大学入学共通テスト 2021年(令和3年) 本試 数学ⅡB 第3問 解説
(1)
まず、二項分布の復習から。
復習
確率
確率変数
平均値は、
読書をしなかった生徒の比率(母比率)が
当たりが全体の
なので、母集団が十分に大きい場合、
くじを
よって、復習より、抽出した
に従う。
解答ア:3
また、復習より、
解答イ:5, ウ:0
標準偏差は
である。
解答エ:5
(2)
二項分布と正規分布の関係について復習しておく。
復習
二項分布
は、
正規分布
で近似できる。
復習より、
に従う。
一応確認しておくと、
平均値は、
なので、確率分布図は図Aのようになる。
図中の赤い部分の面積が、求める確率
というわけで、正規分布表を使って赤い部分の面積を求めるんだけど、
正規分布表に載っているのは
正規分布表が使えるように、
を標準化して
に変換しよう。
復習
確率変数を、
平均値
もとの確率変数を
平均値を
である。
復習より、図Aを標準化すると、
図Aの赤い部分の面積と図Bの赤い部分の面積は等しいので、図Bの方を使って求める。
ところが、正規分布表には
正規分布は左右対称なので、赤い面積とオレンジの面積は等しいから、代わりにオレンジの面積を求めよう。
正規分布表で
を探すと、面積は
となっている。
これは、図Bの青い部分の面積だ。
なので、図Bで
青
とかける。
これに、正規分布表で調べた
なので、
オレンジ
オレンジ$$
オレンジ$$
より、求める確率
①
である、
解答オ:1
母比率が
になるから、近似する正規分布は
である。
この正規分布の
平均値は
さっきと同じように、これを標準化すると、
に
変換される。
よって、
図Bと図Cを見比べると、
確率分布は同じ
詳しく
なので
より
となるから、
以上より、
であることが分かる。
解答カ:2
(3)
母平均の信頼区間については公式があった。
公式
母標準偏差を
ただし、信頼度が
特に、
信頼度
式Bより、
とかける。
よって、
となる。
これに
解答キ:4, ク:0, ケ:8
解答コ:5, サ:8, シ:8
となる。
これじゃ原理がゼンゼン分からないけど、原理通り解くと時間がかかるから、共通テスト本番では機械的に公式を使おう。
原理に関してはこのページを参照してほしい。
ここで考えた信頼区間は、信頼度
言いかえれば、
式にすると、
が成り立つ。
数直線にすると、図Dの緑の範囲だ。
逆に言うと、
つまり、式Cの外側に
このとき、大きい方と小さい方、図Dでいうと赤い範囲とオレンジの範囲のどちらかに
なので、
解答ス:3
(4)
最初に考えたように、
読書をしなかった生徒の比率(母比率)が
当たりが全体の
なので、当たりが全体の
このように考えると、当然ながら、
解答セ:3
(5)
ちょっと話がややこしくなってきたので、いったん整理しておこう。
校長先生と図書委員会が別々に調査を行った。
ふたつの調査は、
母集団が同じなので、母標準偏差
ここで(3)の公式をもう一度見ると、信頼区間は
標本平均を中心として
ふたつの調査で信頼区間の幅は等しい
ことになる。
また、ふたつの調査の標本は異なるので、
標本平均は等しいとは限らない。
なので、ふたつの調査による母平均の信頼区間は、
同じ幅
大小関係は不明
であることが分かる。
よって、校長先生と図書委員会の調査による母平均の信頼区間をそれぞれ赤,オレンジで表すと、ふたつの範囲は
のように完全に重なっているかも知れないし、
のように一部が重なっているかも知れないし、
のように離れているかも知れない。
また、図は赤を右に描いたけど、オレンジが右にあるかも知れない。
ただし、何度も言うけど、赤とオレンジの幅は等しい。
以上より、正しい選択肢は
②,④
である。
解答ソ:2, タ:4 (順不同)
別解
上の解のように、ふたつの信頼区間のイメージが思い描ければいいんだけど、そうじゃなければ仕方がないから計算だ。
校長先生の調査の標本平均を
式D | ||
とかける。
以上を頭に置いて、選択肢をひとつずつ確認しよう。
⓪
となる。
なので、
ふたつの調査の標本平均は等しいとは限らないので、⓪は誤り。
①
となる。
これを数直線で表すと、図Fのようになる。
ふたつの調査の標本平均の差が
ふたつの調査の標本平均の差は分からないので、①は誤り。
②
となる。
式G,式Hより、②は、
ふたつの調査の標本平均の差が
なので、②は正しい。
③,④,⑤
コサシを求めるときに計算したように、
だった。
式Dから
となる。
なので、常に
が成り立つ。
よって、
③,⑤は誤り。
④は正しい。
以上より、正しい選択肢は
②,④
である。
解答ソ:2, タ:4 (順不同)