大学入試センター試験 2015年(平成27年) 追試 数学ⅡB 第3問 解説

問題を解く準備

センター試験に限らずマークシートのテストは、問題の流れに乗ることが大切だ。なので、私も問題の流れの通りに解説するのだけれど、この問題に関しては、問題を解く前に予備知識をつけておいた方が分かりやすいと思う。なので、最初は問題文は無視して説明する。
計算の説明は省略してるけど、あとでちゃんとフォローするから、気にせずに読み飛ばしてほしい。


①の漸化式で面倒なところは絶対値だ。なので、場合分けして絶対値をはずそう。

04nanのとき、場合分けA
an+1=(4nan)+2an
an+1=an+4n式A

4nan<0のとき、場合分けB
an+1=(4nan)+2an
an+1=3an4n式B

となる。以下、場合分けAについて考える。

式Aの
an+1=an+4n
より、{an}の階差数列の一般項が4n

階差数列からもとの数列を求める公式から、2nのとき
an=(40)+k=1n14k
an=2n22n40式C
となる。

これが成り立つのは、場合分けAから
04nan
のとき。
式Bから、an=2n22n40だから、
04n(2n22n40)
のとき。

これを計算して、
02n2+6n+40
より、
1n6
である。
この範囲にはn=1が入っているけれど、式Cの右辺にn=1を代入するとa1になるから、式Cはn=1のときも成り立つ。

じゃぁ、
1n6のとき、式Cより
an=2n22n40
なのかというと、そうじゃないのがこの問題の面倒なところ。
場合分けA・Bは漸化式の場合分けであって、一般項の場合分けじゃないのに注意してほしい。
n=6のとき、式Aは成り立つので、
a6+1=a6+46
となり、7項目まで式Bの一般項が使えるのだ。

ちょっと長くなったけれど、これで問題はすらすら解けるはず。
さて、解こう。

(1)

a2, a3に関しては①からそのまま求めよう。

a2=|41(40)|+2(40)
a2=36

解答ア:3, イ:6

a3=|42(36)|+2(36)
a3=28

解答ウ:2, エ:8

ここで、②が成り立っているとすれば、
04nan
だから、①の漸化式の絶対値の部分は
|4nan|=4nan
となって、絶対値がはずせる。
このとき、漸化式は
an+1=4nan+2an
an+1=an+4n式D
an+1an=4n
である。

解答オ:4

復習

ここで漸化式の基本の復習をしておこう。
漸化式の基本の形は4つあって、 an+1=an+d
公差dの等差数列
an+1=ran
公比rの等比数列
an+1=an+f(n)
階差数列の一般項がf(n)
an+1=pan+q
特性方程式を使って解く
だった。

式Dは3番目のパターンなので、階差数列を使って解こう。

復習

階差数列が分かっているとき、もとの数列の一般項は、
an=a1+k=1n1bk(2n)
ただし、bkは階差数列の一般項
だった。

よって、2nのとき、anは、
an=(40)+k=1n14k
an=40+4k=1n1k
an=40+412(n1)(n1+1)
an=2n22n40
である。

これはn=1のときも成り立つ。

解答カ:2, キ:2, ク:4, ケ:0

確認だけど、はじめに説明したように、
①の漸化式の絶対値の中が0以上になるのが
1nm
ならば、
③の一般項が使えるのは
1nm+1
だった。
なので、m+1は①の絶対値の中が負になる最初の数でもある。
これを利用してm+1を求めよう。

4nan<0より、
4n(2n22n40)<0
2n22n40>4n
これが、問題文中③の2行あとの式だ。
どんどん解いて、
2n26n>40
n23n>20
n(n3)>20式E

アドバイス

変な解き方をしてるけど、数列のときはこのように解く。
普通の二次不等式のように、
n23n20>0
から
n=3±324(20)2
とやって
n<3892, 3+892<n
としても、今度は3±892がどのくらいの数か調べなきゃいけない。
なので、式Eのようにして、あとは適当な数字を代入してみる。どうせnは自然数だし。

n5くらいからやってみよう。
n=5のとき、5(53)=10なのでダメ。
n=6のとき、6(63)=18なのでダメ。
n=7のとき、7(73)=28なのでOKだ。
というわけで、式Dを満たす最小のnは、
7
である。

解答コ:7

a7は、③より
a7=2722740=44
となる。

解答サ:4, シ:4

(2)

ここからは、はじめの説明の場合分けBの部分だ。

まず④を数学的帰納法で確かめるらしい。
ここでちゃんと証明を考えていると、多分試験時間がなくなる。
どうせマジな数学的帰納法がセンター試験に出たことは過去一度もないし。
今はスセだけ解こう。

今は場合分けBについて考えているので、①の漸化式は、式Bより、
an+1=3an4n
とかける。
このnkにかえて、
ak+1=3ak4k
となる。

解答ス:3, セ:4


以上より、
7nのとき、
an+1=3an4n
ここからはお約束の解き方だ。

⑤のnn+1を代入して、
an+2=3an+14(n+1)⑤'
⑤'-⑤より、辺々引いて、
an+2an+1={3an+14(n+1)}(3an4n)
an+2an+1=3an+13an4
an+2an+1=3(an+1an)4式F
ここで、問題文の通り
bn=an+1an式G
とおくと、
bn+1=an+2an+1
だから、式Fは
bn+1=3bn4
となる。

解答ソ:3, タ:4

漸化式の基本の4番目のパターンになった。
両辺から2を引いて、(なぜ2を引くかは、an+1=pan+q型の漸化式を復習してほしい)
bn+12=3bn6
bn+12=3(bn2)

解答チ:2, ツ:3

より、bn2=cnとおくと、
cn+1=3cn
となるので、{cn}は公比3の等比数列である。あとはc1が分かれば{cn}の一般項が出せる。
なので、c1を求めたいけど、すぐには出ない。
だから、b7c7c1と、順に求めてゆく。

ここで、式Gより、
b7=a8a7
サシより、
a7=44
⑤より、
a8=3a747
a8=34447
a8=4(337)
a8=104
なので、
b7=10444
b7=60
となる。

解答テ:6, ト:0

数列cn7nのときにしか成り立たないけれど、n<7のときも成り立つと考えると、等比数列の一般項の式より
c7=c1371
また、
c7=b72=58
なので、
c136=58
c1=5836
以上より、等比数列の一般項の式から、
cn=58363n1
cn=583n7
である。


{cn}が出れば勝ったも同然。
これから、{cn}{bn}{an}と戻ってゆこう。

ここで、cn=bn2なので、
bn2=583n7
bn=583n7+2式H
となる。

解答ナ:5, ニ:8

次に、{an}を求めるために、bnanの関係を整理しよう。
式Gより、
bn=an+1an
⑤より、
an+1=3an4n
なので、⑤を式Gに代入して、
bn=(3an4n)an
bn=2an4n式I
となる。

解答ヌ:2

よって、式I=式Hより、7nのとき、
2an4n=583n7+2
2an=583n7+4n+2
an=293n7+2n+1
となる。

解答ネ:2, ノ:9, ハ:2, ヒ:1