大学入試センター試験 2011年(平成23年) 追試 数学ⅡB 第5問 解説

(1)

表A
最低気温x(℃) u=x22.0
22.3 0.3 A
22.5 0.5 b
22.7 0.7 c
23.0 1.0 b
23.3 1.3 d
23.5 1.5 b
23.6 1.6 A
23.7 1.7 d
24.1 2.1 A
24.3 2.3 c

表Aで、
Aの和は4 b,c,dの和はどれも3 なので、uの和は
4+3×3=13
平均値は
1310=1.30
になる。

解答ア:1, イ:3, ウ:0

このことから、最低気温から22.0引いた数の平均が1.30なので、最低気温の平均値は直感的に
1.30+22.0=23.30
であることが分かるけど、せっかくだからデータの変換の復習をしておこう。

復習

もとのデータを{x1,x2,x3,,xn}とし、その平均値をx,分散をsx2,標準偏差をsxとする。
もとのデータのすべてをa倍してbを加えて、新しいデータをつくる。
新しいデータは
{y1=ax1+b,
{y2=ax2+b,
{y3=ax3+b,
{
{,yn=axn+b}
となる。
このとき、 新しいデータの平均値y=ax+b 新しいデータの分散sy2=a2sx2 新しいデータの標準偏差sy=|a|sx となる。

詳しくはこのページ参照。

xの平均値をxuの平均値をuとすると、復習より、
u=x22.0
なので、アイウより
1.30=x22.0
x=22.0+1.30
x=23.30
となる。

解答エ:2, オ:3, カ:3, キ:0

(2)

Aさんの資料とBさんの資料を比較すると、表Bができる。

表B
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅡB第5問 解説図B

図中、緑の線で結んだ数値はAさんとBさんで同じ値で、6組ある。

解答ク:6

分散は偏差の2乗の平均。
AさんとBさんの資料の平均値は等しいから、AさんBさんで共通の数値は偏差も等しい。
なので、分散の大小を調べるには、共通でない数値だけを考えればよい。

共通でない数値の偏差は、図Bのとおり。
Aさんの共通でない数値の偏差の2乗の和は、
(0.6)2+(0.3)2+0.32+0.82=1.18
Bさんは
(0.7)2+(0.1)2+0.12+0.92=1.32
なので、Aさんの値の方が小さい。
よって、分散もAさんの値の方が小さい。

解答ケ:0

(3)

最高気温の平均値が31.20℃なので、
D+34.8+32.6+28.4+33.6+31.0
            +31.4+33.1+29.2+E=31.20×10
としてもいいんだけど、数が大きくて計算が面倒。
なので、31.0を仮平均として、
(D31.0)+3.8+1.62.6+2.6+0
            +0.4+2.11.8+(E31.0)=0.20×10
としよう。
これを計算して、
D+E=31.0×24.1
D+E=57.9式A
という式ができる。

解答コ:5, サ:7, シ:9


次は相関係数だけど、計算に入る前に復習をしておこう。

復習

相関係数rxyとは、
rsy=sxysxsy
ただし、sxyは共分散
sxsyはそれぞれのデータの標準偏差
だった。

復習

共分散とは、(xの偏差×yの偏差)の平均、つまり(xx)(yy)の平均だった。

ということで、面倒ながら相関係数の計算をする。

表C
気温 偏差 偏差の積
最高
気温
最低
気温
最高
気温
最低
気温
22.3 D -1.0 D-31.2 -D+31.2
22.5 34.8 -0.8 3.6 -2.88
22.9 32.6 -0.6 1.4 -0.84
23.0 28.4 -0.3 -2.8 0.84
23.3 33.6 0.0 2.4 0
23.5 31.0 0.2 -0.2 -0.04
23.6 31.4 0.3 0.2 0.06
23.7 33.1 0.4 1.9 0.76
24.1 29.2 0.8 -2.0 -1.6
24.3 E 1.0 E-31.2 E-31.2
23.3 31.2 0 0 ←平均

まず、最低気温と最高気温からそれぞれの平均値を引いて、偏差を求める。(表Cの青いマス)
それから、最低気温と最高気温の偏差をかける。(表Cの黄色いマス)
黄色いマスの値の合計は、
(D+31.2)2.880.84+0.84+00.04
          +0.06+0.761.6+(E31.2)
=D+E3.7

ここで、黄色いマスの値の平均値が共分散sxyで、それを最低気温の標準偏差sxと最高気温の標準偏差xyで割ったものが相関係数rxyだ。
なので、
sxy=D+E3.710
rxy=sxysxsy
より
rxy=D+E3.710sxsy
である。

この相関係数が0なので、
D+E3.710sxsy=0
両辺に10sxsyをかけて、
D+E3.7=0
ED=3.7式B
である。

解答ス:3, セ:7


式Aと式Bの連立方程式
{D+E=57.9ED=3.7
を解く。
辺々引くと、
2D=54.2
D=27.1
となる。

解答ソ:2, タ:7, チ:1

これを式Bに代入して、
E27.1=3.7
E=30.8
である。

解答ツ:3, テ:0, ト:8

(4)

まず、xwの相関図から。

図D
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅡB第5問 解説図D

⓪~②の3つのグラフを見ると、一番左の点(xが最小の点:図Dの赤い点)の位置が違う。

Aさんの資料の表から、xの最小値は22.3なのだけど、そのときのwの値が
⓪では、4.0付近 ①では、67の間くらい ②では、5よりちょっと下 になっている。

ソタチから、D=27.1なので、このときのwの正しい値は
27.122.3=4.8
なので、正解は②だ。

解答ナ:2


次は、ywの相関図だ。

図E
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅡB第5問 解説図E

⓪~②の3つの相関図を見ると、⓪だけ、一番左の点(yが最小の点:図Eの赤い点)が左に寄っていて、y27.0付近にあるのが分かる。他の相関図ではyの最小値は28付近だ。
ソタチよりD=27.1で、これがyの最小値なので、⓪が正しいことが分かる。

解答ニ:0

(5)

選択肢をひとつずつ検討する。

最低気温は平均値から±1℃の間に入っている。最高気温は平均値から±4℃くらいに散らばっている。なので、分散は最高気温の方が大きいような気がする(笑)から不適っぽいけど、計算してないので一応保留。

(3)の問題文に「最低気温と最高気温の相関係数はちょうど0であった」とあるので、不適。

最低気温と一日の気温差の相関図は図Dの②。これからは、選択肢のような傾向は読み取れない。なので不適。

最高気温と一日の気温差の相関図は図Eの⓪。相関図の点は左下から右上に直線状に連なっている。なので、選択肢のような傾向が読み取れると言ってよい。これが正解だ。

解答ヌ:3

(6)

問題のはじめのところに
「Bさんの資料では最高気温と最低気温の観測日の対応は完全にわからなくなった」
とあるので、
最低気温と最高気温の関係は分からない 一日の気温差は計算できない ことになる。
なので、選択肢の①~③は不適だ。

解答ネ:0