大学入試センター試験 2020年(令和2年) 追試 数学ⅠA 第3問 解説

はじめに

玉を取り出す前、つぼの中は図Aのような状態だ。

図A
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第3問 解説図A

問題文中にもあるけど、玉を1個ずつ全部取り出す試行は、すべての玉を一列に並べる試行と等しい。
なので、この解説では、玉を一列に並べるものとして説明する。

その際、玉の位置を、左から数えて○囲み数字で表す。
例えば、2回目に取り出された玉は、
すべての玉を一列に並べたとき、左から2番目の玉 であり、
「②」と表す ことにする。

(1)

①②が赤玉である確率は

6C210C2=652110921=65109=13

である。

解答ア:1, イ:3

(2)

10個の玉を一列に並べる場合の数は
10!
だけど、6個の赤玉同士、4個の赤玉同士は区別がつかない。

なので、10!
6!

4!
で割って、求める場合の数は
10!6!4!=10987654321654321×4321=1037=210 通りある。

解答ウ:2, エ:1, オ:0

別解

一列に並べた10個の玉のうち、4個を選んで白玉にすればよいと考えると、
選ぶ順番は関係ないので、
10C4=109874321=1037=210 通りある。

解答ウ:2, エ:1, オ:0


8回目終了時に白玉がすべて取り出されている場合は、
赤玉4個と白玉4個を一列に並べる ときの場合の数と等しい。

8個の玉を一列に並べる場合の数は
8!
だけど、4個の赤玉同士、4個の白玉同士は区別がつかない。

なので、8!
4!×4!
で割って、求める場合の数は
8!4!×4!=876543214321×4321=725=70 通りある。

解答カ:7, キ:0

別解

一列に並べた8個の玉のうち、4個を選んで白玉にすればよいと考えると、
選ぶ順番は関係ないので、
8C4=87654321=725=70 通りある。

解答カ:7, キ:0


⑨⑩が赤玉である場合、白玉は4個とも①~⑧に含まれる。
よって、カキを確率にすると、それがp9だ。

以上より、カキを式Aで割って、
p9=701037=13 となる。

解答ク:1, ケ:3


次に、p3(③④が赤玉である確率)を求める。

これは、図Bのような状態。
図中、赤玉または白玉の部分は赤玉でも白玉でもよい。

図B
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第3問 解説図B

この場合の数は、8つの赤玉または白玉の部分に赤玉4個と白玉4個を並べればよいので、
8!4!4!または8C4
となって、カキと等しい。

なので、確率もp9と等しく
p3=13
である。

解答コ:1, サ:3

(3)

シスセソはそのまま求めてもいいんだけど、作業が少し楽なので、ここでは余事象を使って考える。
余事象を使わない方法は、別解で説明した。


4回目終了時に赤玉が2個以上取り出されている事象の余事象は、①②③④のうち赤玉が2個未満の場合。
つまり
赤玉なし,白玉4個 赤玉1個,白玉3個 の2つの場合。

それぞれの確率は、
赤玉なし,白玉4個のとき
4C410C4
赤玉1個,白玉3個のとき
6C14C310C4=6C14C110C4
とかける。

余事象の確率は、この2つをたして、
4C410C4+6C14C110C4=1+64109874321

途中式 4C410C4+6C14C110C4=251037=5237
4C410C4+6C14C110C4=542
だ。

これを全体事象の1から引いて、求める確率は
1542=3742
である。

解答シ:3, ス:7, セ:4, ソ:2

別解

これを余事象を使わずに解くと、以下のようになる。

4回目終了時に赤玉が2個以上取り出されているのは、①②③④が
赤玉2個,白玉2個 赤玉3個,白玉1個 赤玉4個,白玉なし の3つの場合。

それぞれの確率は、
赤玉2個,白玉2個のとき
6C24C210C4
赤玉3個,白玉1個のとき
6C34C110C4
赤玉4個,白玉なしのとき
6C410C4=6C210C4
とかける。

よって、求める確率は、この3つをたして、
6C24C210C4+6C34C110C4+6C210C4

途中式 =65214321+6543214+6521109874321=653+544+351037=63+44+3237
=3742
となる。

解答シ:3, ス:7, セ:4, ソ:2

ここで、条件付き確率の復習をすると、

復習

事象Aが起こる確率をP(A),事象Aと事象Bの両方が起こる確率をP(AB)とするとき、
Aが起こったときにBが起こる条件付き確率PA(B)は、
PA(B)=P(AB)P(A)式B
である。

だった。

今回、復習の事象Aにあたるのは、4回目終了時に赤玉が2個以上取り出されている事象。
なので、シスセソより、
P(A)=3742式C
である。

また、事象Bにあたるのは、①②が赤玉の事象。
このとき、3回目と4回目に取り出される玉が赤白どちらであっても、4回目終了時には赤玉が2個以上出ていることになる。
なので、事象Bであれば必ず事象Aに含まれる。
つまり、事象Bであれば必ず事象(AB)である。

よって、より、
P(AB)=P(B)=13 である。

以上より、式C,式Dを式Bに代入して、求める条件付き確率PA(B)は、
PA(B)=133742=42337=1437 となる。

解答タ:1, チ:4, ツ:3, テ:7

(4)

タチツテと同じように考えよう。

復習の事象Aにあたるのは、タチツテのときと同じで、4回目終了時に赤玉が2個以上取り出されている事象だ。

これは、シスセソより、
P(A)=3742式C
だった。


事象Bにあたるのは⑨⑩が赤玉の事象。
なので、(AB)は図Cの事象である。

図C
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第3問 解説図C

図Bの事象の確率P(AB)を求める。
いっぺんに考えると混乱するから、1ステップずつ考えよう。

まず、事象Bが起こる確率から。
事象Bの確率はp9なので、より
13式E
だ。

事象Bが起こったとき、赤玉のうち2個は⑨⑩の位置なので、残りの玉は
赤玉4個 白玉4個 の合計8個。
次に求めるのは、この8個を一列に並べたときに①②③④のうち2個以上が赤玉である確率だ。

今回も、シスセソのときと同じように余事象を使うと、①②③④が
赤玉なし,白玉4個 赤玉1個,白玉3個 の2つの場合の確率を求めて、1から引けばよい。

それぞれの確率は、
赤玉なし,白玉4個のとき
4C48C4
赤玉1個,白玉3個のとき
4C14C38C4=4C14C18C4
とかける。

なので、余事象の確率は、この2つをたして1から引いて、
1(4C48C4+4C14C18C4)

途中式 =11+4487654321=117275=7017275
=53275式F
となる。

この部分の別解

式Fの確率を余事象を使わずに求めると、以下のようになる。

4回目終了時に赤玉が2個以上取り出されているのは、①②③④が
赤玉2個,白玉2個 赤玉3個,白玉1個 赤玉4個,白玉なし の3つの場合のとき。

赤玉2個は⑨⑩に使うので、残る8個を考えると、それぞれの確率は
赤玉2個,白玉2個のとき
4C24C28C4
赤玉3個,白玉1個のとき
4C34C18C4=4C14C18C4
赤玉4個,白玉なしのとき
4C48C4
とかける。

この3つをたすと、上の解説の式Fだ。
4C24C28C4+4C14C18C4+4C48C4

途中式 =43214321+44+187654321=66+44+1275
=53275式F
である。

図Bの事象(AB)は、
⑨⑩が赤玉 ①②③④のうち個以上が赤玉 の両方が起こったとき。
両方とも起こらないといけないので、かけ算だ。

よって、図Cの事象(AB)の確率は、式Eと式Fをかけて、
1353275=533275式G
である。


以上より、求める条件付き確率PA(B)は、式C,式Gを式Bに代入して、

PA(B)=5332753742

途中式 $PA(B)=5342327537=53537
PA(B)=53185

となる。

解答ト:5, ナ:3, ニ:1, ヌ:8, ネ:5

(5)

今回も、1ステップずつに分けて考えよう。

玉に印をつけるところから考える。
⑨⑩が印のついた赤玉である確率を求めるので、印のついた赤玉は2個以上ないと困る。

なので、印をつけるために玉を3個取り出したときに、それが
赤玉2個,白玉1個パターンA 赤玉3個,白玉なしパターンB の2パターンのどちらかでなければならない。

この2パターンに分けて考える。

以下、印のついた赤玉同士は見分けがつかないものとして解く。

アドバイス

見分けがつくものとして解いてもいいけど、これまで赤玉白玉ともに見分けがつかないとして考えてきたので、ここではそれにあわせておく。

パターンA

印をつけるためにつぼから玉を3個取り出したとき、それが
赤玉2個,白玉1個 である確率は、

6C24C110C3=652141098321=654321211098=12 である。


取りだした球に印をつけると、10個の玉のうちわけは
印のついた赤玉2個 印のついた白玉1個 赤玉4個 白玉3個 となる。

この10個の玉を一列に並べる場合の数は、
10!2!1!4!3!
または
10C28C17C43C3
とかける。

これを計算すると、どちらの式も
109876543212114321321
より
109475式I
通りある。


いま問われているのは、図Dのように並ぶ確率だ。

図D
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第3問 解説図D

⑨⑩の部分の場合の数は、見分けのつかない2つの印のついた赤玉を並べるので、
1式J
通り。

残りの8つの赤玉または白玉の部分には
印のついた白玉1個 赤玉4個 白玉3個 を一列に並べるので、場合の数は
8!1!4!3!
または
8C17C43C3
より
8765432114321321=875式K
通り。


以上より、パターンAになる確率は、
式H×式J×式K式I

より
12×1×875109475式L
である。

パターンB

印をつけるためにつぼから玉を3個取り出したとき、それが
赤玉3個 である確率は、

6C310C3=6543211098321=6543213211098=16 である。


取りだした球に印をつけると、10個の玉のうちわけは
印のついた赤玉3個 赤玉3個 白玉4個 となる。

この10個の玉を一列に並べる場合の数は、
10!3!3!4!
または
10C37C34C4
とかける。

これを計算すると、どちらの式も
109876543213213214321
より
103475式N
通りある。


いま問われているのは、図Dのように並ぶ確率だ。

図D
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第3問 解説図D

⑨⑩の場合の部分の数は、3つの印のついた赤玉うち2個を取り出して並べるんだけど、印のついた赤玉同士は見分けがつかないので
1式O
通り。

アドバイス

ここのところが分かりにくいかも知れない。

3つの印のついた赤玉のうち2個を取り出して並べるから、
玉の取り出し方が、3C2通り 取りだした2個の印のついた赤玉は区別がつかないので、並べ方1通り あわせて
3C2×1通り
じゃないの?っていう疑問が出そうだ。


ひとつ、例を挙げて考えよう。
印のついた赤玉3個と白玉1個を一列に並べるときに、図Eのようになる場合の数を求めてみる。

図E
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第3問 解説図E

考えるまでもなく、答えは図Fの2通りしかない。

図F
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第3問 解説図F

これを、
③④の部分は、3つの印のついた赤玉のうち2個を取り出して並べるのから3C2通り と考えてしまうと、
③④の並べ方は、
3C2=3通り
①②の並べ方は、残った印のついた赤玉白玉を並べるから、
2!=2通り
より
3×2=6通り
となってしまう。

こうなった理由は、3個の印のついた赤玉から2個取り出す場合の数が
3C2通り
としてしまったこと。
3個の印のついた赤玉は区別がつかないので、どの2個を取り出しても同じ場合と考える。

図Dの8つの赤玉または白玉の部分には、⑨⑩を並べた残りの
印のついた赤玉1個 赤玉3個 白玉4個 を一列に並べるので、場合の数は

8!1!3!4!
または
8C17C34C4
より
8765432113214321=875式P
通り。


以上より、パターンBになる確率は、
式M×式O×式P式N

より
16×1×875103475式Q
である。

上の計算から、ハヒは、式Lと式Qをたして、

8752109475+8756103475

途中式 =(875)29(10475)+(875)63(10475)=2(875)29(10475)=195
=145

である。

解答ノ:1, ハ:4, ヒ:5