大学入試センター試験 2019年(平成31年) 追試 数学ⅠA 第1問 [2] 解説
(1)
問題文より、$p$,$q$の条件は、
$p$:$n^{2}-8n+15=0$
$q$:$n \gt 2$かつ$n \lt c$
命題「$p\Rightarrow q$」の
逆は、「$q\Rightarrow p$」
対偶は、「$\overline{q}\Rightarrow\overline{p}$」
である。
このそれぞれを求める。
命題「$p\Rightarrow q$」の逆は、「$q\Rightarrow p$」
$p$:$n^{2}-8n+15=0$
$q$:$n \gt 2$かつ$n \lt c$
より、求める逆は
$(n \gt 2$かつ$n \lt c)\ \Rightarrow\ n^{2}-8n+15=0$
なので、正しいのは⑤。
解答ス:5
命題「$p\Rightarrow q$」の対偶は、「$\overline{q}\Rightarrow\overline{p}$」
$p$:$n^{2}-8n+15=0$
$q$:$n \gt 2$かつ$n \lt c$
なので、求める対偶は、
$\overline{n \gt 2\text{かつ}n \lt c}\ \Rightarrow\ \overline{n^{2}-8n+15=0}$
である。
$\overline{n \gt 2\text{かつ}n \lt c}$の部分は、ド・モルガンの法則より、
$\overline{n \gt 2\ \cap\ n \lt c}$
$\overline{n \gt 2}\ \cup\ \overline{n \lt c}$
$n\leqq 2\ \cup\ n\geqq c$
と変形できる。
この部分の別解
この部分、数直線で解くと次のようになる。
$n \gt 2$かつ$n \lt c$は、図Aの緑の部分。
$\overline{n \gt 2\text{かつ}n \lt c}$は、図Aの緑の部分の否定なので、緑じゃない部分。
つまり、図Aの赤い部分。
これを式で表すと、、
$n\leqq 2$または$n\geqq c$
と書ける。
$\overline{n^{2}-8n+15=0}$の部分は、
$n^{2}-8n+15\neq 0$
と表せる。
よって、対偶は
$(n\leqq 2$ または $n\geqq c) \Rightarrow\ n^{2}-8n+15\neq 0$
なので、正しいのは②。
解答セ:2
(2)
アドバイス
このサイトのあちこちに書いたことだけど、必要条件・十分条件の問題は、図が描けるときには図で考えるのがお薦め。
ということで、まず、条件$p$,条件$q$の集合を図にしよう。
条件は整数$n$についてなので、$n$の数直線を描く。
まず、条件$p$から。
$n^{2}-8n+15=0$
を解くと、
$(n-3)(n-5)=0$
$n=3$,$5$
となるので、条件$p$の表す集合は図Bの赤い点。
次に、条件$q$だ。
条件$q$の集合は、$2 \lt n \lt c$となる整数。
$c$は5以上なので、求める集合は図Cの緑の範囲に含まれる整数、つまり赤い点である。
いま問われているのは$q\Rightarrow p$の反例だ。
なので、$q$に含まれるけど$p$に含まれない数を探す。
上の数直線でいえば、図Cで赤丸だけど、図Bで赤丸じゃない数を探す。
以上より、反例は$n=4$である。
解答ソ:4
(3)
ここで、集合と必要条件・十分条件の復習をしておこう。
復習
図Dで、
$a$は$b$の必要条件
$b$は$a$の十分条件
である。
つまり、片方の集合がもう片方に含まれるとき、
大きい集合は小さい集合の必要条件
小さい集合は大きい集合の十分条件
である。
「大は小の必要条件・小は大の十分条件。」
呪文のように憶えておこう。
復習から、$p$が$q$であるための十分条件になるのは、図Eのように$p$が$q$に含まれるとき。
ここで問われているのは、$p$が$q$であるための十分条件でないとき。
なので、$p$が$q$に含まれない、つまり外にはみ出せばよい。
(2)で求めたように、条件$p$の集合は$\{3,5\}$
(図Fの赤い点)
条件$q$の集合は$2 \lt n \lt c$
(図Fの緑の範囲)
この2つの集合で、$p$が$q$の外にはみ出せばよい。
なので、図Fの数直線のどちらかのようになればよい。
図より、求める場合は$c=4$または$c=5$なので、選択肢の中であてはまるのは⓪だ。
解答タ:0
(4)
今回も数直線で考えよう。
集合$A$,$\overline{A}$,$B$,$\overline{B}$と条件$q$の集合を数直線に表すと、図Gができる。
図Gの青と緑の範囲を組み合わせて、赤い範囲をつくればよい。
よって、図Gより、$q$と同じになるのは
$A\cap\overline{B}$
であることが分かる。
なので、選択肢のうち正しいのは①だ。
解答チ:1