大学入試センター試験 2016年(平成28年) 本試 数学ⅠA 第3問 解説

(1)

問題文中に「少なくとも」とあるので、条件に当てはまらない場合(余事象)の確率を求めて$1$から引こう。
この場合、条件に当てはまらないのは、AさんもBさんも白球を取り出す場合。
なので、余事象の確率は、
$\displaystyle \frac{{}_{5}\mathrm{P}_{2}}{{}_{12}\mathrm{P}_{2}}=\frac{5\cdot 4}{12\cdot 11}=\frac{5}{33}$式A
よって、求める確率は、
$1-\displaystyle \frac{5}{33}=\frac{28}{33}$

解答ア:2, イ:8, ウ:3, エ:3

別解1

上の解説では、袋の中から球を2個取り出して一列に並べ、左がAさんの分、右がBさんの分として計算した。
もちろん、AさんとBさんの確率をそれぞれ求め、かけ算しても同じ結果になる。
その場合、上の式Aは、
$\displaystyle \frac{{}_{5}\mathrm{C}_{1}}{{}_{12}\mathrm{C}_{1}}\times\frac{{}_{4}\mathrm{C}_{1}}{{}_{11}\mathrm{C}_{1}}=\frac{5\cdot 4}{12\cdot 11}=\frac{5}{33}$式B
となる。
この方法が一般的だけれど、式Aの方がシンプルだ。
ただし、$\mathrm{C}$と$\mathrm{P}$で混乱しそうな人は、式Bの方法を使った方が安心かも。

解答ア:2, イ:8, ウ:3, エ:3

別解2

球が12個あるので、12列×12行あって書くのが面倒だけど、表で考える方法もある。
この問題の場合、同じ色の球でも1個1個見分けがつくものと考えて、球の数だけマスを作るのがポイント。そうすると、すべてのマスが同じ確率で起こるので、マスの数を数えるだけで確率が分かる。

表A
Aさん
Bさん

取り出した球は戻さないので、表Aのグレーのマスになることはない。なので、全部のマスは
$12\times 11$通り。

取り出された2個に、赤玉か青球が少なくとも1個含まれているのは、表Aの赤い部分。だけど、たくさんあって数えるのが面倒だから、白い部分を数えて、全体の$12\times 11$から引こう。
白い部分は、
$5\times 4$通り。
なので、赤い部分は
$12\times 11-5\times 4$通り。

以上より、求める確率は
$\displaystyle \frac{12\cdot 11-5\cdot 4}{12\cdot 11}=\frac{3\cdot 11-5}{3\cdot 11}=\frac{28}{33}$
である。

解答ア:2, イ:8, ウ:3, エ:3

(2)

赤・白の順に球が出ればよいので、
$\displaystyle \frac{{}_{4}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{5}\mathrm{C}_{1}}{{}_{12}\mathrm{P}_{2}}=\frac{4\cdot 5}{12\cdot 11}=\frac{5}{33}$式C
である。

解答オ:5, カ:3, キ:3

別解1

ここまでの部分を(1)の別解1方式で解くと、
$\displaystyle \frac{{}_{4}\mathrm{C}_{1}}{{}_{12}\mathrm{C}_{1}}\times\frac{{}_{5}\mathrm{C}_{1}}{{}_{11}\mathrm{C}_{1}}=\frac{4\cdot 5}{12\cdot 11}=\frac{5}{33}$
となる。

解答オ:5, カ:3, キ:3

ここで、条件付き確率の復習をしておこう。

復習

条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{\text{起こってほしい場合の確率}}{\text{条件の確率}}$
だった。

なので、この問題の場合は、
$\displaystyle \frac{\frac{5}{33}}{\text{Aさんが赤球を取り出す確率}}$
を求めればよい。
よって、
$\displaystyle \frac{\frac{5}{33}}{\frac{{}_{4}\mathrm{C}_{1}}{{}_{12}\mathrm{C}_{1}}}=\frac{\frac{5}{33}}{\frac{4}{12}}=\frac{5}{11}$
である。

解答ク:5, ケ:1, コ:1

別解2

(2)を、(1)の別解2で使った表を書く方法で解いてみよう。

表B
Aさん
Bさん

Aさんが赤球・Bさんが白球を出すのは、表Bの○がついた部分で、
$4\times 5$通り。

すべてのマスは
$12\times 11$通り
なので、求める確率は
$\displaystyle \frac{4\cdot 5}{12\cdot 11}=\frac{5}{3\cdot 11}=\frac{5}{33}$
となる。

解答オ:5, カ:3, キ:3

次は、条件付き確率だ。

アドバイス

条件付き確率とは、条件が起こる場合を全事象と考えて求めた確率のこと。
この場合は、Aさんが赤玉を取り出した場合を全事象と考える。

なので、全事象は、表Bの赤い部分で、
$4\times 11$通り。

Aさんが赤球・Bさんが白球を取り出すのは、表Bの○がついた部分で、
$4\times 5$通り。

なので、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{4\cdot 5}{4\cdot 11}=\frac{5}{11}$
である。

解答ク:5, ケ:1, コ:1

(3)

Aさんが青球,Bさんが白球を出す確率は、
$\displaystyle \frac{{}_{3}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{5}\mathrm{C}_{1}}{{}_{12}\mathrm{P}_{2}}=\frac{3\cdot 5}{12\cdot 11}=\frac{5}{44}$式D

解答サ:5, シ:4, ス:4

一旦まとめよう。
式Aで求めたように、AさんもBさんも白球を出す確率は
$\displaystyle \frac{5\cdot 4}{12\cdot 11}$
式Cより、Aさんが赤、Bさんが白の確率は
$\displaystyle \frac{4\cdot 5}{12\cdot 11}$
式Dより、Aさんが青、Bさんが白の確率は
$\displaystyle \frac{3\cdot 5}{12\cdot 11}$

この3パターンは排反(同時に起こらない)なので、Bさんが白球を出す確率は、
$\displaystyle \frac{5\cdot 4}{12\cdot 11}+\frac{4\cdot 5}{12\cdot 11}+\frac{3\cdot 5}{12\cdot 11}$
$=\displaystyle \frac{5(4+4+3)}{12\cdot 11}$
$=\displaystyle \frac{5\cdot 11}{12\cdot 11}$
$=\displaystyle \frac{5}{12}$
となる。

解答セ:5, ソ:1, タ:2

今回求める条件付き確率は、
起こってほしい場合は、AさんもBさんも白球を出す場合。
条件は、Bさんが白球を出す場合。
よって、求める確率は、
$\displaystyle \frac{\frac{5\cdot 4}{12\cdot 11}}{\frac{5}{12}}=\frac{4}{11}$
である。

解答チ:4, ツ:1, テ:1

別解

(3)を表を書く方法で解くと、次のようになる。

表A
Aさん
Bさん

Aさんが青球・Bさんが白球を取り出す場合は、表Cの☆印の部分なので、
$3\times 5$通り。
その確率は、
$\displaystyle \frac{3\cdot 5}{12\cdot 11}=\frac{5}{44}$
となる。

解答サ:5, シ:4, ス:4

Bさんが白球を取り出すのは、表Cの赤い部分なので、
$11\times 5$通り。
その確率は、
$\displaystyle \frac{11\cdot 5}{12\cdot 11}=\frac{5}{12}$
である。

解答セ:5, ソ:1, タ:2

ここで、求める条件付き確率は、表Cの赤い部分を全事象としたときの○がついた部分の確率である。
赤い部分のマスの数は、
$11\times 5$個。
○のついたマスの数は、
$5\times 4$個。
以上より、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{5\cdot 4}{11\cdot 5}=\frac{4}{11}$
となる。

解答チ:4, ツ:1, テ:1