大学入学共通テスト 2024年(令和6年) 追試 数学ⅠA 第1問 [3] 解説

(1)

ABCに正弦定理を使うと、
BCsinBAC=2R
より
4sinBAC=2433
とかける。

これを整理して、
4sinBAC=24332
1sinBAC=23
sinBAC=32
となる。

よって、
BAC=60120
である。

解答テ:2, ト:4


また、△ABCの面積が334のとき、三角形の面積の公式より
12ABACsinBAC=334
だから
12ABAC32=334
と表せる。

これを計算すると
12ABAC32=334
ABAC=3式A
であることが分かる。

解答ナ:3

さらに、△ABCに余弦定理を使って
BC2=AB2+AC22ABACcosBAC

これにBC=4と式Aを代入すると
42=AB2+AC223cosBAC式B
とかける。

BAC=60のとき

cosBAC=12
だから、式Bは
42=AB2+AC22312
となる。

これを計算して、
AB2+AC2=42+2312=19 である。

解答ニ:1, ヌ:9


また、
(AB+AC)2
を展開すると
(AB+AC)2=AB2+2ABAC+AC2
だけど、これに式A,式Cを代入すると
(AB+AC)2=19+23=25 と表せる。

解答ネ:2, ノ:5

AB+AC>0なので、これはさらに
AB+AC=5
となるから、
AC=5AB式D
とかける。

解答ハ:5

これを式Aに代入すると、方程式
AB(5AB)=3
ができる。

これを展開して、
AB25AB+3=0
解の公式を使って、
AB=5±(5)241321=5±132 となる。

解答ヒ:5, フ:1, ヘ:3


この式Eを式Dに代入すると
AC=55±132=5132

なので、

ABCは、三辺の長さが
45+1325132
の三角形である

ことが分かる。

BAC=120のとき

BAC=120のときは計算する必要はないけれど、せっかくだから簡単に載せておく。

BAC=120のときの計算

BAC=120のとき、式Bより
42=AB2+AC223(12)
なので、
AB2+AC2=422312=13 である。

(AB+AC)2=AB2+2ABAC+AC2
に式A,式Fを代入すると
(AB+AC)2=19
AB+AC=19
AC=19AB

これを式Aに代入して
AB(19AB)=3
AB219AB+3=0

解の公式より、
AB=19±72

以上より、
ABCは、三辺の長さが
419+721972
の三角形である。

(2)

(a)(b)のふたつの命題をそれぞれ考えよう。

(a)

ひとつの辺,面積,外接円の半径が等しい三角形は合同である
ひとつの辺,面積,外接円が決まっているとき、条件に合う三角形は1種類しか存在しない と同じことだ。
なので、(a)の命題の代わりに、条件に合う三角形が1種類かどうかを考える。

(1)で分かったことを復習すると、
BC=4 面積が334 外接円の半径が433 であるような三角形は2種類あった。

つまり、 ひとつの辺,面積,外接円が決まっているとき、条件に合う三角形は1種類ではなかった。

これを反例として、命題(a)は偽である。

(b)

(a)のときと同様に考えると、

ひとつの角,面積,外接円の半径が等しい三角形は合同である
ひとつの角,面積,外接円が決まっているとき、条件に合う三角形は1種類しか存在しない と同じことだ。

なので、(b)の命題の代わりに、条件に合う三角形が1種類かどうかを考える。


(b)について考える前に、なぜ(a)が偽だったのかをもう少し見てみよう。

ABCの外接円の半径をR,面積をSとして (1)の作業をまとめてみると、
 BC  R  S  が分かっているとき、

表A
Step1
 BC  R }sinBACBAC
Step2

フヘ
 S BAC}ABAC } AB
AC
 BC BAC}AB2+AC2

という流れだった。

(1)で△ABCが2種類できたのは、表Aの赤で囲んだところで
sinBAC=32
であるBACが2つ存在したから。

つまり、Step2の材料である
 S  BC BAC のセットが2種類存在したから。


このように考えると、 条件に合う三角形が
1種類しか存在しない
SBACBC
すべて1つに決まる
であることが分かる。

(b)は ひとつの角,面積,外接円の半径が決まっている場合だから、※のうち
S BAC は1つに決まっている。

あとは
BC だ。

BC は、正弦定理の
BCsinBAC=2R
より
BC=2RsinBAC
とかける。

いま、SBAC は1つに決まっているから、
2RsinBAC
の値も1つに決まる。
なので、BC も1つに決まる。

以上より、(b)の場合は※を満たすから、
条件に合う三角形は1種類しかできない ことが分かる。

よって、命題(b)は真である。

したがって、解答群のうち正しいのは

である。

解答ホ:2

(2) 別解

問題の流れから外れるけど、図形的に解くと以下のようになる。

三角形Aがあり、これと
ひとつの辺 面積 外接円の半径 が等しい三角形を
三角形B
ひとつの角 面積 外接円の半径 が等しい三角形を
三角形C
とする。

このとき、

三角形Bが1種類しかできなければ 命題(a)は真、2種類以上できれば命題(a)は偽
ルールA
三角形Cが1種類しかできなければ 命題(b)は真、2種類以上できれば命題(b)は偽
ルールB

だといえる。

これを図を使って考える。

(a)

図Bの△ABC を三角形Aとし、これと BC が等しい三角形Bを考える。

いま、ふたつの三角形の外接円の半径は等しいので、三角形Bを△DBCとすると、頂点Dは図Bのオレンジの円周上にある。

図B
大学入学共通テスト2024年追試 数学ⅠA第1問[3] 解説図B

また、ふたつの三角形は面積が等しいので、BCを底辺としたときの高さが等しい。
よって、頂点Dは図Cの2本の青い直線上にある。

図C
大学入学共通テスト2024年追試 数学ⅠA第1問[3] 解説図C

図Bと図Cを重ねると図Dができる。

頂点Dは オレンジの円周上 かつ 青い直線上 にあるから、図Dの4つの赤い点のどれかだ。

図D
大学入学共通テスト2024年追試 数学ⅠA第1問[3] 解説図D

したがって、△DBC、つまり 三角形Bは、
黒,緑,黄,紫
の4つできるけど、黒と緑,黄と紫は合同なので、
三角形Bは2種類できる ことになる。

よって、ルールAより、命題(a)は偽である。

(b)

三角形Aと三角形Cは外接円の半径とひとつの角が等しい。

等しい角を円周角と考えると、半径が等しい円において
円周角が
等しい
弧の長さが
等しい
弦の長さが
等しい
なので、三角形Aと三角形Cは、等しい角と向かいあう辺の長さも等しい。

この等しい辺をBCとし、三角形Aを図Eの△ABC,三角形Cを△EBCとすると、頂点Eは図Eのオレンジの弧上にある。

図E
大学入学共通テスト2024年追試 数学ⅠA第1問[3] 解説図E

また、ふたつの三角形の面積は等しいので、(a)のときと同様に 頂点Eは図Cの2本の青い直線上にある。

図Cと図Eを重ねると図Fができる。

頂点Eは オレンジの弧上 かつ 青い直線上 にあるから、図Fの2つの赤い点のどちらかだ。

図F
大学入学共通テスト2024年追試 数学ⅠA第1問[3] 解説図F

したがって、△EBC、つまり 三角形Cは、
黒,緑
の2つできるけど、この2つの三角形は合同なので、
三角形Cは1種類しかできない ことになる。

よって、ルールBより、命題(b)は真である。

以上より、解答群のうち正しいのは

である。

解答ホ:2