大学入試センター試験 2012年(平成24年) 追試 数学ⅡB 第3問 解説

はじめに

この問題では、漸化式のいろんなパターンを使う。
なので、最初にちょっと復習をしておこう。

復習

漸化式の基本の形は4つあって、
an+1=an+d
交差dの等差数列
an+1=ran
公比rの等比数列
an+1=an+f(n)
階差数列の一般項がf(n)
an+1=pan+q
特性方程式を使って解く
だった。

ア~カ

{an}は公比が3の等比数列なので、初項をa1として、
an=a13n1
とかける。

これにn=2a2=162を代入すると
162=a1321
a1=1623=54 となる。

よって、一般項an
an=543n1
である。

解答ア:5, イ:4, ウ:3


b1=a12
a1=54を代入して、
b1=542=27

また、①式にanの一般項を代入して、
bn+1=3bn+543n1①'

ここで、
xn=bn3n式B
なので、
bn=3nxn bn+1=3n+1xn+1

これを①'式に代入すると、
3n+1xn+1=33nxn+543n1
両辺を3n+1で割って、
xn+1=xn+5432
xn+1=xn+6式C
である。

解答エ:6


最初に復習したように、式Cは漸化式の基本の形の1つめなので、{xn}は公差6の等差数列。
初項は、式Bに式Aを代入して、
x1=2731=9 より、9である。
よって、一般項xnは、
xn=x1+(n1)d=9+(n1)6=6n+3 となる。

式Bよりxn=bn3nなので、
bn3n=6n+3
bn=3n(6n+3)=3n+1(2n+1) である。

また、b10310=x10は、式Dのxnの一般項より、
x10=610+3=63 である。

解答オ:6, カ:3

キ~コ

①式のnn=123と代入して、全部たしてみよう。

b2=3b1+a1
b3=3b2+a2
b4=3b3+a3
+)bn+1=3bn+an
b2bn+1の和=3(b1bnの和)+a1anの和
式F

ここで、b1=27Sn=k=1nbkなので、
式Fの左辺は
b2bn+1の和=k=1n+1bkb1=Sn+127

式Fの右辺の
b1bnの和=k=1nbk=Sn a1anの和=k=1nak
となる。

これを式Fに代入して、
Sn+127=3Sn+k=1nak
である。

解答キ:2, ク:7


この式にSn+1=Sn+bn+1を代入して、
Sn+bn+127=3Sn+k=1nak
2Sn=k=1nak+bn+127式G

ここで、an=543n1なので、
k=1nak=k=1n543k1=54k=1n3k1=5413n13=27(13n)=33(13n)

また、bn=3n+1(2n+1)なので、
bn+1=3n+2{2(n+1)+1}=3n+2(2n+3)

これを式Gに代入して、
2Sn={33(13n)}+3n+2(2n+3)33

途中式 2Sn=33(13n)+3n+2(2n+3)33=33{(13n)+3n1(2n+3)1}=33(13n+3n12n+3n1)=33(3n12n)=3n+22n
Sn=3n+2n式H
であるから、
S10310=310+210310=3210=90 である。

解答ケ:9, コ:0

サ~ソ

yn=cn3nなので、②式を変形してcn3nの形を作ろう。
②式の両辺を3n+1で割ると、
cn+13n+1=3cn3n+1+bn3n+1=cn3n+bn3n+1

式Eより、bn=3n+1(2n+1) yn=cn3n なので、式Iは
yn+1=yn+3n+1(2n+1)3n+1=yn+2n+1 となる。

解答サ:2, シ:1


この式は、漸化式の基本の形の3つめなので、階差数列を使って解く。

復習

ここで、階差数列を使った一般項の求め方の復習をしておこう。

公式

{an}の階差数列が{bn}のとき、{an}の一般項anは、
an=a1+k=1n1bk(2n)

だった。

{yn}の階差数列の一般項が2n+1なので、2nのとき、一般項yn
yn=y1+k=1n1(2k+1)式J
y1は、
c1=3 yn=cn3n より、
y1=331=1
であるから、式Jは
yn=1+k=1n1(2k+1)
となる。

これを計算して、
yn=1+2k=1n1k+k=1n11=1+212(n1)n+(n1)=1+n2n+n1=n2 となる。
これはn=1のときも成り立つ。


これをyn=cn3nに代入して、
cn3n=n2
cn=3nn2式K
なので、
c10310=y10=102=100
である。

解答ス:1, セ:0, ソ:0

タ~ト

アドバイス

この部分、
{cn}{yn}に置き換え、ynからcnを求め、c10310を計算する流れは、サシスセソでやった{bn}{xn}に置き換え、xnからcnを求め、b10310を計算したのと全く同じだ。
なので、タ以降を求めるのも、キクケコと同じような方法をじゃないかと予想できる。


②式のnn=123と代入して、全部たすと、計算するまでもなく、キクを求めたときの結果から
Tn+1c1=3Tn+k=1nbk式L
である。
ここで、
k=1nbk=Sn c1=3 なので、式Lは
Tn+13=3Tn+Sn
となる。

解答タ:3


この式に、さらに式HのSnの一般項を代入して、
Tn+13=3Tn+3n+2n式M

ここで、キク~ケコと同じことをしよう。

Tn+1=Tn+cn+1
なので、これを式Mに代入して、
Tn+cn+13=3Tn+3n+2n

これに式Kのcnの一般項を代入して、
Tn+3n+1(n+1)23=3Tn+3n+2n

途中式 2Tn=3n+1(n+1)233n+2n=3n+1(n+1)233n+13n=3n+1{(n+1)23n}3=3n+1(n2+2n+13n)3=3n+1(n2n+1)3 Tn=3n+1(n2n+1)32
より、
Tn=(n2n+1)3n+132
である。

解答チ:1, ツ:3, テ:3, ト:2