大学入試センター試験 2016年(平成28年) 追試 数学ⅠA 第3問 解説

(1)

A1が起こるためには、さいころを1回投げて5か6が出ればいいので、
26=13
である。

解答ア:1, イ:3

(2)

このタイプの問題のときには、必ず表を書こう。

表A
1回目
A1 A1
1 2 3 4 5 6
2回目 1 2 3 4 5 6 7
2 3 4 5 6 7 8
3 4 5 6 7 8 9
4 5 6 7 8 9 10
5 6 7 8 9 10 11
6 7 8 9 10 11 12

表の中の数字は1回目と2回目の目の和で、すべてのマスは同じ確率(136)で起こる。

A1A2が起こるのは、表Aの赤い部分。
よって、
1836=12
である。

解答ウ:1, エ:2

A1が起こったときA2が起こる条件付き確率は、
A1のマス(表Aのグレーの部分以外)は24個。
A1A2のマスは18個。
よって、求める条件付き確率は、
1824=34
である。

解答オ:3, カ:4

アドバイス

Aが起こったときにBが起こる条件付き確率とは、Aが起こった場合をすべての場合と考え、その中でBが起こる確率を言う。
これを理解していれば、上のような解き方が楽でミスが少ない。あんまり見ない解法かも知れないけど。
一般的な解法は、別解に載せておいた。

別解

条件付き確率の公式は、

復習

Aが起こったときにBが起こる条件付き確率をPA(B)とすると、
PA(B)=P(AB)P(A)

だった。
よって、A1が起こったときA2が起こる条件付き確率は、
PA1(A2)=P(A1A2)P(A1)

また、(1)より、
P(A1)=113=23

(2)の前半より、
P(A1A2)=12

以上より、求める確率は、
PA1(A2)=1223=34
である。

解答オ:3, カ:4

(3)

さいころを投げる回数が3回以上になると、表が書きにくい。けれど、方法はある。
ここでは、2通りの方法を紹介する。

解法1

A2が起こったときの条件付き確率を求めるので、1回目と2回目の目の和が5以上の場合は考えなくてよい。
なので、次のような表が書ける。

表B
1回目+2回目
2 3 4
136 236 336
3回目 1 16 3 4 5
2 16 4 5 6
3 16 5 6 7
4 16 6 7 8
5 16 7 8 9
6 16 8 9 10

この表では、タテの列ごとに起こる確率が違う。なので、3行目に確率を載せた。
左から3列目に並んでいる16は、3回目の試行でその目が出る確率である。
この表の意味だけど、例えばA2が起こったときに3回の試行で出た目の和が10になるのは、33616=172であることを表している。

全体の確率は、上から3列目の確率を全部たして、
136+236+336=636=16

A2A3が起こる確率は、表Bの赤い部分。
でも、これはマスがたくさんあって計算が面倒なので、青い部分の和を求めて、全体から引こう。
青い部分の和は、
13616+23616+13616=4366=196
さっき計算したように、全体の確率は16
なので、赤い部分の確率は
16196=16(119)=869

以上より、求める条件付き確率は、
86916=89
である。

解答キ:8, ク:9

解法2

解法1は、(2)の表を使って解いた方法と比べて、シンプルじゃなかった。理由は簡単で、表の列ごとに確率が異なったから。ならば、確率をそろえてやればいい。
表Aのグレー以外の部分を見ると、2は1マス、3は2マス、4は3マスある。マスの数だけタテの行を作れば、全部の行で確率は等しくなるはず。
ということで、次のような表が書ける。

表C
1回目+2回目
2 3 3 4 4 4
3回目 1 3 4 4 5 5 5
2 4 5 5 6 6 6
3 5 6 6 7 7 7
4 6 7 7 8 8 8
5 7 8 8 9 9 9
6 8 9 9 10 10 10

これで、すべてのマスは同じ確率で起こるようになった。

マスの数は、36個。
A2A3が起こる確率は、表Cの赤い部分で、32個。
よって、求める条件付き確率は、
3236=89
である。

解答キ:8, ク:9

解法3

一般的な解法で解くとこうなる。

A2が起こる確率を求める。
表Aより、
和が2になるのは136 和が3になるのは236 和が4になるのは336 よって、和が5未満になるのは、
136+236+336=636=16

次に、A2A3が起こる確率を求める。
1回目と2回目の試行で出た目の和が2のとき、3回目では3以上の目(3,4,5,6)が出ないといけないので、
13646
1回目と2回目の和が3のとき、3回目では2以上の目(2,3,4,5,6)が出ないといけないので、
23656
1回目と2回目の和が4のとき、3回目は何の目が出てもいいので、
3361

これを全部たして、
13646+23656+3361
=13623+13653+33633
=2+5+9363
=16363
=493

以上より、求める条件付き確率は、
49316=4693=429=89
である。

解答キ:8, ク:9

(4)

(4)でも、(3)と同じ3通りの解法を紹介する。

解法1

(3)の解法1と同様に表を書く。

表D
1回目+2回目+3回目
3 4
13616=163 23616+13616=363
4回目 1 16 4 5
2 16 5 6
3 16 6 7
4 16 7 8
5 16 8 9
6 16 9 10

3行目の確率は、表Bから計算した。

全体の確率は、上から3列目の確率を全部たして、
163+363=463

A3A4が起こる確率は、表Dの赤い部分。
でも、これはマスがたくさんあって計算が面倒なので、全体から青い部分を引こう。
全体の確率は463なので、赤い部分の確率は
463164=163(416)=163(24616)=2364

以上より、求める条件付き確率は、
2364463=2364634=2364=2324
である。

解答ケ:2, コ:3, サ:2, シ:4

解法2

(3)の解法2と同様に表を書くと、次のようになる。

表E
1回目+2回目+3回目
3 4 4 4
3回目 1 4 5 5 5
2 5 6 6 6
3 6 7 7 7
4 7 8 8 8
5 8 9 9 9
6 9 10 10 10

マスの数は、24個。
A2A3が起こる確率は、表Eの赤い部分で、23個。
よって、求める条件付き確率は、
2324
である。

解答ケ:2, コ:3, サ:2, シ:4

解法3

(4)も一般的な解法で解くとこうなる。

A3が起こる確率を求める。
和が3になるのは、{1,1,1}の一通り。
なので、確率は163
和が4になるのは、{1,1,2}{1,2,1}{2,1,1}の3通り。
なので、確率は363
よって、和が5未満になるのは、
163+363=463

次に、A3A4が起こる確率を求める。
1回目から3回目の試行で出た目の和が3のとき、3回目では2以上の目(2,3,4,5,6)が出ないといけないので、
16356
1回目から3回目の和が4のとき、3回目は何の目が出てもいいので、
3631

これをたして、
16356+3631
=163(56+366)
=1635+186
=2364

以上より、求める条件付き確率は、
2364463=2364634=2364=2324
である。

解答ケ:2, コ:3, サ:2, シ:4

アドバイス

解法3の、一般的な解き方が一番面倒だったと思う。
このように、確率の問題では、表を上手に使うととても簡単に解けたりする。
何も無いところから自分で表を使った解き方を発見するのは難しいだろうけれど、こういう方法があることを知っていると、使うことはできる。
だから、ここで説明した解法1・解法2のやり方を憶えておいてほしい。