{2}\sqrt{3}+\log_{2}\sqrt{8}$
となる。
式Bは真数がルートなので、$\log_{2}5$も同じ形にすると、
$\log_{2}5=\log_{2}\sqrt{25}$式C
とかける。
式Bと式Cを比較すると、
底の$2$は$1$より大きい
$\sqrt{25} \gt \sqrt{24}$
なので、
$\log_{2}\sqrt{25} \gt \log_{2}\sqrt{24}$
といえる。
よって、
$\displaystyle \log_{2}5 \gt \frac{r+3}{2}$
である。
解答ナ:2
$\displaystyle \log_{\frac{1}{2}}\frac{1}{\sqrt{3}}$と$r$は、
$\displaystyle \log_{\frac{1}{2}}\frac{1}{\sqrt{3}}$の底は$\displaystyle \frac{1}{2}$
$r=\log_{2}3$の底は$2$
なので、底の変換公式を使って底を$2$にそろえよう。
底の変換公式は、
公式
$\displaystyle \log_{a}b=\frac{\log_{c}b}{\log_{c}a}$
だった。
底の変換公式より、
$\displaystyle \log_{\frac{1}{2}}\frac{1}{\sqrt{3}}=\frac{\log_{2}\frac{1}{\sqrt{3}}}{\log_{2}\frac{1}{2}}$
途中式
$=\displaystyle \frac{\log_{2}\sqrt{3}^{-1}}{\log_{2}2^{-1}}$
$=\displaystyle \frac{-\log_{2}\sqrt{3}}{-\log_{2}2}$
$=\displaystyle \frac{-\log_{2}\sqrt{3}}{-1}$
である。
一方、$r$は
$r=\log_{2}3$
なので、式Dと比較すると
底の$2$は$1$より大きい
$\sqrt{3} \lt 3$
だから、
$\log_{2}\sqrt{3} \lt \log_{2}3$
より
$\displaystyle \log_{\frac{1}{2}}\frac{1}{\sqrt{3}} \lt r$
である。
解答ニ:0
(3)
$n\leqq\log_{k}2 \lt n+1$
は、中辺だけ対数なので面倒だ。
左辺と右辺も対数にしよう。
$\log_{k}k=1$なので、左辺と右辺にかけても値は変わらないから、
$n\log_{k}k\leqq\log_{k}2 \lt (n+1)\log_{k}k$
より
$\log_{k}k^{n}\leqq\log_{k}2 \lt \log_{k}k^{n+1}$
とかける。
底の$k$は$3$以上なので、
$k^{n}\leqq 2 \lt k^{n+1}$式E
である。
$n$は整数だから、整数だけ考えると、
$k^{0}=1$なので、$k^{0} \lt 2$
$k^{1}=k$なので、$2 \lt k^{1}$
だ。
よって、式Eを満たす$n$は
$n=0$
である。
解答ヌ:0
$\displaystyle \frac{m}{10}\leqq\log_{k}2$
の左辺も、さっきと同じように対数にすると、
$\displaystyle \frac{m}{10}\log_{k}k\leqq\log_{k}2$
両辺を$10$倍して、
$m\log_{k}k\leqq 10\log_{k}2$
$\log_{k}k^{m}\leqq\log_{k}2^{10}$
底の$k$は$1$より大きいので、
$k^{m}\leqq 2^{10}$
となる。
解答ネ:4
ここまではいいのだが、この後の「$\log_{k}2$を小数で表したときの小数第1位の数字を求めることができる」の意味が分かりにくいかも知れない。
これを説明するより、実際にノを求める方法を見た方が分かりやすそうだ。
さっき解いた
$\displaystyle \frac{m}{10}\leqq\log_{k}2$
$k^{m}\leqq 2^{10}$
を$\log_{7}2$に当てはめると、
$\displaystyle \frac{m}{10}\leqq\log_{7}2$式F
$7^{m}\leqq 2^{10}$式G
とかける。
式Gの不等式を解く。
$7^{m}\leqq 2^{10}$
$7^{m}\leqq 1024$式G'
だけど、
$7^{2}=49$
$7^{3}=(50-1)\times 7$
$7^{3}$$=350-7$
$7^{3}$$=343$
だから、$7^{4}$は計算しなくても$1024$より大きくなってしまうのは明らか。
よって、式G'を満たす最大の整数$m$は$3$で、$4$だと$1024$より大きくなってしまう。
式Fと式Gは、形は違うけど同じ式なので、式Fを満たす最大の整数$m$も
$m=3$
で、
$m=4$
だと$\log_{7}2$より大きくなってしまう。
これを式で表すと
$\displaystyle \frac{3}{10}\leqq\log_{7}2 \lt \frac{4}{10}$
より
$0.3\leqq\log_{7}2 \lt 0.4$
となるので、$\log_{7}2$の小数第1位は
$3$
である。
解答ノ:3
以上より、$k$が$3$以上の整数のとき、$m$を整数として、
$k^{m}\leqq 2^{10} \lt k^{m+1}$式H
を満たす$m$が$\log_{k}2$の小数第1位の数字であることが分かる。
よって、ハヒは、$m=2$のとき式Hが成り立つの最小の$k$だ。
式Hに$m=2$を代入して、
$k^{2}\leqq 1024 \lt k^{3}$
だけど、
$10^{2}=100$
$10^{3}=1000$
なので、$k=10$だとギリギリ式Hは成り立たない。
よって、計算するまでもなく、求める$k$は
$k=11$
である。
解答ハ:1, ヒ:1