大学入試センター試験 2019年(平成31年) 追試 数学ⅡB 第1問 [1] 解説
(1)
$(3,1)$が中心で半径が$1$の円なので、円$C$の式は
$(x-3)^{2}+(y-1)^{2}=1^{2}$
とかける。
これを展開すると、
$x^{2}-6x+9+y^{2}-2y+1=1$
$x^{2}+y^{2}-6x-2y+9=0$
となる。
解答ア:6, イ:2, ウ:9
(2)
図はなくても解けるけど、イメージをつかむために描いておこう。
図を見ながら解いた方がミスも減ったりする。
円$C$と接するときの直線$\ell$の式の求め方は、何通りか考えられる。
そのうち、代表的な方法2つを解説する。
解法1
まず、点と直線の距離を使う方法から。
点と直線の距離の公式の復習をしておこう。
公式
直線$ax+by+c=0$
と
点$(\alpha,\beta)$
の距離$d$は、
$d=\displaystyle \frac{|a\alpha+b\beta+c|}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}$
である。
いま、円$C$と直線$\ell$が接するので、円$C$の中心と直線$\ell$の距離が、円の半径と等しくなればよい。
直線$\ell$の式は
$y=ax$
より
$ax-y=0$
円$C$の中心の座標は
$(3,1)$
なので、円$C$の中心と直線$\ell$の距離は
$\displaystyle \frac{\left|a\cdot 3-1\right|}{\sqrt{a^{2}+(-1)^{2}}}$式A
これが円$C$の半径$1$と等しくなればよいので、
$\displaystyle \frac{\left|a\cdot 3-1\right|}{\sqrt{a^{2}+(-1)^{2}}}=1$
とかける。
絶対値と根号は面倒だから消そう。
両辺を2乗して、
$\displaystyle \frac{\left|a\cdot 3-1\right|^{2}}{\sqrt{a^{2}+(-1)^{2}}^{2}}=1^{2}$
$\displaystyle \frac{9a^{2}-6a+1}{a^{2}+1}=1$式A'
$9a^{2}-6a+1=a^{2}+1$
$8a^{2}-6a=0$
$4a^{2}-3a=0$
$a(4a-3)=0$
なので、
$a=0$,$\displaystyle \frac{3}{4}$
である。
解答エ:0, オ:3, カ:4
解法2
連立不定方程式を使って解くと次のようになる。
円$C$と直線$\ell$の共有点は、連立方程式
$\left\{\begin{array}{l}
(x-3)^{2}+(y-1)^{2}=1^{2}\\
y=ax
\end{array}\right.$
の解だ。
下の式を上の式に代入して、
$(x-3)^{2}+(ax-1)^{2}=1$
これを展開すると、
$x^{2}-6x+9+a^{2}x^{2}-2ax+1=1$
より
$a^{2}x^{2}+x^{2}-2ax-6x+9=0$
$(a^{2}+1)x^{2}-2(a+3)x+9=0$式B
となる。
円$C$と直線$\ell$が接するとき、このふたつの図形の共有点は1つ。
なので、式Bの方程式の解が1つであればよい。
式Bの判別式$D$は、
$D=\{-2(a+3)\}^{2}-4(a^{2}+1)\cdot 9$
$D=0$になればよいので、
$\{-2(a+3)\}^{2}-4(a^{2}+1)\cdot 9=0$
両辺を$4$で割って、
$(a+3)^{2}-(a^{2}+1)\cdot 9=0$
展開して、
$a^{2}+6a+9-9a^{2}-9=0$
$-8a^{2}+6a=0$
$4a^{2}-3a=0$
$a(4a-3)=0$
なので、
$a=0$,$\displaystyle \frac{3}{4}$
である。
解答エ:0, オ:3, カ:4
次は$\ell$に垂直な直線の方程式だ。
復習
直線同士が垂直 $\Leftrightarrow$ 傾き同士をかけると$-1$
復習より、求める垂直な直線の傾き$a$は
$a\displaystyle \cdot\frac{3}{4}=-1$
$a=-\displaystyle \frac{4}{3}$
である。
また、接点で接線と垂直に交わるので、この直線は円$C$の中心
$(3,1)$
を通る。
よって、求める直線の方程式は、
$y-1=-\displaystyle \frac{4}{3}(x-3)$
である。
これを整理して、
$y=-\displaystyle \frac{4}{3}x+4+1$
$y\displaystyle $$\displaystyle =-\frac{4}{3}x+5$
となる。
解答キ:-, ク:4, ケ:3, コ:5
(3)
図Bの赤い線の長さを求める問題だ。
これは、いつも通りのお約束の方法で解こう。
図Bの青い直角三角形を使って、三平方の定理で$b$を求める。
それを$2$倍すると、赤い線の長さだ。
円$C$の中心を点$C$とする。
$\mathrm{AB}$の中点を点$\mathrm{H}$とすると、点$\mathrm{H}$で直線$\ell$と直交する直線は点$C$を通る。(図B)
$\mathrm{BH}$の長さを$b$とおく。
$\mathrm{CH}$(図Bのオレンジの線)は点$C$と直線$\ell$の距離なので、式Aの
$\displaystyle \frac{\left|a\cdot 3-1\right|}{\sqrt{a^{2}+(-1)^{2}}}$
がそのまま使える。
どうせ2乗するんだから、式A'の左辺をそのまま使おう。
$\mathrm{BC}$(図Bの緑の線)は円$C$の半径なので、
$1$
だ。
なので、三平方の定理の
$\mathrm{BH}^{2} + \mathrm{CH}^{2} = \mathrm{BC}^{2}$
は
$b^{2}+\displaystyle \frac{9a^{2}-6a+1}{a^{2}+1}=1^{2}$
とかける。
これを計算して、
$b^{2}=1^{2}-\displaystyle \frac{9a^{2}-6a+1}{a^{2}+1}$
$b^{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{a^{2}+1}{a^{2}+1}-\frac{9a^{2}-6a+1}{a^{2}+1}$
$b^{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{6a-8a^{2}}{a^{2}+1}$
$0 \lt b$だから、
$\displaystyle b=\sqrt{\frac{6a-8a^{2}}{a^{2}+1}}$
である。
よって、$\mathrm{AB}$の長さは、
$\mathrm{AB}=2b$
$\mathrm{AB}$$\displaystyle =2\sqrt{\frac{6a-8a^{2}}{a^{2}+1}}$式C
となる。
解答サ:2, シ:6, ス:8
この$\mathrm{AB}$の長さが$2$になるときの$a$を求める。
式Cを求めた勢いで
$\displaystyle 2\sqrt{\frac{6a-8a^{2}}{a^{2}+1}}=2$
とかやっちゃいそうだけど、ちょっと落ち着こう。
円$C$の半径は$1$だった。
なので、$\mathrm{AB}$の長さが$2$になるのは、$\mathrm{AB}$が直径のとき。
つまり、図Cのように、直線$\ell$が点$C$を通るときだ。
このとき、直線$\ell$の傾き$a$は、原点から点$C$まで、
$x$の増加量は$3$
$y$の増加量は$1$
なので、
$a=\displaystyle \frac{1}{3}$
である。
解答セ:1, ソ:3