数学B : 数列 $a_{n+1}=pa_{n}+q$ 型の漸化式
例題
$a_{1}=5$、$a_{n+1}=4a_{n}-6$($ n=1,2,3,\cdots$)によって定められる数列$\{a_{n}\}$の一般項を求めよ。
この例題のように、$a_{n+1}=qa_{n}+p$の形の漸化式には決まった解き方があるので憶えておこう。
解説
まず、漸化式の両辺から$2$を引く。
ここで、$3$じゃダメなの?とか、どうやって$2$を見つけるの?とかいう疑問がでても、今は気にせずついてきてください。後で説明するから。
で、両辺から$2$を引くと、
$a_{n+1}-2=4a_{n}-8$
$a_{n+1}-2=4(a_{n}-2)$式A
$a_{n}-2=b_{n}$式B
と名前をつけると、
$a_{n+1}-2=b_{n+1}$
なので、これを式Aに代入すると
$b_{n+1}=4b_{n}$
となる。
これは漸化式の基本の2番目の形で、等比数列を表している。
公比は$4$だから、あとは初項が分かれば$\{b_{n}\}$の一般項が求められる。
で、再び式Bだ。
$a_{n}-2=b_{n}$
だから、
$a_{1}-2=b_{1}$
といえる。問題文から$a_{1}=5$なので、
$b_{1}=5-2=3$
以上から、$\{b_{n}\}$は初項$3$、公比$4$の等比数列だということが分かった。
等比数列の一般項の式から、
$b_{n}=3\cdot 4^{n-1}$式C
となる。
でも、今知りたいのは$\{b_{n}\}$じゃなくて、$\{a_{n}\}$の一般項。
というわけで、もう一度式Bだ。
$a_{n}-2=b_{n}$式B
これに式Cの$b_{n}=3\cdot 4^{n-1}$を代入すると、
$a_{n}-2=3\cdot 4^{n-1}$
$a_{n}=3\cdot 4^{n-1}+2$
となる。
これが求める$\{a_{n}\}$の一般項だ。
解答$3 \cdot 4^{n-1} + 2$
ここで、初めの疑問に戻ろう。
どうやって$2$を見つけるの、という疑問だ。
まず、理屈抜きで方法だけ。
もともとの漸化式の
$a_{n+1}=4a_{n}-6$
の$a_{n+1}$と$a_{n}$を$x$に変えると、
$x=4x-6$
になる。これを方程式だと思って解くと、解は
$x=2$
となる。この$2$を両辺から引く。
こんな説明じゃ分からん。ちゃんと理由も教えろという人は、この先の説明も読んでほしい。問題だけ解ければいい人は、この先は読まなくても大丈夫です。
結局、
$a_{n+1}=qa_{n}+p$
って漸化式を、
$a_{n+1}-x=q(a_{n}-x)$式D
って形に変形したい。
この$x$が分かれば、それが両辺から引く数だ。
今は$q=1$のときは考えない。
だって、$q=1$だったら、漸化式は
$a_{n+1}=a_{n}+p$
となって、漸化式の基本の1番目の形なので。
で、$x$を求めよう。
式Dを変形して、
$a_{n+1}-x=qa_{n}-qx$
$a_{n+1}=qa_{n}-qx+x$
これがもとの漸化式と同じになるから、青い部分が$p$であればいい。
$-qx+x=p$
これを変形して、
$x=qx+p$
って、あれ?もとの漸化式の$a_{n+1}$と$a_{n}$を$x$に置き換えたものになったよ。
というわけで、両辺から引く数は、もとの漸化式の$a_{n+1}$と$a_{n}$を$x$に置き換えて、方程式だと思って解けば見つかることが分かった。
で、もう一つの疑問。
$3$じゃダメなの?
ダメです。