大学入試センター試験 2015年(平成27年) 追試 数学ⅠA 第6問 解説
解説
まず、AB, ACの長さを求める。
直角三角形が2つ見えるから、三平方の定理を使おう。
点Dは線分BCを$1:5$に内分する点で、線分BCの長さは$6$だから、
$\mathrm{BD}=1$
$\mathrm{CD}=5$
図Aで△ABDは直角三角形なので、
$\mathrm{AB}^{2}=\mathrm{AD}^{2}+\mathrm{BD}^{2}$
$\mathrm{AB}^{2}$$=(2\sqrt{6})^{2}+1^{2}$
$\mathrm{AB}^{2}$$=25$
$0 \lt \mathrm{AB}$なので、
$\mathrm{AB}=5$
となる。
解答ア:5
また、△ADCも直角三角形なので、
$\mathrm{AC}^{2}=\mathrm{AD}^{2}+\mathrm{CD}^{2}$
$\mathrm{AC}^{2}$$=(2\sqrt{6})^{2}+5^{2}$
$\mathrm{AC}^{2}$$=49$
$0 \lt \mathrm{AC}$なので、
$\mathrm{AC}=7$
である。
解答イ:7
図Aにここまでの情報を書き込んで、図Bをつくった。
次に、問題文は内接円Oの半径を求めろという。
いろいろ方法はあるけれど、どれも計算が面倒だ。多分一番楽なのは、三角形の面積から求める方法だろう。
復習
ついでに三角形の面積の公式を復習しておこう。
三角形の面積を$S$、外接円の半径を$R$、内接円の半径を$r$とすると、
1
$ S=\displaystyle \frac{1}{2} \times$底辺$ \times$高さ
2
$S=\displaystyle \frac{1}{2}bc\sin A$
3
$S=\displaystyle \frac{abc}{4R}$
4
$S=\displaystyle \frac{1}{2}r(a+b+c)$
5
$S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}$
ただし、$s=\displaystyle \frac{a+b+c}{2}$
で、今使うのは1と4だ。
△ABCの面積$S$は、$\displaystyle \frac{1}{2}\times$底辺$\times$高さより、
$S=\displaystyle \frac{1}{2}\times 6\times 2\sqrt{6}$式A
また、同じ△ABCの面積$S$は、$S=\displaystyle \frac{1}{2}r(a+b+c)$より、
$S=\displaystyle \frac{1}{2}r(5+6+7)$式B
式B=式Aなので、
$\displaystyle \frac{1}{2}r(5+6+7)=\frac{1}{2}\times 6\times 2\sqrt{6}$
両辺を$2$倍して、
$r(5+6+7)=6\times 2\sqrt{6}$
両辺を$6$で割って、
$3r=2\sqrt{6}$
$r=\displaystyle \frac{2\sqrt{6}}{3}$
となる。
解答ウ:2, エ:6, オ:3
次は、三角形の内接円との接点と、頂点までの距離の問題。お決まりの解き方である。
内接円OとBC, AC, ABとの接点をそれぞれE, F, Gとすると(図B参照)、
$\mathrm{AG}=\mathrm{AF}$, $\mathrm{BG}=\mathrm{BE}$, $\mathrm{CF}=\mathrm{CE}$
なので、
$\mathrm{CE}=\mathrm{CF}=x$
とすると、
$\mathrm{AG}=\mathrm{AF}=7-x$
$\mathrm{BG}=\mathrm{BE}=6-x$
また、
$\mathrm{AB}=\mathrm{AG}+\mathrm{BG}=5$
なので、
$(7-x)+(6-x)=5$
$2x=8$
$2$$x=4$
である。
解答カ:4
さらにCOを求めろという。けれど、COは直角三角形CEOの斜辺で、ウエオでOE、カでCEを求めてあるので、あとは計算するだけだ。
△OCEで、三平方の定理より、
$\mathrm{CO}^{2}=\mathrm{CE}^{2}+\mathrm{OE}^{2}$
OEは内接円Oの半径なので、
$\mathrm{CO}^{2}=4^{2}+\left(\frac{2\sqrt{6}}{3}\right)^{2}$
$\displaystyle \mathrm{CO}^{2}$$\displaystyle =\frac{3^{2}\cdot 4^{2}}{3^{2}}+\frac{2^{2}\cdot 6}{3^{2}}$
分子を$2^{3}\cdot 3$でくくって、
$\displaystyle \mathrm{CO}^{2}$$\displaystyle =\frac{2^{3}\cdot 3(3\cdot 2+1)}{3^{2}}$
$\displaystyle \mathrm{CO}^{2}$$\displaystyle =\frac{2^{3}\cdot 3\cdot 7}{3^{2}}$
$0 \lt \mathrm{CO}$なので、
$\displaystyle \mathrm{CO}=\frac{2\sqrt{42}}{3}$
解答キ:2, ク:4, ケ:2, コ:3
最後に、△CEFの内心と△ABCの内心の間の距離を答えろという。
図中の数字をつけた角度は、すべて等しい。
説明すると、
青い弧とオレンジの弧は等しいから、円周角はすべて等しい。なので、
①=②=③=④
青い三角形で、接弦定理より
⑤=②
黄色い三角形で、接弦定理より、
⑥=④
なので、
①=②=③=④=⑤=⑥
となる。
ということは、③と⑤は等しいから、赤い線は赤い角の二等分線になる。
以上より、赤い点は角の二等分線の交点になるから、赤い三角形の内心である。
もっと言うと、円の外部の点から円に二本の接線を引き、接点同士を結んだ線と接線で三角形を作るとき、その内心は円周上にある。
同じことが、図Dでいえる。
直線EIは∠FECの二等分線。
直線CIは∠Cの二等分線。
なので、円O上の点Iは△CEFの内心である。
以上より、OとIの距離は円Oの半径となる。
だから、
$\displaystyle \mathrm{OI}=\frac{2\sqrt{6}}{3}$
である。
解答サ:2, シ:6, ス:3
この方法は、知っていれば一瞬で答えが出るけど、知らなければ普通は思いつかない。
なので、知らなければ別解で解こう。
別解
図EのEJの長さが分かれば、$\mathrm{OE} // \mathrm{IJ}$なので、平行線の性質から$\mathrm{CE}:\mathrm{EJ}=\mathrm{CO}:\mathrm{OI}$といえる。
なので、EJの長さを求めよう。方針は、相似の利用。
COとEFの交点をH、三角形CEFの内心をI、IからBCに下ろした垂線の足をJとする。
図Eで、青い三角形と赤い三角形は相似なので、
$\mathrm{CO}:\mathrm{OE}=\mathrm{CE}:\mathrm{EH}$
だから、
$\displaystyle \frac{2\sqrt{42}}{3}:\frac{2\sqrt{6}}{3}=4:\mathrm{EH}$
式がややこしいから、左辺は先に$\displaystyle \frac{2\sqrt{6}}{3}$で割っておこう。
$\sqrt{7}:1=4:\mathrm{EH}$
$\sqrt{7}\mathrm{EH}=4$
$\sqrt{7}$$\displaystyle \mathrm{EH}=\frac{4}{\sqrt{7}}$
ここで、点H, Jは円Iの接点なので、
$\mathrm{EH}=\mathrm{EJ}$
だから、
$\displaystyle \mathrm{EJ}=\frac{4}{\sqrt{7}}$
また、$\mathrm{OE} // \mathrm{IJ}$なので、
$\mathrm{CE}:\mathrm{EJ}=\mathrm{CO}:\mathrm{OI}$
より、
$4:\displaystyle \frac{4}{\sqrt{7}}=\frac{2\sqrt{42}}{3}:\mathrm{OI}$
左辺は$4$で割っておこう。
$1:\displaystyle \frac{1}{\sqrt{7}}=\frac{2\sqrt{42}}{3}:\mathrm{OI}$
$\displaystyle \mathrm{OI}=\frac{1}{\sqrt{7}}\cdot\frac{2\sqrt{42}}{3}$
$\displaystyle \mathrm{OI}$$\displaystyle =\frac{2\sqrt{6}}{3}$
である。
解答サ:2, シ:6, ス:3
ほかにも、EIが∠CEFの二等分線であることを利用する方法・面積からIJを求めて△CEOと△CJIの相似比を出す方法など、さまざまな別解が考えられる。