大学入試センター試験 2015年(平成27年) 追試 数学ⅡB 第2問 解説
(1)
接線の方程式を求めるので、まず微分。
$C$の方程式を微分して、
$y'=-2x$
よって、点P$(a,\ 1-a^{2})$での接線$\ell$の方程式は、
$y-(1-a^{2})=-2a(x-a)$
$y=-2ax+2a^{2}+1-a^{2}$
$y$$=-2ax+a^{2}+1$
である。
解答ア:2, イ:a, ウ:2, エ:1
この直線と原点との距離は、点と直線の距離の公式を使って求めよう。
復習
点$(\alpha,\ \beta)$と直線$ax+by+c=0$の距離$d$は、
$d=\displaystyle \frac{\left|a\alpha+b\beta+c\right|}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}$
だった。
なので、$\ell$の式を
$2ax+y-(a^{2}+1)=0$
と変形すると、
$h=\displaystyle \frac{\left|-(a^{2}+1)\right|}{\sqrt{(2a)^{2}+1^{2}}}$
$-(a^{2}+1) \lt 0$なので、
$h\displaystyle $$\displaystyle =\frac{a^{2}+1}{\sqrt{4a^{2}+1}}$式A
となる。
解答オ:4, カ:1
ここで、問題文は$t=\sqrt{4a^{2}+1}$とおけと言う。
問題文の上の行は$a$の式、下の行は$t$の式なので、代入して$a$を$t$に変えろということらしい。
$t=\sqrt{4a^{2}+1}$式B
の両辺を2乗すると、
$t^{2}=4a^{2}+1$
$a^{2}=\displaystyle \frac{t^{2}-1}{4}$式C
式B・Cを式Aに代入して、
$h=\displaystyle \frac{\frac{t^{2}-1}{4}+1}{t}$
分母分子に$4$をかけて、
$h\displaystyle =\frac{t^{2}-1+4}{4t}$
$h\displaystyle $$\displaystyle =\frac{t^{2}+3}{4t}$
となるけど、これじゃ問題文のマスに入らない。
仕方がないからマスに入るように変形しよう。
$h=\displaystyle \frac{1}{4}\cdot\frac{t^{2}+3}{t}$
$h\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{4}\left(\frac{t^{2}}{t}+\frac{3}{t}\right)$
$h\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{4}\left(t+\frac{3}{t}\right)$
これでマスに入るようになった。
解答キ:4, ク:3
何でこんなことをしているのかと思えば、次に相加平均と相乗平均の関係を使う準備だったようだ。
復習
相加平均と相乗平均の関係は、
$0\leqq \mathrm{A},\ 0\leqq \mathrm{B}$のとき、
$\mathrm{A}+\mathrm{B}\geqq 2\sqrt{\mathrm{A}\mathrm{B}}$
等号成立は$\mathrm{A}=\mathrm{B}$のとき
だった。
問題文の言う通り相加平均と相乗平均の関係を使うと、
$t+\displaystyle \frac{3}{t}\geqq 2\sqrt{t\cdot\frac{3}{t}}$
$t+\displaystyle \frac{3}{t}$$\displaystyle \geqq 2\sqrt{3}$
この両辺を$\displaystyle \frac{1}{4}$倍して、
$\displaystyle \frac{1}{4}\left(t+\frac{3}{t}\right)\geqq\frac{1}{4}\cdot 2\sqrt{3}$
$\displaystyle \frac{1}{4}\left(t+\frac{3}{t}\right)$$\displaystyle \geqq\frac{\sqrt{3}}{2}$
ここで、$\displaystyle \frac{1}{4}\left(t+\frac{3}{t}\right)=h$だったので、
$h\displaystyle \geqq\frac{\sqrt{3}}{2}$式D
である。
ただし、等号成立は
$t=\displaystyle \frac{3}{t}$
$t^{2}=3$
のとき。
解答ケ:3
これを式Cに代入して、
$a^{2}=\displaystyle \frac{3-1}{4}$
$a^{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2}{4}$
$a=\displaystyle \pm\frac{\sqrt{2}}{2}$
のとき。
解答コ:2, サ:2
$h$の最小値は、式Dより、
$\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}$
である。
解答シ:3, ス:2
(2)
まず、直線$m$の方程式を求めるために、$m$の傾きを出そう。
2点$(-1,\ 0)\ (1-b,\ 2b-b^{2})$を通るから、$m$の傾きは、
$\displaystyle \frac{y\text{の増加量}}{x\text{の増加量}}=\frac{2b-b^{2}}{1-b-(-1)}$
$\displaystyle \frac{y\text{の増加量}}{x\text{の増加量}}$$\displaystyle =\frac{2b-b^{2}}{2-b}$
$\displaystyle \frac{y\text{の増加量}}{x\text{の増加量}}$$\displaystyle =b$
である。
傾き$b$の直線が$(-1,\ 0)$を通ればよいので、$m$の方程式は、
$y-0=b\{x-(-1)\}$
$y=bx+b$
となる。
解答セ:b, ソ:b
ここで、いったん図を整理しよう。
$C$と$m$で囲まれた図形の面積が$S_{1}$なので、$S_{1}$は図Cの青い部分の面積。
なので、
$S_{1}=\displaystyle \int_{-1}^{1-b}\{(1-x^{2})-(bx+b)\}dx$
$S_{1}\displaystyle $$\displaystyle =\int_{-1}^{1-b}(-x^{2}-bx-b+1)dx$
$S_{1}\displaystyle $$\displaystyle =-\int_{-1}^{1-b}(x^{2}+bx+b-1)dx$式E
だけど、これは$\displaystyle \frac{1}{6}$公式が使えるから、普通に積分してはいけない。
$\displaystyle \frac{1}{6}$公式を使うと、式Eは
$S_{1}=-\left[-\frac{1}{6}\{(1-b)-(-1)\}^{3}\right]$
$S_{1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{(1-b+1)^{3}}{6}$
$S_{1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{(-b+2)^{3}}{6}$
$S_{1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{-b^{3}+6b^{2}-12b+8}{6}$
$S_{1}\displaystyle $$\displaystyle =-\frac{1}{6}b^{3}+b^{2}-2b+\frac{4}{3}$式E'
である。
解答タ:-, チ:1, ツ:6, テ:2
次は$S_{2}$だ。
$C$と$m$と$x=b$で囲まれた部分の面積が$S_{2}$なので、$S_{2}$は図Cの黄色い部分の面積。
なので、
$S_{2}=\displaystyle \int_{1-b}^{b}\{(bx+b)-(1-x^{2})\}dx$
これは$\displaystyle \frac{1}{6}$公式は使えない。いや、補助線を引いて面積をたしたり引いたりすれば使えるけど、かえって面倒。なので、普通に積分しよう。
ちょっと計算が長いけど、省略せずに全部書いているから。因数分解中心の計算方法も含めて、頑張ってついてきてほしい。
$S_{2}=\displaystyle \int_{1-b}^{b}(x^{2}+bx+b-1)dx$
$S_{2}$$=\left[\frac{1}{3}x^{3}+\frac{b}{2}x^{2}+(b-1)x\right]_{1-b}^{b}$
分母を$6$にそろえて、
$S_{2}$$=\left[\frac{2}{6}x^{3}+\frac{3b}{6}x^{2}+\frac{6(b-1)x}{6}\right]_{1-b}^{b}$
$\displaystyle \frac{1}{6}$を$[ ]$の外に出すと、
$S_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{6}\left[2x^{3}+3bx^{2}+6(b-1)x\right]_{1-b}^{b}$
$S_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{6}[\{(2b^{3}+3b^{3}+6(b-1)b\}$
$-\{2(1-b)^{3}+3b(1-b)^{2}+6(b-1)(1-b)\}]$
同類項(でもないけど)をまとめよう。
$S_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{6}[2\{b^{3}-(1-b)^{3}\}+3b\{b^{2}-(1-b)^{2}\}$
$+6(b-1)\{(b-(1-b)\}$
3つのかたまりができた。先頭のかたまりの$\{\}$内は$\mathrm{A}^{3}-\mathrm{B}^{3}$の形、真ん中のかたまりの$\{\}$内は$\mathrm{A}^{2}-\mathrm{B}^{2}$の形なので、それぞれ因数分解して、
$S_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{6}[2\{b-(1-b)\}\{b^{2}+b(1-b)+(1-b)^{2}\}$
$+3b\{(b+(1-b)\}\{b-(1-b)\}$
$+6(b-1)\{(b-(1-b)\}]$
$S_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{6}\{2(2b-1)(b^{2}-b+1)+3b(2b-1)$
$+6(b-1)(2b-1)\}$
$(2b-1)$でくくると、
$S_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{6}(2b-1)\{2(b^{2}-b+1)+3b+6(b-1)\}$
$S_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{6}(2b-1)(2b^{2}+7b-4)$
で、問題を見ると、うへ~。展開してるよ。展開前の形の方がきれいなのになぁ。
仕方がないから展開しよう。
$S_{2}=\displaystyle \frac{4b^{3}+12b^{2}-15b+4}{6}$
$S_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2}{3}b^{3}+2b^{2}-\frac{5}{2}b+\frac{2}{3}$式F
となる。
解答ト:2, ナ:3, ニ:5, ヌ:2
次は$S=S_{1}+S_{2}$とおいて、$S$を求めるようだ。
よって、式E'+式Fより、
$S=\left(-\frac{1}{6}b^{3}+b^{2}-2b+\frac{4}{3}\right)$
$+\left(\frac{2}{3}b^{3}+2b^{2}-\frac{5}{2}b+\frac{2}{3}\right)$
同類項をまとめて、
$S$$=\left(-\frac{1}{6}+\frac{2}{3}\right)b^{3}+(1+2)b^{2}$
$+\left(-2-\frac{5}{2}\right)b+\left(\frac{4}{3}+\frac{2}{3}\right)$
$( )$内を通分して、
$S\displaystyle $$\displaystyle =\frac{-1+4}{6}b^{3}+3b^{2}-\frac{4+5}{2}b+\frac{6}{3}$
$S\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{2}b^{3}+3b^{2}-\frac{9}{2}b+2$式G
である。
解答ネ:1, ノ:2, ハ:9, ヒ:2
もうちょっとだ。
最後は、$\displaystyle \frac{1}{2} \lt b\leqq 1$のときの$S$の最小値を求める。
式Gを微分して、
$S'=\displaystyle \frac{3}{2}b^{2}+6b-\frac{9}{2}$
$S'\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3}{2}(b^{2}+4b-3)$
なので、$S'=0$となるのは、
$b^{2}+4b-3=0$
のとき。これは、解の公式より、
$b=\displaystyle \frac{-4\pm\sqrt{4^{2}-4\cdot 1\cdot(-3)}}{2\cdot 1}$
$b\displaystyle $$\displaystyle =\frac{-4\pm\sqrt{4(4+3)}}{2}$
$b\displaystyle $$\displaystyle =\frac{-4\pm 2\sqrt{7}}{2}$
$b$$=-2\pm\sqrt{7}$
のとき。
問題文のマスからフ,ヘは7,2だと分かるけど、ここではちゃんと最後まで解いておく。
これから増減表を書くのだけれど、$-2\pm\sqrt{7}$が定義域に入るかどうか確認しておこう。
$-2-\sqrt{7}$は負の値なので、定義域外なのは明らか。
問題は$-2+\sqrt{7}$だ。
定義域の両端の$\displaystyle \frac{1}{2},\ 1$と$-2+\sqrt{7}$の大小関係を調べよう。
それぞれに2をたしても大小関係は変わらないので、
$\displaystyle \frac{1}{2}+1,\ 1+2,\ -2+\sqrt{7}+2$
つまり
$\displaystyle \frac{3}{2},\ 3,\ \sqrt{7}$
の大小関係を調べればよい。
2倍しても大小関係は変わらない。
$3,\ 6,\ 2\sqrt{7}$
√に入れて、
$\sqrt{9},\ \sqrt{36},\ \sqrt{28}$
となるから、大小関係は
$\sqrt{9} \lt \sqrt{28} \lt \sqrt{36}$
である。
以上より、
$\displaystyle \frac{1}{2} \lt -2+\sqrt{7} \lt 1$
となり、$-2+\sqrt{7}$は定義域に入っている。
これで増減表がかける。
$b$ | $\displaystyle \frac{1}{2}$ | $\cdots$ | $-2+\sqrt{7}$ | $\cdots$ | $1$ |
---|---|---|---|---|---|
$S'$ | $-$ | $0$ | $+$ | ||
$S$ | $\searrow$ | 最小値 | $\nearrow$ |
増減表より、$S$は$b=\sqrt{7}-2$のときに最小値をとる。
解答フ:7, ヘ:2