大学入学共通テスト 2021年(令和3年) 本試 数学ⅡB 第5問 解説

(1)

正五角形のひとつの内角は108だ。
知っていればいいんだけど、知らない人もいるだろうし、多角形の内角の復習から始めよう。

復習

中学校で習った多角形の性質に、
どんな多角形でも、外角の和は360である。 というのがあった。

これを使うと、正五角形のひとつの外角は
3605=72
なので、ひとつの内角は
18072=108
となる。


このほかにもいくつかの解法がある。
3つ紹介したので、必要に応じて確認してほしい。

別解1

n角形の内角の和には公式があって、

公式

内角の和=180(n2)

だった。

これを使うと、五角形の内角の和は
180(52)=1803
なので、ひとつの内角はこれを5で割って、
18035=363
           =108
となる。

別解2

外角の和の性質も 内角の和の公式も知らないときは、次のように考える。

大学入学共通テスト2021年本試 数学ⅡB第5問 復習図

正五角形の頂点を結んで、右図のように3つの三角形に分ける。
緑の角,赤い角,青い角ともに和は180なので、正五角形の内角の和は
180×3
である。

ひとつの内角はこれを5で割って、
18035=363
           =108
となる。

別解3

次のような考え方もある。

大学入学共通テスト2021年本試 数学ⅡB第5問 復習図

正五角形の各頂点から中心を結んで、右図のように5つの合同な三角形をつくる。
5つの赤い角は等しいので、赤い角ひとつは
3605=72
である。

赤い角ひとつと緑の角ふたつで180なので、緑の角ふたつは
18072=108
だから、正五角形のひとつの内角は
108
となる。


正五角形のひとつの内角が分かったところで、問題を解く。

図A
大学入学共通テスト2021年本試 数学ⅡB第5問 解説図A

図Aの青い三角形は頂角108の二等辺三角形なので、青い角はそれぞれ
(180108)÷2=36
である。

よって、
A1C1B1=36
となる。

解答ア:3, イ:6

また、図Aの青い三角形と緑の三角形は、ふたつの辺と間の角が等しいから合同だ。

なので、
青い角=緑の角=36
だから、赤い角は
1082×36=36
である。

よって、
C1A1A2=36
となる。

以上より、錯角が等しいから
A1A2B1C1
なので、
A1A2B1C1
であることが分かる。

さらに、
A1A2=a
B1C1=1
で、
A1A2B1C1は向きも等しい。

よって、
A1A2=aB1C1式A
と表せる。

解答ウ:a


式Aを変形して、
B1C1=1aA1A2式A'

A1A2を、点Oを始点とするベクトルで表すと
A1A2=OA2OA1
なので、式A'は
B1C1=1a(OA2OA1)式A''
とかける。


図B
大学入学共通テスト2021年本試 数学ⅡB第5問 解説図B

aを求めるために、B1C1の式をもうひとつ作って、式A''と係数を比較しよう。

図Bで
赤い矢印=青い矢印

より
B1C1=B1A2+A2O+OA1+A1C1式B
と表せる。

詳しく

ベクトルとは、移動のようなものだ。
B1C1(図Bの赤い矢印)を、B1からC1への移動と考える。
B1からC1への移動は他にもルートがある。
例えば図Bの青い矢印は、かなり遠回りだけれどB1からC1への移動だ。
なので、青いベクトルの和と赤いベクトルは等しいといえる。

式Aをつくったときと同様に考ると
B1A2=aA1O A1C1=aOA2 なので、式Bは
B1C1=aA1O+A2O+OA1+aOA2
とかける。

式A''でB1C1を表すのに使ったベクトルはOA1OA2だった。
今回もそれに合わせると、
B1C1=aOA1OA2+OA1+aOA2

途中式 B1C1=(1a)OA1+(a1)OA2
B1C1=(a1)OA2(a1)OA1
B1C1=(a1)(OA2OA1)式B'
となる。

解答エ:a オ:1


式A''=式B'なので、ふたつの式の赤い部分は等しい。
なので、
1a=a1
とかける。

これを解いて、

途中式 1=a2a
a2a1=0
解の公式より
a=1±1241(1)21
a=1±52
0<aなので、a
a=1+52
である。

(2) カ~サ

図C
大学入学共通テスト2021年本試 数学ⅡB第5問 解説図C

図Cで、オレンジの面上にある赤いベクトルは、青いベクトルの和と等しい。
よって、
OB1=OA2+A2B1式C
とかける。

(1)で考えたように
A2B1=aOA1
なので、式Cは
OB1=OA2+aOA1式C'
と変形できる。


また、
A1A2=a
A1A2=1+52
なので、
|A1A2|=1+52式D
とかける。

いま
A1A2=OA2OA1
なので、式Dは
|OA2OA1|=1+52
となるから、
|OA2OA1|2=(1+52)2

途中式 |OA2OA1|2=1+25+522=6+2522
|OA2OA1|2=3+52式E
である。

解答カ:3, キ:5, ク:2


式Eをさらに変形すると、
(OA2OA1)(OA2OA1)=3+52
より
|OA2|22OA1OA2+|OA1|2=3+52式E'
となる。

いま、正十二面体の1辺の長さは1なので、
|OA1|=|OA2|=1
だから、式E'は
122OA1OA2+12=3+52
とかける。

これを計算して、

途中式 2OA1OA2=23+52
2OA1OA2=152
OA1OA2=154
である。

解答ケ:1, コ:5, サ:4

(2) シ,ス

図D
大学入学共通テスト2021年本試 数学ⅡB第5問 解説図D

図Dで、緑の面上にある赤いベクトルは、青いベクトルの和と等しい。
よって、
OB2=OA3+A3B2式F
とかける。

さっきと同じように考えると
A3B2=aOA2
なので、式Fは
OB2=OA3+aOA2式F'
と変形できる。


図E
大学入学共通テスト2021年本試 数学ⅡB第5問 解説図E

また、OA1OA2OA3(図Eの3つの赤いベクトル)は、
すべて大きさが1 どの組合せも、なす角は108 で等しい。

なので、
OA1OA2=OA2OA3=OA3OA1
であり、より、
OA1OA2=OA2OA3=OA3OA1=154式G
である。


ここで、
OA1OB2
を考える。

式F'より、
OA1OB2=OA1(OA3+aOA2)

これを計算して
OA1OB2=OA1OA3+aOA1OA2

式Gを代入して、
OA1OB2=154+a154
OA1OB2=(a+1)154

a=1+52なので、
OA1OB2=(1+52+1)154

途中式 OA1OB2=3+52154
OA1OB2=325524
OA1OB2=22524
OA1OB2=154式H
である。

解答シ:9


また、
OB1OB2
に式C'を代入すると
OB1OB2=(OA2+aOA1)OB2

これを計算すると
OB1OB2=OA2OB2+aOA1OB2式I
となるけど、この式の緑の部分は式Hで計算済み。
赤い部分を考えよう。

OA2OB2
は、式F'より
OA2OB2=OA2(OA3+aOA2)
とかける。

これを計算して
OA2OB2=OA2OA3+a|OA2|2

式Gと|OA2|=1を代入して、
OA2OB2=154+a

これと式Hを式Iに代入して、
OB1OB2=154+a+a154

途中式

OB1OB2=154+a(1+154)
OB1OB2=154+a354

a=1+52なので、
OB1OB2=154+1+52354
OB1OB2=154+3+25524
OB1OB2=154+2+2524
OB1OB2=154+1+54

OB1OB2=0
である。

解答ス:0

(2) セ

図F
大学入学共通テスト2021年本試 数学ⅡB第5問 解説図F

図Fで、赤いベクトルは、青いベクトルの和と等しい。
よって、
OD=OB2+B2D式J
と表せる。

いま、

B2D=aA2C1
OB1=aA2C1

なので、
B2D=OB1
となるから、式Jは
OD=OB2+OB1
とかける。

つまり、stを実数として
OD=sOB1+tOB2
の形で表せるので、点OB1DB2は同一平面上にある。


また、
OB1=OB2=B1D=B2D=a
なので、四角形OB1DB2(図Fの紫の四角形)のすべての辺の長さは等しい。

さらに、より
OB1OB2=0
なので、
B1OB2=90
である。

以上より、紫の四角形は
正方形
であることが分かる。

解答セ:0