大学入試センター試験 2020年(令和2年) 追試 数学ⅡB 第4問 解説

(1)

図A
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅡB第4問 解説図A

まず、|BD|2pqで表す。

BD=ADAB
BD=qp
なので、
|BD|2=(qp)(qp)
より
|BD|2=|q|22pq+|p|2
とかける。

これに
|p|=|q|=1 pq=x を代入して、
|BD|2=122x+12=22x である。

解答ア:2, イ:2

(2)

図B
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅡB第4問 解説図B

ADBEなので、sを実数として
BE=sAD式A
      =sq
とかける。

このとき、
AE=AB+BE
      =p+sq式B
となる。

このsを求める。


問題文に|DE|=1を使うように指示があるので、まず|DE|2pqで表そう。

DE=AEAD
だから、式Bより
DE=p+sqq
      =p+(s1)q
とかける。

よって、
|DE|2={p+(s1)q}{p+(s1)q}
なので
|DE|2=|p|2+2(s1)pq+(s1)2|q|2
式C
と表せる。

式Cに
|DE|=1 |p|=|q|=1 pq=x を代入すると、
12+2(s1)x+(s1)21=1
より
2(s1)x+(s1)2=0
(s1){2x+(s1)}=0
となる。

この式が成り立つのは
s1=0
または
2x+(s1)=0式D
のとき。

このうち、
s1=0
のときは
s=1
となるので、式Aより
BE=AD
となって、点Cと点Eが一致してしまうので不適。

式Dのとき、
2x+s1=0
より、s
s=2x+1式E
となって、これが答えだ。

解答ウ:-, エ:2, オ:1

(3)

図C
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅡB第4問 解説図C

|BD|2は求めているから、|BE|2を求めて
|BE|2=|BD|2
の方程式を作ろう。

式Aより
BE=sq
なので、式Eより
BE=(2x+1)q
とかけるから、
|BE|2=(2x+1)2|q|2
|BE|2=(2x+1)2
である。

これが(1)で求めた|BD|2と等しいので、
(2x+1)2=22x
とかける。

これを解くと、
4x24x+1=22x
4x22x1=0
より
x=2±2244(1)24
x=2±21+424
x=1±54式F
となる。

ここで、
BAD>90
なので、
cosBAD<0
だ。

このとき、
pq=ABAD
pq=|AB||AD|cosBAD<0
なので、
x<0
である。

よって、式Fの2つの解のうち、
x=154
が求める解だ。

解答カ:1, キ:5, ク:4


これを式Eに代入して、
s=2154+1
より
s=1+52+22
s=1+52式G
である。

これを式Bに代入すると
AE=p+1+52q
となる。

解答ケ:1, コ:5, サ:2

(4)

図D
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅡB第4問 解説図D

直線ACに対して、
Eと点Fは対称 Bと点Dは対称なので、pqは対称 なので、①式のpqを入れ替えると、AFの式ができる。

よって、
AF=1+52p+q式H
とかける。

解答シ:1, ス:5, セ:2

EF=AFAE
に式Hと①式を代入すると
EF=1+52p+q(p+1+52q)
より
EF=(1+1+52)(pq)
EF=1+52(pq)
となるけど、
pq=DB
なので、この式は
EF=1+52DB式I
とかける。

解答ソ:-, タ:1, チ:5, ツ:2


また、式Aに式Gを代入すると、
BE=1+52AD
BE=1+52q式J
となる。

いま、
|q|=1 |BD|=|BE| なので、式Jより
|BD|=1+52
となる。

解答テ:1, ト:5, ナ:2

別解


|BD|2=22x
に、

x=154
を代入しても解けるけど、2重根号になって計算がちょっと増える。

この場合、
|BD|2=22154
         =6+254
なので、|BD|>0より
|BD|=6+252
となる。

この2重根号をはずして、
|BD|=1+52
である。

解答テ:1, ト:5, ナ:2

よって、式Iより、
|EF|=1+521+52
|EF|=1+522
      =1
である。

解答ニ:1

以上より、ABFEDは一辺が1の正五角形であることが分かる。

(5)

図E
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅡB第4問 解説図E

さらに、△ABDの外接円を円R,その中心を点Rとする。
このとき、
ABFEDは正五角形なので、円Rに内接する。 AFEを点Rを中心として反時計回りに144回転させると、△FDAと重なる。

よって、点R
直線AC上にある 直線FM上にある ことが分かる。

あとは、ARの式を2通り作って連立方程式に持ち込む、いつものパターンだ。


Rは直線FM上にあるので、tを有理数として
AR=tAF+(1t)AM式K
とかける。

ここで、
式Hより、
AF=1+52p+q
AM=12AD
      =12q
なので、式Kは
AR=t(1+52p+q)+12(1t)q
より
AR=1+52tp+tq+12(1t)q
AR=1+52tp+12(1+t)q式K'
と変形できる。


また、点Rは直線AC上にあるので、uを有理数として
AR=uA式L
とかける。

ここで、
AC=p+q なので、式Lは
AR=u(p+q)
AR=up+uq式L'
と変形できる。


式K'=式L'なので、ふたつの式のpqの係数同士は等しいから、連立方程式

1+52t=u
12(1+t)=u

ができる。

これを解くと、
1+52t=12(1+t)式M
より
t+5t=1+t
5t=1
t=15
であることが分かる。

これを式K'に代入して、ARは、
AR=1+5215p+12(1+15)q
AR=1+5255p+125+55q
AR=5+510(p+q)
である。

解答ヌ:5, ネ:5, ノ:1, ハ:0

アドバイス

上の解説は解き慣れた方法で解いてある。
けれど、本当はもっと省略した方法で解ける。

図Eを見ると、図形は直線ARに関して対称なので、
AR=αp+βq
と表すと、
α=β
になる。
問題文中のの式もそうなっているし。

なので、式Lを考えなくても、式K'から直接式Mをつくることができる。