大学入学共通テスト 2021年(令和3年) 本試 数学ⅡB 第2問 解説
(1)
①,②ともに定数項は$3$なので、$x$に$0$を代入すると$y$は$3$になる。
よって、$y$軸との交点の$y$座標は
$3$
である。
解答ア:3
また、
①を微分すると
$y'=6x+2$
②を微分すると
$y'=4x+2$
だから、$x=0$を代入すると、両方とも
$y'=2$
になる。
なので、①,②ともに、$x=0$における接線の傾きは
$2$
である。
よって、求める接線は
傾きが$2$
$y$切片が$3$
の直線だから、
$y=2x+3$
となる。
解答イ:2, ウ:3
アドバイス
以上から、
$y=\cdots+\alpha x^{4}+\beta x^{3}+\gamma x^{2}+ \textcolor{red}{\delta x +}$ $\textcolor{red}{\epsilon}$式A
というグラフがあった場合、
$x=0$における
$y$座標($y$切片)は、式Aの緑の部分
接線の式は、式Aの赤い部分
であることが分かる。
詳しく
$y=\cdots+\alpha x^{4}+\beta x^{3}+\gamma x^{2}+\delta x+\textcolor{darkorange}{\epsilon}$
に$x=0$を代入すると
$y=\textcolor{darkorange}{\epsilon}$
となるので、グラフの$y$切片は必ず式Aの緑の部分になる。
また、
$y=\cdots+\alpha x^{4}+\beta x^{3}+\gamma x^{2}+\textcolor{magenta}{\delta} x+\epsilon$
を微分すると、導関数は
$y'=\cdots+4\alpha x^{3}+3\beta x^{2}+2\gamma x+\textcolor{magenta}{\delta}$
となるけど、これに$x=0$を代入すると、
$y'=\textcolor{magenta}{\delta}$
である。
よって、$x=0$における接線は
傾きが$\textcolor{magenta}{\delta}$
$y$切片が$\textcolor{darkorange}{\epsilon}$
の直線だから、
$y=\textcolor{magenta}{\delta}x+\textcolor{darkorange}{\epsilon}$
となって、必ず式Aの赤い部分になる。
アドバイスより、$x=0$における接線がイウで求めた直線になる二次関数は、$\alpha$を実数として
$y=\alpha x^{2}+\textcolor{red}{2x+3}$
とかける。
選択肢のうち、これにあてはまるのは
④
である。
解答エ:4
次は、
$y=ax^{2}+bx+c$
の$y$切片と接線だ。
アドバイスより、
$y=ax^{2}+\textcolor{red}{bx+}$ $\textcolor{red}{c}$
の
$y$軸との交点の$y$座標は、
緑の部分の $c$
$x=0$における接線$\ell$の式は、
赤い部分の $bx+c$
である。
解答オ:c, カ:b, キ:c
この直線$\ell$と$x$軸との交点の$x$座標は、$y=0$を代入して、
$bx+c=0$
より
$x=-\displaystyle \frac{c}{b}$
である。
解答ク:-, ケ:c, コ:b
$0 \lt a$,$0 \lt b$,$0 \lt c$のとき、
$y=ax^{2}+bx+c$のグラフは
$0 \lt a$なので、下に凸
$-\displaystyle \frac{b}{a} \lt 0$なので、軸は$y$軸より左
だ。
なので、グラフは図Aのようになる。
ただし、図Aでは、とりあえず
$x=-\displaystyle \frac{c}{b}$は放物線の軸よりも左
放物線と$x$軸は共有点をもたない
ように描いてあるけれど、そうなるとは限らない。
図Aの緑の部分の面積$S$は
$S=\displaystyle \int_{-\frac{c}{b}}^{0}\{(ax^{2}+bx+c)-(bx+c)\}dx$
とかける。
これを計算して、$S$は
$S=\displaystyle \int_{-\frac{c}{b}}^{0}ax^{2} dx$
$S$$\displaystyle =\left[\frac{ax^{3}}{3}\right]_{-\frac{c}{b}}^{0}$
$S$$\displaystyle =\frac{1}{3}\left\{a\cdot 0^{3}-a\left(-\frac{c}{b}\right)^{3}\right\}$
$S$$\displaystyle =\frac{ac^{3}}{3b^{3}}$③
となる。
解答サ:3, シ:3, ス:3
$b$と$c$のグラフを考えるために、③を$c=$の形に変形しよう。
$a=1$のとき、③は
$S=\displaystyle \frac{c^{3}}{3b^{3}}$
となる。
これを変形して、
$c^{3}=3Sb^{3}$
両辺の3乗根をとって、
$c=\sqrt[3]{3S}b$③'
$\sqrt[3]{3S}=k$
とおくと、$S$は定数なので、$k$は定数だ。
よって、③'は、定数$k$を使って
$c=kb$
と表せる。
これは正比例の式なので、グラフは、選択肢の
⓪
である。
解答セ:0
(2)
(1)のアドバイスより、④,⑤,⑥の
$y$軸との交点の$y$座標は、$5$
$x=0$における接線$\ell$の式は、$y=3x+5$
である。
解答ソ:5, タ:3, チ:5
同様に、
$y=ax^{3}+bx^{2}+\textcolor{red}{cx+}$ $\textcolor{red}{d}$
の
$y$軸との交点の$y$座標は、
緑の部分の $d$
$x=0$における接線$\ell$の式は、
赤い部分の $cx+d$
である。
解答ツ:d, テ:c, ト:d
$y=h(x)$
のグラフと$x$軸との共有点を考えよう。
$h(x)=f(x)-g(x)$
より
$h(x)=(ax^{3}+bx^{2}+cx+d)-(cx+d)$
$h(x)$$=ax^{3}+bx^{2}$式B
とかける。
グラフと$x$軸との共有点の$x$座標は
$h(x)=0$
の解なので、
$ax^{3}+bx^{2}=0$
を解けばよい。
これを計算して、
$(ax+b)x^{2}=0$
より
$ax+b=0$,$x=0$
なので、グラフと$x$軸との共有点の$x$座標は
$x=-\displaystyle \frac{b}{a}$,$0$
となる。
このうち、
$0$
は重解なので、グラフは$x=0$、つまり原点で$x$軸と接する。
また、$0 \lt a$,$0 \lt b$なので、
$-\displaystyle \frac{b}{a} \lt 0$
である。
なので、グラフは$x \lt 0$の範囲で$x$軸と交わる。
よって、当てはまるグラフは、選択肢の
②
である。
解答ナ:2
また、
$h(x)=0$
は
$f(x)-g(x)=0$
つまり
$f(x)=g(x)$
と表せるけど、この解が
$-\displaystyle \frac{b}{a}$,$0$
なので、この2つの値のとき$f(x)$と$g(x)$の値は等しくなる。
よって、この2つの値のとき、
$y=f(x)$
と
$y=g(x)$
のグラフは共有点をもつ。
解答ニ:-, ヌ:b, ネ:a, ノ:0
最後は、
$\left|f(x)-g(x)\right|$の最大
つまり
$\left|h(x)\right|$の最大
の問題だ。
ナより、
$y=h(x)$
のグラフの概形は、選択肢の②(図B)だった。
いまは
$-\displaystyle \frac{b}{a} \lt x \lt 0$
のときを考えるので、$x$の範囲は図Bの緑の部分だ。
緑の範囲では、グラフは$x$軸よりも上にあるから、
$0 \lt h(x)$
なので、
$\left|h(x)\right|$の最大
は、
$h(x)$の最大
と言いかえられる。
図Bの緑の範囲で$h(x)$が最大になるのは、図Bの赤い点で、極大になる点だ。
ということで、$h(x)$が極大のときの$x$を求めよう。
$h(x)$の式(式B)を微分して、
$h'(x)=3ax^{2}+2bx$
極大になるのは、$h'(x)=0$のときなので、
$3ax^{2}+2bx=0$
より
$(3ax+2b)x=0$
とかける。
よって、$h'(x)$が$0$になるのは、
$x=-\displaystyle \frac{2b}{3a}$,$0$
のとき。
このうち$0$は、図Bを見ると極小になるときの$x$だから、求める答えじゃない。
グラフが極大の赤い点になるのは、
$x=-\displaystyle \frac{2b}{3a}$
のときである。
解答ハ:-, ヒ:2, フ:b, ヘ:3, ホ:a