大学入試センター試験 2020年(令和2年) 追試 数学ⅠA 第2問 [1] 解説

アイ

まず、ABPで、ABを求める問題。
APBPsinPABが分かっている。
求めたいABとあわせて3辺と1角を使うから、余弦定理だ。

余弦定理なので、sinPABからcosPABをつくろう。

sin2PAB+cos2PAB=1より
(223)2+cos2PAB=1

途中式 cos2PAB=1832=132
cosPAB=±13

となるけど、PABが鋭角か鈍角かが分からないから、cosPAB1313のどちらか分からない。
仕方がないから両方計算して、AB<APになる方が答えだ。

cosPAB=13のとき

PAB=αとおくと、αは鋭角なので、ABPは図Aのような形になる。

図A
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図A

この三角形に余弦定理を使うと、
PB2=AB2+AP22ABAPcosPAB
より
(217)2=AB2+622AB613

途中式 2217=AB2+223222AB
AB222AB+22(3217)=0
AB24AB228=0
(AB8)(AB+4)=0
0<AB なので、
AB=8
である。

これは、AB>APとなるので不適。

cosPAB=13のとき

PAB=βとおくと、βは鈍角なので、ABPは図Bのような形になる。

図B
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図B

この三角形に余弦定理を使うと、
PB2=AB2+AP22ABAPcosPAB
より
(217)2=AB2+622AB6(13)
式A

途中式 2217=AB2+2232+22AB
AB2+22AB+22(3217)=0
AB2+4AB228=0
(AB+8)(AB4)=0
0<AB なので、
AB=4式B
となる。

これはAB<APなので、答えだ。
このとき、βは鈍角なので、PABは鈍角である。

解答ア:4, イ:2

アドバイス

上の解説では、cosPAB1313の両方のときを真っ正直に計算した。
けれど、三角形の図が思い浮かべられれば、次のような考え方もできる。

sinPAB1なので、PABは直角じゃない。
PABが鋭角のときの PABα AAα PABが鈍角のときの PABβ AAβ とする。

このとき、
sinα=sinβなので、
α+β=180
6<217 だから、AαBP(赤い三角形)とAβBP(緑の三角形)は図Cのような関係になる。

図C
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図C

今回、ABが答えか不適かを見分ける条件は、AB<APを満たすかどうかということ。
なので、図CのAαBAβBの短い方が答えになるはず。
よって、答えはAβBで、cosPAB=13のときだ。

以上より、PABは鈍角で、ABは式A~式Bの計算をすればよい。

説明は長くなったけれど、図のイメージさえ思いつけば考えるのは一瞬だ。

ウエ

次に、図Dのように点Cをとり、ACを求める。

図D
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図D

ACPに余弦定理を使うんだけど、式A~式Bの計算を少し変えて再利用する。

PC2=AC2+AP22ACAPcosPAC
より
(317)2=AC2+622AC6(13)

途中式 3217=AC2+2232+22AC
AC2+22AC+32(2217)=0
AC2+4AC3213=0
(AC+13)(AC9)=0
0<AC なので、
AC=9
である。

よって、BC
BC=ACAB=94=5 となる。

解答ウ:9, エ:5

別解

ゼンゼンお薦めじゃないんだけど、を求めるのは 次のような方法もある。
図Aの点AAに変えて 図Dと重ねると、図Eができる。

図E
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図E

図EのABは、図AのABにあたるので、
AB=8
である。

AA=ABAB
より
AA=84=4 となる。
さらに、PAAは二等辺三角形なので、点PからAAに下ろした垂線の足をDとすると、
AD=AA2=2 である。


これを使って、DPを求める。

直角三角形ADPにおいて、三平方の定理より、
AD2+DP2=AP2
とかける。

これを計算して、
22+DP2=62
より
DP2=6222=(6+2)(62)=84

0<DPなので、
DP=42式C
である。


これで、直角三角形CDPの2辺が分かった。
残るCDは、もう一回 三平方の定理だ。

直角三角形CDPにおいて、三平方の定理より、
CD2+PD2=CP2
なので
CD2=CP2PD2
より
CD2=(317)2(42)2
とかける。

これを計算して、
CD2=917162=121=112 0<CDなので
CD=11
である。


よって、問われているACは、
AC=CDAD
より
AC=112=9

BC
BC=ACAB=94=5 となる。

解答ウ:9, エ:5

オ~ク

図F
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図F

さらに、図Fの青い三角形の外接円の半径を求める。

外接円の半径Rが含まれている公式は
正弦定理
asinA=bsinB=csinC=2R
三角形の面積の公式
S=abc4R式D
の2つある。

どちらを使っても解けるので、せっかくだから両方解説する。

正弦定理を使った解法

まず、図Fの青い三角形のひとつの角のsinを求める。
求めやすいのはsinBCPだ。

図FのACPに正弦定理を使うと
CPsinPAC=APsinACP
より
317223=6sinACP
とかける。

これを解いて、
317sinACP=6223
sinACP=6223317=222317 なので、
sinBCP=222317
である。

ここまでの別解

sinBCPを求めるのはの別解を使う方法もある。

図G
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図G

の別解の式Cで求めたように、
DP=42
だった。
これを図Eに書き込むと、図Gができる。

図Gのオレンジの直角三角形に着目すると、
sinBCP=sinDCP=DPCP とかけるから
sinBCP=42317
である。

以上で求めたsinBCPを使って、図F・図Gの青い三角形で正弦定理だ。

青い三角形の外接円の半径をRとすると、
2R=BPsinBCP
より
2R=217222317
とかける。

これを解いて、
R=3172222=31742 分母を有理化して
R=5128
である。

解答オ:5, カ:1, キ:2, ク:8

三角形の面積の公式を使った解法

ABPの面積は、
ABP=12ABAPsinPAB
より
ABP=1246223=422 である。

ABPBCPは、高さが等しく底辺の比が4:5なので、面積比も
ABP:BCP=4:5
より
BCP=54ABP
とかける。

これに式Eを代入すると、
BCP=54422=522 であることが分かる。

よって、図Fの青い三角形に式Dを使うと、
S=abc4R
より
522=52173174R
と表せる。

これを解いて、
R=52173174522=21731742 より
R=5128
である。

解答オ:5, カ:1, キ:2, ク:8

ケコ

図H
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図H

これまでの図にPBCの外接円と外心Oを書き込むと、図Hができる。

図Hで
ACAB=94=36 AP2=62=36 よりACAB=AP2なので、方べきの定理の逆より、直線APは外接円Oに点Pで接する。

つまり、
AOPAPO=90の直角三角形 OPは外接円の半径R となる。

よって、三平方の定理から
AO2=AP2+OP2
より
AO2=62+R2
AO2R2=62=36 である。

解答ケ:3, コ:6


上の解説のように、APOPに気づけばケコは簡単に求められるけど、気づかなければ仕方がない。
面倒だけれど、別解のような作業になる。

まず、外心について復習しておこう。

復習

大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第2問[1] 復習図

右図のように、三角形の外接円の中心(外心)をOとするとき、
3本の赤い線は等しい 3つの辺の垂直二等分線(緑の線)は外心で交わる

復習より、図Iのように 点OBCの垂直二等分線上にある。
BCの中点をHとする。

別解1

図I
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図I

図Iの青い直角三角形に三平方の定理を使うと
AO2=AH2+OH2
より
AO2=(4+52)2+OH2式F
とかける。

また、黄色い直角三角形に三平方の定理を使うと
OB2=BH2+OH2
より
R2=(52)2+OH2式G
とかける。

式Fから式Gを辺々引いて、

AO2=(4+52)2+OH2
)R2=(52)2+OH2
AO2R2=(4+52)2(52)2

より
AO2R2=(4+52+52)(4+5252)=(4+5)×4=36 となる。

解答ケ:3, コ:6

アドバイス

くれぐれも、式Gの段階でR5128を代入してOHを求めようとしてはいけない。
文字に値を代入するのは、文字のままだと それ以上計算が出来ない状態になってから。

別解2

これも お勧めというわけじゃないんだけど、せっかくだから もうひとつ解法を紹介しておく。

図J
大学入試センター試験2020年追試 数学ⅠA第2問[1] 解説図J

図Jの黄色い三角形は直角三角形なので、
cosOBH=BHOB
より
cosOBH=52R=52R である。

OBH+OBA=180なので、
cosOBA=cosOBH=52R となる。

図Jの緑の三角形に余弦定理を使うと
AO2=AB2+OB22ABOBcosOBA
とかける。

これにそれぞれの値を代入すると
AO2=42+R224R(52R)
より
AO2R2=42+45=36 となる。

解答ケ:3, コ:6