大学入試センター試験 2020年(令和2年) 追試 数学ⅡB 第3問 解説
(1)
(1)は、漸化式のルールを理解するための前振りの問題だ。
漸化式がちょっと分かりにくいので、確認から。
だけど、これでは全然イメージがわかない。
こういう場合は、目に見える形にすることが重要だ。
つまり、何項目かまでを図にする。
図をつくるとき、ひとつ気をつけてほしいことがある。
先にそれぞれの項の値を求めてはいけない。
何のことやら分からないと思うので、実際に
漸化式①より、
なので、図Aの緑の線でつながった丸の項は同じ値である。
漸化式②より、
だけど、これを図Aの下に描きたすと、図Bができる。
図Bの青い点の項の和が、
さらに、漸化式①より、
なので、図Cの2段目の緑の線でつながった丸の項も同じ値である。
これを繰りかえして
項同士の関係をイメージすることが目的なので、ここまで項の値は求めなかった。
これに項の値を書き込むと、図Eになる。
アドバイス
こうして考えながら図を描くと、①②の漸化式の意味がよく分かる。
図や表をかくことは、考えを整理したり実感したりする方法でもあるのだ。
センター試験本番は時間との戦いだけど、このくらいの図ならあまり手間取らないと思う。
図Eより、
である。
解答ア:1, イ:3, ウ:2, エ:3
漸化式①より、
なので、図Eより
解答オ:4
漸化式①より、
漸化式②より、
なので、図Eより
である。
解答カ:7
別解
図Eを使わずに解くと、次のような計算になる。
漸化式①より、
なので、
である。
解答ア:1
漸化式②より、
なので、
である。
解答イ:3
漸化式①より、
なので、
である。
解答ウ:2
漸化式②より、
なので、
である。
解答エ:3
漸化式①より、
漸化式②より、
なので、
である。
解答オ:4
漸化式①より、
漸化式②より、
だけど、漸化式①より
なので、
である。
解答カ:7
(2)
図Eをつくるときに気づいたと思うけど、
であれば
だ。
なので、
と表せる。
よって、
である。
解答キ:2
アドバイス
ここで使っているのは漸化式①だけなんだけど、①の式を見ているだけでは 式Aはなかなか思いつかなかったりする。
漸化式のルールが分かりにくいときには、先に図や表をかいてイメージをつかんでおくことをお勧めする。
(3)
突然、群数列の問題になった。
以下、解説をシンプルにするために、
第
例えば、
第
第
と書く。
図Eを群に分けると、図Fができる。
図Fを見ながら、まず
こういうときは、ひとつ例をとりだして考える。
図Fより、例えば
だけど、なぜそうなるかを考える。
個の項が、
式Bの赤い部分を計算すると
となるから、
つまり、
第
第
個の項が、
式Cの赤い部分を計算すると
解答ク:2, ケ:2, コ:2
なので、式Cは
となるから、
つまり、
である。
解答サ:1
※より、
である。
この式の
であることが分かる。
解答シ:3
ここから、和の問題だ。
はじめは、いつものようにルール確認の前振り問題から。
なので、図Fより、
である。
解答ス:3
なので、図Fより、
である。
解答セ:9
なので、図Fより、
である。
解答ソ:6
なので、図Fより、
である。
解答タ:3
(4)
そろそろ問題も佳境に入ってきた。
今度は
つまり、
頭の中だけで考えると混乱するので、図を見ながら考えよう。
図Fはちょっとごちゃごちゃしているし、各項の値はとりあえず必要ないから、省略して図Gをつくってみた。
これを見ながら考える。
まず、
これは、オレンジの丸をつけた項の和と等しいから、
とかける。
これは、オレンジの丸をつけた項の和と等しいから、
とかける。
このことから、
ではないかと予想できる。
これは予想にすぎないので、本当かどうか確認しよう。
式D,式Eより、
なので、第
の項が含まれる。
よって、
とかける。
同様に、式D,式Eより、
の項が含まれる。
このうち、偶数番目の項は
なので、
とかける。
ここで、
よって、式F
であるとの予想は正しいことが分かる。
解答チ:0
次に、
これは、オレンジの丸をつけた項の和と等しいけど、
なので、
とかける。
これは、オレンジの丸をつけた項の和と等しいけど、
なので、
とかける。
このことから、
ではないかと予想できる。
これは予想なので確認ないといけないけれど、
解答ツ:4
さらに
に式H,式Iを代入して
である。
解答テ:8
別解
全くお薦めでもないし、ゼンゼン数学じゃないけど、答えを出すだけなら次のような方法もある。
ス~タおよび図Fより、
なので、
⓪ | ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
これを使って、選択肢のうちでどれが当てはまるかを探す。
まず、
なので、値が等しいのは選択肢の⓪である。
解答チ:0
次に、
なので、値が等しいのは選択肢の①,④,⑦。
なので、値が等しいのは選択肢の④,⑦。
だから、正しいのは選択肢の④と⑦のどちらか。
それから、
なので、値が等しいのは選択肢の⑧,⑨
に④と
とかける。
なので、この場合、
となる。
に⑦と
となるけど、この右辺は選択肢にないので、
よって、正解は
であることが分かる。
解答ツ:4, テ:8
以上より、
であることが分かった。
あとは、この漸化式を解く。
式J,式Kより、
初項が
よって、一般項
である。
解答ト:9
式L,式M,式Nの
とかける。
式N'を式L',式M'に代入すると、
であることが分かる。
となる。
よって、式L'',式M''は
解答ナ:5, ニ:1