数学B : 数列 群数列

例題

数列
$\{a_{n}\}=3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,\ldots$

$ 3|5,7|9,11,13|15,17,19,21|23,\ldots$
のように群に分けるとき、
(1)第$9$群の第$5$項目の値を答えよ。
(2)$151$は第何群の第何項目にあたるか。
(3)第$10$群に含まれる項の和を求めよ。

アドバイス

まず最初に、高校レベルの群数列は難しくない
とか言うと、「え~?」とかいう声が聞こえてきそうだけど。
でも、自信を持って言います。群数列は難しくない。ただ、考えなきゃいけない情報が多くて混乱しがちなだけです。
じゃぁどうすればいいかというと、情報を上手に整理すればいいわけです。
具体的には、表に整理するのがお勧めだ。
というわけで、下の表Aの、色のついたマスをうめる。全部書き込めれば勝ったも同然です。

問題を解く準備

例題の情報を、表Aにまとめた。
この表に関しては、問題文と見比べてもらえば説明の必要はないと思う。


表A
$1$ $2$ $3$ $\cdots$ $m$
$\{a_{n}\}$ $a_{1}$ $a_{2}$ $a_{3}$ $a_{4}$ $a_{5}$ $a_{6}$ $\cdots$ $a_{?}$ $\cdots$ $a_{?}$ $\cdots$ $a_{n}$
$n$ $1$ $2$ $3$ $4$ $5$ $6$ $\cdots$ (3) $\cdots$ (2) $\cdots$ $n$
$3$ $5$ $7$ $9$ $11$ $13$ $\cdots$ (6) $\cdots$ (5) $\cdots$ (4)
群の 項数 $1$ $2$ $3$ $\cdots$ (1)
$\cdots$ (7)

さて、これから表の色のついたマスをうめてゆくのだけれど、まず(1)から始めよう。
ここに入るのは、第$m$群に含まれる項の数だ。
第$1$群が項数$1$,第$2$群が項数$2$,第$3$群が項数$3$なので、第$m$群は項数$m$だって考えられるから、(1)のマスには$m$を入れる。

次は(2)。第$m$群の末項の$n$、つまり第$m$群の末項が$\{a_{n}\}$の何項目にあたるかを考える。
第$m$群の末項の$n$は、$1$~$m$群に含まれる項数の和なので、
$(2)=1+2+3+4+5+\cdots+m$
$(2)\displaystyle $$\displaystyle =\sum_{k=1}^{m}k$
$(2)\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{2}m(m+1)$
である。

(2)が分かれば(3)は簡単だ。
第$m$群の初項は、第$(m-1)$群の末項の次の項。
第$(m-1)$群の末項は、(2)より
$\displaystyle \frac{1}{2}(m-1)m$
なので、
$(3)=\displaystyle \frac{1}{2}(m-1)m+1$
$(3)\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{2}(m^{2}-m+2)$
となる。


(4)は、$\{a_{n}\}$の$n$項目の値、つまり$a_{n}$の値で、一般項だ。
$\{a_{n}\}$は、初項$3$,公差$2$の等比数列なので、
$a_{n}=3+(n-1)\cdot 2$
$a_{n}$$=2n+1$
より、(4)のマスには$2n+1$が入る。

一般項が分かれば、(5),(6)は代入するだけの作業だ。

(5)は$2n+1$の$n$に$\displaystyle \frac{1}{2}m(m+1)$を代入して、
$(5)=2\left\{\frac{1}{2}m(m+1)\right\}+1$
$(5)$$=m(m+1)+1$
$(5)$$=m^{2}+m+1$

(6)は$2n+1$の$n$に$\displaystyle \frac{1}{2}(m^{2}-m+2)$を代入して、
$(6)=2\left\{\frac{1}{2}(m^{2}-m+2)\right\}+1$
$(6)$$=(m^{2}-m+2)+1$
$(6)$$=m^{2}-m+3$
である。


最後に、(7)。
第$m$群は、初項$m^{2}-m+3$,末項$m^{2}+m+1$,項数$m$の等差数列なので、和は等差数列の和の公式より、
$(7)=\displaystyle \frac{1}{2}m\{(m^{2}-m+3)+(m^{2}+m+1)\}$
$(7)\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{2}m(2m^{2}+4)$
$(7)$$=m(m^{2}+2)$
となる。

アドバイス

問題で和を問われていなければ、この(7)は求めておく必要はないです。


これまでの結果を書き込んで表を完成させたのが、表Bだ。

表B
$1$ $2$ $3$ $\cdots$ $m$
$\{a_{n}\}$ $a_{1}$ $a_{2}$ $a_{3}$ $a_{4}$ $a_{5}$ $a_{6}$ $\cdots$ $a_{\frac{1}{2}(m^{2}-m+2)}$ $\cdots$ $a_{\frac{1}{2}m(m+1)}$ $\cdots$ $a_{n}$
$n$ $1$ $2$ $3$ $4$ $5$ $6$ $\cdots$ $\displaystyle \frac{1}{2}(m^{2}-m+2)$ $\cdots$ $\displaystyle \frac{1}{2}m(m+1)$ $\cdots$ $n$
$3$ $5$ $7$ $9$ $11$ $13$ $\cdots$ $m^{2}-m+3$ $\cdots$ $m^{2}+m+1$ $\cdots$ $2n+1$
群の 項数 $1$ $2$ $3$ $\cdots$ $m$
$\cdots$ $m(m^2+2)$

この表が出来たら勝ったも同然。
表を見ながら、悠々と問題を解こう。

(1)

まず第$9$群の第$5$項目が、$\{a_{n}\}$の第何項目にあたるかを考えよう。
表Bより、第$9$群の初項は、$\{a_{n}\}$の
$\displaystyle \frac{1}{2}(9^{2}-9+2)$
$=37$項目。
求める第$9$群の第$5$項目は、第$9$群の初項の$4$項後ろなので、
$37+4=41$項目。
これを$\{a_{n}\}$の一般項に代入して、
$a_{41}=2\cdot 41+1$
$a_{41}$$=83$
よって、第$9$群の第$5$項目の値は$83$である。

解答83

アドバイス

上の解法の「求める第$9$群の第$5$項目は、第$9$群の初項の$4$項後ろなので、$37+4=41$項目。」の部分でミスをしやすい。
第$5$項目だから、$37+5=42$としがちである。
$\ell$項目は、初項の$(\ell-1)$項後ろになる。
分からなくなったら、初項を考えよう。
初項は第$1$項目だけれど、第$9$群の第$1$項目は、初項の$1$項後ろじゃないでしょ。

(2)

まず、$151$が$\{a_{n}\}$の第何項になるかを考えよう。
表Bより$\{a_{n}\}$の一般項は$2n+1$なので、
$2n+1=151$
$2n=150$
$n=75$
となる。
なので、$a_{75}$が第何群の第何項目かを求めればよい。


$a_{75}$が第$k$群に含まれるとすると、表Bより第$m$群の初項の$n$は$\displaystyle \frac{1}{2}(m^{2}-m+2)$,末項の$n$は$\displaystyle \frac{1}{2}m(m+1)$なので、
$\displaystyle \frac{1}{2}(k^{2}-k+2)\leqq 75\leqq\frac{1}{2}k(k+1)$
各辺を$2$倍して、
$k^{2}-k+2\leqq 150\leqq k(k+1)$
$k(k-1)+2\leqq 150\leqq k(k+1)$式A
となる$k$を求めればよい。

適当に代入してみよう。
$k=11$くらいから始めてみる。
$k(k-1)+2=11\cdot 10+2=112$
$k(k+1)=11\cdot 12=132$
より、
$112\leqq 150\not\leqq 132$
で、式Aにあわない。

$k=11$じゃちょっと小さすぎたので、次は$k=12$だ。
$k=12$のとき、
$k(k-1)+2=12\cdot 11+2=134$
$k(k+1)=12\cdot 13=156$
より、
$134\leqq 150\leqq 156$
で、式Aにあてはまる。
なので、$a_{75}$は第$12$群に含まれる。


表Bより、第$12$群の初項の$n$は、
$\displaystyle \frac{1}{2}(12^{2}-12+2)=67$
よって、初項は$a_{67}$

$75-67=8$
より、$a_{75}$は$a_{67}$の$8$項後ろ。
よって、初項の$8$項後ろなので、第$9$項目。


以上より、$151$は第$12$群の第$9$項目である。

解答第$12$群の第$9$項目

(3)

表Bより、第$m$群に含まれる項の和は$m(m^{2}+2)$なので、第$10$群に含まれる項の和は、
$10(10^{2}+2)=1020$
である。

解答1020

アドバイス

これまでの解説で分かるように、表Bができれば、群数列の問題は簡単に解ける。
例題にあげたもののほか、群数列の問題にはさまざまなパターンが存在するが、まず表をつくり、それを見ながら解くことに変わりはない。
いかに情報を見やすく整理するか、それが群数列の問題を解く全てだと言ってよい。