大学入試センター試験 2012年(平成24年) 追試 数学ⅠA 第1問 [2] 解説
(1)
以下、かつを$\cap$、またはを$\cup$とする。
$p$は、
$p\ :\ m$は3の倍数でない $\cup\ n$は3の倍数でない
と書きなおせる。
なので、$\overline{p}$は、
$\overline{p}\ :\ \overline{m\text{は3の倍数でない }\cup\ n\text{は3の倍数でない}}$
と書ける。
これは、ド・モルガンの法則より、
$\overline{p}\ :\ \overline{m\text{は3の倍数でない}}\ \cap\ \overline{n\text{は3の倍数でない}}$
$\overline{p}\ :\ m$は3の倍数である $\cap\ n$は3の倍数である
となる。
解答ク:1
アドバイス
確率の問題では、「少なくとも」の表現があれば余事象から考えるのが鉄則なんだけど、論理と命題の単元でも同じことが言える。論理と命題では「余事象」とは言わずに「否定」って言うけど、考え方は同じだ。
先に$p$でした作業を、$q$でもやってみよう。
$q$は、
$q\ :\ m+n$は3の倍数でない $\cup\ m-n$は3の倍数でない
と書きなおせる。
なので、$\overline{q}$は、
$\overline{q}\ :\ \overline{m+n\text{は3の倍数でない }\cup\ m-n\text{は3の倍数でない}}$
と書ける。
これは、ド・モルガンの法則より、
$\overline{q}\ :\ \overline{m+n\text{は3の倍数でない}}\ \cap\ \overline{n-n\text{は3の倍数でない}}$
$\overline{q}\ :\ m+n$は3の倍数である $\cap\ n-n$は3の倍数である
となる。
これは、$k,l$を整数として、
$\left\{\begin{array}{l}
m+n=3k\\
m-n=3l
\end{array}\right.$式A
と書ける。
式Aを辺々たすと、
$+)$$ m+n=3k$
$\underline{+)m-n=3l}$
$2m$ $=3(k+l)$
ここで、$2$と$3$は互いに素なので、$m$は$3$の倍数である。
式Aを辺々引くと、
$-)$$ m+n=3k$
$\underline{-)m-n=3l}$
$2n=3(k-l)$
ここで、$2$と$3$は互いに素なので、$n$は$3$の倍数である。
よって、$m$,$n$ともに3の倍数であることが分かる。
以上より、
$\overline{p}=\overline{q}$
なので、
$p=q$
である。
なので、$p$は$q$であるための必要十分条件である。
解答ケ:6
(2)
(1)と同様に考えよう。
$\overline{s}\ :\ m+n$は4の倍数である $\cap\ n-n$は4の倍数である
より、$k,l$を整数として、
$\left\{\begin{array}{l}
m+n=4k\\
m-n=4l
\end{array}\right.$式B
と書ける。
式Bを辺々たして、
$+)$$ m+n=4k$
$\underline{+)m-n=4l}$
$2m$ $=4(k+l)$
$m=2(k+l)$
式Aを辺々引いて、
$-)$$ m+n=4k$
$\underline{-)m-n=4l}$
$2n=4(k-l)$
$n=2(k-l)$
である。
以上より、$m$,$n$ともに偶数である。
解答コ:4
(1)と同様に考えて、
$\overline{r}\ :\ m$は4の倍数である $\cap\ n$は4の倍数である
となる。
これは表Aの青い部分なので、$r$は表Aの赤い部分。
$m$ | |||||
---|---|---|---|---|---|
奇数 | 偶数 | ||||
4の 倍数 |
|||||
$n$ | 奇数 | ||||
偶 数 |
|||||
4の 倍数 |
また、コより、$\overline{s}$は表Bの青い部分なので、$s$は表Bの赤い部分。
$m$ | |||||
---|---|---|---|---|---|
奇数 | 偶数 | ||||
4の 倍数 |
|||||
$n$ | 奇数 | ||||
偶 数 |
|||||
4の 倍数 |
表Aと表Bより、条件$r$の集合は条件$s$の集合を含んでいる。
なので、必要条件である。
解答サ:7
アドバイス
こういう問題は、一般的には
$r\Rightarrow s$ ×
$r\Leftarrow s$ ○
なので、必要条件
って解くことが多いけど、○×の判定で混乱したり間違えたりすることが多い。なので、図やグラフで表せるときは、集合の大小で考える方がおすすめ。
例えば右図では、大きい集合の$p$が小さい集合の$q$を含んでいる。
このような場合、$p$は$q$であるための必要条件になる。
逆に、$q$は$p$であるための十分条件である。
「大きい集合は小さい集合の必要条件」。呪文のように憶えておこう。
詳しくはこのページ参照。