大学入試センター試験 2016年(平成28年) 本試 数学ⅡB 第3問 解説

問題を解く準備

表A
1 2 3 m
{an} n 1 2 3 4 5 6 (3) (2)
12 13 23 14 24 34 (4) (5)
群の 項数 1 2 3 (1)
(6)

表Aに必要な情報をまとめた。
最初に、表の色のついたマスをうめてゆこう。

まず、(1)。
1群が項数1,第2群が項数2,第3群が項数3なので、第m群は項数mだって考えられるから、(1)のマスにはmが入る。

次に、(2)。
m群の末項のn、つまり第m群の末項が{an}の何項目にあたるかを考える。
m群の末項のnは、1m群に含まれる項数の和なので、
(2)=1+2+3+4+5++m
(2)=k=1mk
(2)=m(m+1)2
である。

(2)が分かれば(3)は簡単だ。
m群の初項は、第(m1)群の末項の次の項。
(m1)群の末項は、(2)より
(m1)m2
なので、
(3)=m(m1)2+1
(3)=m2m+22
となる。

(4),(5)は計算するまでもなく、第1群~第3群から推測できるように、
(4)=1m+1
(5)=mm+1
である。

(6)は第m群に含まれる項の和だ。
m群に含まれる項は、初項1m+1,末項mm+1,項数mの等差数列なので、等差数列の和の公式より、
(6)=12m(1m+1+mm+1)
(6)=12m
となる。


表B
1 2 3 m
{an} n 1 2 3 4 5 6 m2m+22 m(m+1)2
12 13 23 14 24 34 1m+1 mm+1
群の 項数 1 2 3 m
12m

以上を書き込み、表を完成させたのが表Bである。
さて、ここまで表が出来たところで、問題を解こう。

(1)

a15の値を求めるのだけれど、真面目に解くとそれなりに手間がかかるし、どうせ後の(2)で真面目に解かなきゃいけない問題が出てくるし、今は安直に解こう。つまり、15項目まで全部書く。(笑)

表C
a1 a2 a3 a4 a5 a6 a7 a8 a9 a10 a11 a12 a13 a14 a15
12 13 23 14 24 34 15 25 35 45 16 26 36 46 56

表Cより、a15=56である。

解答ア:5, イ:6

分母に初めて8が現れる項は、第7群の初項。
表Bより、第7群の初項のn727+22なので、22
よって、a22

解答ウ:2, エ:2

(2)

表Bより、第m群の初項は1m+1なので、1kは第(k1)群の初項。
なので、1kが初めて現れる項は、第(k1)群の初項である。
結局、Mkを求めるには、第(k1)群の初項のnを求めればよい。

表Bより第m群の初項のnm2m+22なので、これにm=k1を代入して、
Mk=(k1)2(k1)+22
Mk=12k232k+2

解答オ:1, カ:2, キ:3, ク:2, ケ:2

次にNkだ。
Mkと同じように考えると、k1kが初めて現れる項は第k1群の末項。
表Bより第m群の末項のnm(m+1)2なので、これにm=k1を代入して、
Nk=(k1)k2
Nk=12k212k

解答コ:1, サ:2, シ:1, ス:2


以下を解くのにオ~スで求めたMkNkを使ってもいいんだけれど、これまで表Bを使って解いてきたので、このまま表Bの式を使う。MkNkと表現は違うけれど、実はやっていることは同じだ。

a104の値を求めるためには、a104が第何群の第何項目かが分かればよい。

まず、第何群に含まれるか考えよう。
表Bより第m群の初項のnm2m+22、末項のnm(m+1)2なので、a104が第m群に含まれるとき、
m2m+22104m(m+1)2
である。

これを解く。
各辺に2をかけて、
(m1)m+2208m(m+1)
あとは適当に数字を代入してみる。

m=15のとき、
1415+2≦̸2081516
あ、大きすぎた。
m=14のとき、
1314+22081415
で、成り立つ。
なので、a104は第14群に含まれる。
よって、分母は15。

次は、a104が第14群の何項目かを考える。
第14群の初項は、
(141)142+1=92
より、a92
10492=12
より、a104a9212項後ろ。
初項から12項後ろなので、13項目ということが分かる。
よって、分子は13。

以上より、a104=1315である。

解答セ:1, ソ:3, タ:1, チ:5

(3)

「数列{an}の第Mk項から第Nk項までの和」は、「第(k1)群の初項から末項までの和」と同じ意味なので、第(k1)群に含まれる項の和を求めればよい。
表Bより、第m群に含まれる項の和は12mなので、これにm=k1を代入して、
12(k1)=12k12
となる。

解答ツ:1, テ:2, ト:1, ナ:2

「数列{an}の初項から第Nk項までの和」は、「第1群から第(k1)群までの和」と言いかえられるので、これを求めよう。
表Bより、第m群に含まれる項の和は12mなので、求める和は
m=1k112m
とかける。
これを計算して、
=1212(k1)(k1+1)
=14k(k1)式A
=14k214k
となる。

解答ニ:1, ヌ:4, ネ:1, ノ:4


表D
1 2 13 14
{an} n 1 2 3 91 92 103 104 105
12 13 23 114 1314 115 1215 1315 1415
群の 項数 1 2 13 14

最後にn=1103anを求めるのだけど、(2)でa104は第14群の13項目だった。
よって、n=1103anは、a1から第14群の12項目までの和なので、表Dの赤い斜線の部分の和になる。

この解き方は2通り考えられて、 解法1
第1群から第13群の和に、第14群の初項から12項目までの和を加える。
解法2
第1群から第14群の和から、第14群の13項目・14項目を引く。
ここでは、両方とも解説する。

解法1

表E
1 2 13 14
{an} n 1 2 3 91 92 103 104 105
12 13 23 114 1314 115 1215 1315 1415
群の 項数 1 2 13 14

表Eの黄色い部分の和と青い部分の和をたして、赤い斜線の部分の和を求める。

まず、黄色い部分の和から。
式Aより、第1群から第(k1)群の和は、14k(k1)
第1群から第13群の和は(k1)=13になればよいので、
k=14
これを式Aに代入して、
1414(141)=912式B

青い部分の和は、
初項115
末項1215
項数12
の等差数列の和なので、等差数列の和の公式より、
1212(115+1215)
=61315
=265式C

式B+式Cより、赤い斜線の部分の和は、
912+265
=50710
となる。

解答ハ:5, ヒ:0, フ:7, ヘ:1, ホ:0

解法2

表F
1 2 13 14
{an} n 1 2 3 91 92 103 104 105
12 13 23 114 1314 115 1215 1315 1415
群の 項数 1 2 13 14

表Fの黄色い部分の和からa104a105をひいて、赤い斜線の部分の和を求める。

まず、黄色い部分の和から。
式Aより、第1群から第(k1)群の和は、14k(k1)
第1群から第14群の和は(k1)=14になればよいので、
k=15
これを式Aに代入して、
1415(151)=1052

これからa104a105をひくので、
1052(1315+1415)
=50710
である。

解答ハ:5, ヒ:0, フ:7, ヘ:1, ホ:0

アドバイス

解説を読むと分かるけれど、最初に表Bが出来れば、群数列は決して難しくない。なので、表Bが自分で作れるようにマスターしてほしい。
「表Bが作れるかどうかで群数列の問題を解けるかどうかが決まる」と言っても過言ではない。
群数列については、このページも参照。