大学入試センター試験 2016年(平成28年) 追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説

(1)

図A
大学入試センター試験2016年追試 数学ⅡB第1問[2] 解説図A

円$C$は、原点中心・半径$2$の円なので、
$x^{2}+y^{2}=2^{2}$
$x^{2}+y^{2}$$=4$

解答セ:4

また、点A$(4,3)$と点P$(s,t)$を$2:1$に内分する点の座標は、
$\left(\frac{4+2s}{3},\frac{3+2t}{3}\right)$
とかける。これが点Q$(x,y)$なので、
$\left\{\begin{array}{l}
x=\frac{4+2s}{3}\\
y=\frac{3+2t}{3}
\end{array}\right.$式A
である。

解答ソ:4, タ:2, チ:3, ツ:3


式Aをさらに変形して、
$x=\displaystyle \frac{4+2s}{3}$
$3x=4+2s$
$2s=3x-4$
$s=\displaystyle \frac{3x-4}{2}$
$y=\displaystyle \frac{3+2t}{3}$
$3y=3+2t$
$2t=3y-3$
$t=\displaystyle \frac{3y-3}{2}$
より、
$\left\{\begin{array}{l}
s=\frac{3x-4}{2}\\
t=\frac{3y-3}{2}
\end{array}\right.$式A'
と書ける。

一方、点Pは円$C$上の点なので、
$s^{2}+t^{2}=2^{2}$
とかける。

これに式A'を代入して、
$\left(\frac{3x-4}{2}\right)^{2}+\left(\frac{3y-3}{2}\right)^{2}=2^{2}$
両辺に$\left(\frac{2}{3}\right)^{2}$をかけると、
$\left(x-\frac{4}{3}\right)^{2}+\left(y-1\right)^{2}=\left(\frac{4}{3}\right)^{2}$
となる。

解答テ:4, ト:3, ナ:1, ニ:4, ヌ:3

(2)

式⑥から式⑤を辺々引いて、
$-)$$\left(x-\frac{4}{3}\right)^{2}+\left(y-1\right)^{2}=\left(\frac{4}{3}\right)^{2}$
$\underline{-)\ \ \ x^{2}\ \ \ \ +\ \ y^{2}\ \ \ =2^{2}}$
$-)$$\left(x-\frac{4}{3}\right)^{2}-x^{2}+\left(y-1\right)^{2}-y^{2}=\left(\frac{4}{3}\right)^{2}-2^{2}$
$-\displaystyle \frac{8}{3}x+\left(\frac{4}{3}\right)^{2}-2y+1=\left(\frac{4}{3}\right)^{2}-2^{2}$
$-\displaystyle \frac{8}{3}x-2y+1=-2^{2}$式B
両辺を$3$倍して、
$-8x-6y+3=-12$
$8x+6y=15$
という式ができる。これが直線$\ell$の式である。

解答ネ:8, ノ:6

アドバイス

マークシート形式の試験は、問題の流れに乗ることが大切。以上、問題の流れ通りに解いた。
しかし、なぜこれで直線の式が出るのか分からなかった人も多いと思う。なので、よく見る解き方を以下に別解として載せておいた。順序は違うが、やっていることは上の解と変わらない。

別解

まず、2つの曲線の共有点を通る図形の方程式の復習をしよう。

復習

座標平面上に二つの曲線$C_{1}$,$C_{2}$があり、それぞれの方程式を$f(x,y)=0$,$g(x,y)=0$とする。
$k$を任意の定数とするとき、
$f(x,y)+k\cdot g(x,y)=0$
が表す図形は、$C_{1}$と$C_{2}$のすべての共有点を通る。

だった。

⑤式より、円$C$の方程式は
$x^{2}+y^{2}-4=0$
⑥式より、円$C'$の方程式は、
$\left(x-\frac{4}{3}\right)^{2}+\left(y-1\right)^{2}-\left(\frac{4}{3}\right)^{2}=0$
なので、復習より、求める直線の式は
$k\left(x^{2}+y^{2}-4\right)+\left(x-\frac{4}{3}\right)^{2}+\left(y-1\right)^{2}-\left(\frac{4}{3}\right)^{2}=0$
とかける。

説明のために、面倒だけど展開して同類項を整理する。
$kx^{2}+ky^{2}-4k+x^{2}-\displaystyle \frac{8}{3}x+\left(\frac{4}{3}\right)^{2}$
            $+y^{2}-2y+1-\left(\frac{4}{3}\right)^{2}=0$
$(k+1)x^{2}-\displaystyle \frac{8}{3}x+(k+1)y^{2}-2y-4k+1=0$

いま必要なのは直線の方程式なので、$x^{2}$の項と$y^{2}$の項には消えてほしい。
なので、$k$に$-1$を代入すると、
$-\displaystyle \frac{8}{3}x-2y+4+1=0$
となり、式Bと同じものが出来る。

あとは両辺を3倍して、整理しよう。
$-8x-6y+15=0$
$8x+6y=15$
となり、直線$\ell$の式が求められる。

解答ネ:8, ノ:6

原点$\mathrm{O}$と直線$\ell$の距離は、点と直線の距離の公式を使おう。

復習

点$(\alpha,\beta)$と直線$ax+by+c=0$の距離を$d$とすると、
$d=\displaystyle \frac{\left|a\alpha+b\beta+c\right|}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}$
である。

これを使って、
$d=\displaystyle \frac{\left|8\cdot 0+6\cdot 0-15\right|}{\sqrt{8^{2}+6^{2}}}$
$d\displaystyle $$\displaystyle =\frac{\left|-15\right|}{\sqrt{2^{2}\left(4^{2}+3^{2}\right)}}$
$d\displaystyle $$\displaystyle =\frac{15}{2\cdot 5}$
$d\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3}{2}$
となる。

解答ハ:3, ヒ:2


ちょっとややこしくなってきたので、図を整理した。

図B
大学入試センター試験2016年追試 数学ⅡB第1問[2] 解説図B

図Bの赤い三角形の面積$S$を求める。
点$\mathrm{O}$から直線$\ell$に垂線を下ろして赤い三角形を二つの直角三角形に分ける。
この二つの直角三角形は合同になるから、片方の面積を求めて2倍しよう。
ということで、斜線の三角形の面積$\displaystyle \frac{S}{2}$を求める。

斜線の三角形で、長さの分からない辺の長さを$h$とすると、三平方の定理より、
$h^{2}+\left(\frac{3}{2}\right)^{2}=2^{2}$
両辺を$2^{2}$倍して、
$2^{2}h^{2}+3^{2}=4^{2}$
$2^{2}h^{2}=4^{2}-3^{2}$
$h^{2}=\displaystyle \frac{7}{2^{2}}$

$0 \lt h$なので、
$h=\displaystyle \frac{\sqrt{7}}{2}$

よって、斜線の三角形の面積$\displaystyle \frac{S}{2}$は、$\displaystyle \frac{1}{2}\times$底辺$\times$高さより、
$\displaystyle \frac{S}{2}=\frac{1}{2}\cdot\frac{3}{2}\cdot\frac{\sqrt{7}}{2}$
とかけるから、求める赤い三角形の面積$S$は、
$S=\displaystyle \frac{3\sqrt{7}}{4}$
である。

解答フ:3, ヘ:7, ホ:4