大学入学共通テスト 2021年(令和3年) 本試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説
(1)
どんな数でも$0$乗は$1$なので、
$f(0)=\displaystyle \frac{2^{0}+2^{0}}{2}$
$\phantom{f(0)}=\displaystyle \frac{1+1}{2}$
$\phantom{f(0)}=1$
である。
解答セ:1
また、
$g(0)=\displaystyle \frac{2^{0}-2^{0}}{2}$
$\phantom{g(0)}=\displaystyle \frac{0}{2}$
$\phantom{g(0)}=0$
となる。
解答ソ:0
さらに、相加平均と相乗平均の関係から、
$\displaystyle \frac{2^{x}-2^{-x}}{2}\geqq\sqrt{2^{x}\cdot 2^{-x}}$
(等号成立は$2^{x}=2^{-x}$のとき)
とかける。
この式の左辺は$f(x)$なので、
$f(x)\geqq\sqrt{2^{x}\cdot 2^{-x}}$
(等号成立は$2^{x}=2^{-x}$のとき)
と表せる。
よって、$f(x)$が最小になるのは等号成立のときで、
$2^{x}=2^{-x}$
より
$x=-x$
$x=0$
のとき。
解答タ:0
最小値は
$\sqrt{2^{0}\cdot 2^{0}}=1$
である。
解答チ:1
$g(x)=-2$
は
$\displaystyle \frac{2^{x}-2^{-x}}{2}=-2$
とかける。
これを解く。
分母を払うと、
$2^{x}-2^{-x}=-4$
負の指数は嫌いな人がいるので、正の指数にかきなおすと、
$2^{x}-\displaystyle \frac{1}{2^{x}}=-4$
$2^{x}=A$とおくと、この式は
途中式
$A-\displaystyle \frac{1}{A}=-4$
より
$A^{2}-1=-4A$
とかける。
解の公式より、
$A=\displaystyle \frac{-4\pm\sqrt{4^{2}-4\cdot 1\cdot(-1)}}{2\cdot 1}$
途中式
$A$$\displaystyle =\frac{-4\pm\sqrt{4(4+1)}}{2}$
$A$$\displaystyle =\frac{-4\pm 2\sqrt{5}}{2}$
アドバイス
$x$の係数が$2$の倍数で、$2b$とかけるとき、
解の公式:$x=\displaystyle \frac{-b\pm\sqrt{b^{2}-ac}}{a}$
っていうのもあるけど、使わないことを薦めます。
この公式に頼ってしまうと、因数分解するのがおろそかになりがちだから。
これを憶える余裕があったら、英単語のひとつでも憶えた方がいいです。
$A=2^{x}$
なので
$2^{x}=-2\pm\sqrt{5}$
だけど、
$0 \lt 2^{x}$
より
$2^{x}=-2-\sqrt{5}$
は不適であることが分かる。
残る
$2^{x}=-2+\sqrt{5}$
が答えなので、これを$x=$の形にする。
この式の両辺の底が$2$の対数をとると
$\log_{2}2^{x}=\log_{2}(-2+\sqrt{5})$
途中式
これを変形して、
$x\log_{2}2=\log_{2}(-2+\sqrt{5})$
$\log_{2}2=1$なので、
である。
解答ツ:5, テ:2
(2)
①~④の式をそれぞれ計算する。
①
$f(-x)=\displaystyle \frac{2^{-x}+2^{-(-x)}}{2}$
$f(-x)$$\displaystyle =\frac{2^{-x}+2^{x}}{2}$
$f(-x)$$\displaystyle =\frac{2^{x}+2^{-x}}{2}$
なので、
$f(-x)=f(x)$
である。
解答ト:0
②
$g(-x)=\displaystyle \frac{2^{-x}-2^{-(-x)}}{2}$
$g(-x)$$\displaystyle =\frac{2^{-x}-2^{x}}{2}$
$g(-x)$$\displaystyle =\frac{-2^{x}+2^{-x}}{2}$
$g(-x)$$\displaystyle =-\frac{2^{x}-2^{-x}}{2}$
なので、
$g(-x)=-g(x)$
である。
解答ナ:3
③
$$
\begin{align}
\left\{f(x)\right\}^{2}-&\left\{g(x)\right\}^{2}\\
&=\left\{f(x)+g(x)\right\}\left\{f(x)-g(x)\right\}
\end{align}
$$
なので、
$$
\begin{align}
\left\{f(x)\right\}^{2}- &\left\{g(x)\right\}^{2}\\
&=\frac{(2^{x}+2^{-x})+(2^{x}-2^{-x})}{2}\\
&\qquad \times\frac{(2^{x}+2^{-x})-(2^{x}-2^{-x})}{2}
\end{align}
$$
とかける。
これを計算して、
$$
\begin{align}
\left\{f(x)\right\}^{2}-\left\{g(x)\right\}^{2}&=\frac{2\cdot 2^{x}}{2}\times\frac{2\cdot 2^{-x}}{2}\\
&=2^{x}\times 2^{-x}\\
&=1
\end{align}
$$
である。
解答ニ:1
④
$g(2x)=\displaystyle \frac{2^{2x}-2^{-2x}}{2}$
$f(x)g(x)=\displaystyle \frac{2^{x}+2^{-x}}{2}\cdot\frac{2^{x}-2^{-x}}{2}$
$f(x)g(x)$$\displaystyle =\frac{(2^{x})^{2}-(2^{-x})^{2}}{2^{2}}$
$f(x)g(x)$$\displaystyle =\frac{2^{2x}-2^{-2x}}{2^{2}}$
となるけど、このふたつの式を見比べると、
$g(2x)=2f(x)g(x)$
であることが分かる。
解答ヌ:2
(3)
問題文に「$\beta$に何か具体的な値を代入して調べ」るような話があるから、やってみよう。
(1)で
$f(0)=1$
$g(0)=0$
が分かっているから、それを使うために、$\beta$に代入する値は$0$だ。
(A)
左辺より、
$f(\alpha-0)=f(\alpha)$
右辺より、
$f(\alpha)g(0)+g(\alpha)f(0)=f(\alpha)\cdot 0+g(\alpha)\cdot 1$
$f(\alpha)g(0)+g(\alpha)f(0)$$=g(\alpha)$
左辺$\neq$右辺となるので、(A)はつねに成り立つわけではない。
(B)
左辺より、
$f(\alpha+0)=f(\alpha)$
右辺より、
$f(\alpha)f(0)+g(\alpha)g(0)=f(\alpha)\cdot 1+g(\alpha)\cdot 0$
$f(\alpha)f(0)+g(\alpha)g(0)$$=f(\alpha)$
左辺$=$右辺となるので、答えの候補だ。
(C)
左辺より、
$g(\alpha-0)=g(\alpha)$
右辺は(B)と同じなので、
$f(\alpha)f(0)+g(\alpha)g(0)=f(\alpha)$
左辺$\neq$右辺となるので、(C)もつねに成り立つわけではない。
(D)
左辺より、
$g(\alpha+0)=g(\alpha)$
右辺より、
$f(\alpha)g(0)-g(\alpha)f(0)=f(\alpha)\cdot 0-g(\alpha)\cdot 1$
$f(\alpha)g(0)-g(\alpha)f(0)$$=-g(\alpha)$
左辺$\neq$右辺となるので、(D)もつねに成り立つわけではない。
以上より、つねに成り立つ可能性があるのは
(B)
だけ。
よって、正しい選択肢は①である。
解答ネ:1