大学入試センター試験 2011年(平成23年) 追試 数学ⅡB 第2問 解説

(1) ア~ウ

直線の式を
k(x+2)y=0式A
とすると、
{x+2=0y=0
つまり
{x=2y=0
のとき、kがどんな値であっても式Aは成り立つ。

言いかえると、kの値によらず (x,y)=(2,0)のとき式Aは成り立つ。
なので、直線kの値によらずに
定点A(2,0)
を通る。

解答ア:-, イ:2, ウ:0

復習

kの値にかかわらず定点を通る」問題の場合、
1.kについて項べきの順に整理 2.kの係数と定数項がすべて0 の順で考える。

(1) 曲線Cのグラフ

次に曲線Cの接線を考える。
この問題はグラフがなくても解けるけど、曲線Cの式は見るからにグラフが描きやすそうだ。
なので、先にグラフを描いておこう。

アドバイス

イメージをつかんでミスを防ぐためにも、グラフが簡単に描けるときには描いておくことを薦める。


曲線Cの式
y=x320x式B
の右辺は簡単に因数分解できて、
y=x(x220)=x(x+20)(x20) と変形できる。
なので、x軸と
(20,0)(0,0)(20,0)
の3点で交わることが分かる。

さらに、
4<20<5
より、
5<20<4
なので、点(20,0)は点Aよりも左にある。

アドバイス

もちろん
20=25
と変形して、
5=2.236
または
2<5<3
から、点(20,0)は点Aよりも左にあることを見つけてもよいけど、解説のように20のままで考えた方が早い。


また、式Bは三次関数で、x3の項の係数が正だから、グラフは全体として右上がり。

復習

三次関数のグラフは、x3の係数が正のとき、全体として右上がりの

大学入試センター試験2011年追試 数学ⅡB第2問 解説図

のような形に、
x3の係数が負のとき、全体として右下がりの

大学入試センター試験2011年追試 数学ⅡB第2問 解説図

のような形になる。

以上から曲線Cのグラフを描くと、図Aができる。

図A
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅡB第2問 解説図A

アドバイス

グラフによって楽な描き方は変わる。今回は因数分解したけど、他の方法が早い場合もある。なので、ひとつのやり方にこだわるんじゃなくて、いろんな方法をマスターして欲しい。
図やグラフや表をかいて目で見て考えられるようになると、問題がとても解きやすくなる。グラフがさっと描けることは、本当に重要なことなのだ。
慣れると、解説の方法で図Aのグラフを描くのに30秒くらいしかかからない。

(1) エ~ソ

図B
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅡB第2問 解説図B

曲線Cの接線(例えば図Bの緑の線)の式を求める。

(t,t320t)における曲線Cの接線の傾きは、Cの式を微分して
y=3x220
より、
3t220

この傾きの直線が点(t,t320t)を通るので、接線の式は
y(t320t)=(3t220)(xt)
y=(3t220)x3t3+20t+t320t=(3t220)x2t3 である。

解答エ:3, オ:2, カ:0, キ:2


接線が点Aを通るとき、グラフは図Cのようになる。

図C
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅡB第2問 解説図C

接線が点Aを通るので、式Cに(2,0)を代入して、
0=(3t220)(2)2t3
両辺を2で割って
3t220+t3=0
t3+3t220=0式D

t=2のとき式Dは成り立つから、t2で割る。
組み立て除法をして、

1 3 20 2
2 10 20
1 5 10 0

より、式Dは
(t2)(t2+5t+10)=0
と変形できる。
この式の
t2+5t+10
の部分は、tが実数の範囲で0にならない。
なので、式Dの方程式の解は
t=2
だけである。
よって、接線が点Aを通るのは
t=2
のときに限る。

解答ク:2

このとき、接線(図Cの緑の直線)の式は、式Cにt=2を代入して、
y=(32220)x2t3=8x16 となる。

解答ケ:-, コ:8, サ:1, シ:6


ここまでで分かったことを図Cに書き込むと、図Dができる。

図D
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅡB第2問 解説図D

ちょっと確認すると、曲線Cと緑の直線は、
x=2で接する x=2以外に交点がある(図Dの青い点)

この時点で、問題文中の2だと分かるんだけど、スセ(図Dの青い点のx座標)が分からない。
というわけで、連立方程式だ。

曲線Cの式と式Eより、連立方程式
{y=x320xy=8x16
ができる。
上の式から下の式を辺々引いて、
(x320x)(8x16)=0
x312x+16=0式F
となる。

さっき確認したように、曲線Cと緑の直線はx=2で接し、x=スセで交わるから、式Fは
(x2)2(xスセ)=0式G
と因数分解できるはずだ。
なので、式Gを展開すると、式Fになる。
全部展開するのは面倒なので、定数項だけ考えると、
(2)2(スセ)=16
4スセ=16
スセ=4
である。

解答ス:-, セ:4, ソ:2

(1) タ~ナ

これまでの話を整理すると、
P(x)=0の実数解は、曲線Cと直線の共有点 実数解が1つのときのkの値の範囲を知りたい 直線は傾きがkで、点Aを通る k=8のとき、図DのようにCは接する である。

なので、直線の傾きをいろいろ変えてみて、共有点の数を考える。
言いかえると、直線を点Aを中心にして回転させ、共有点の数を考えよう。


まず、左回り(反時計回り)から。
図Eを見てほしい。

図E
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅡB第2問 解説図E

さっき求めた式Eのグラフ(緑の直線)を、左回りに回転してみる。
傾きは8より大きくなるから、kの値も8より大きくなる。
このとき、例えば青い直線みたいなのができるけど、いずれも曲線Cと2つ以上の共有点をもつから、不適。

もっと回転して、垂直な線(紫の線)になった場合、曲線Cとの共有点はひとつだけど、
y=kx+実数
の形の式で表せないから、直線にはなれない。なので不適。

緑の線も、曲線Cと共有点を2つもつから、不適。

よって、傾きkが、
8k
となる範囲は、すべて不適。


一方、図Fのように、緑の直線を右回り(時計回り)させる場合は、曲線Cとの共有点はひとつだけだからOK。

図F
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅡB第2問 解説図F

このとき、傾きkは、
k<8
となる。

解答タ:-, チ:8


このときの実数解αは、直線と曲線Cの交点のx座標。
交点は、図Fのオレンジの部分(両端を含まない)以外にはあり得ないので、
4<α<2
である。

解答ツ:-, テ:4, ト:-, ナ:2

(2)

三次関数がらみの図形の面積なので、積分しよう。
だけど、
y=P(x)=x3(k+20)x2k のグラフと
y=x3kx220x式I
のグラフの、どっちが上にあるか分からない。
もしかすると、1<x<2の範囲で交わっていて、上下が入れ替わっているかも知れない。
なので、まず2つのグラフの交点を求めよう。

式Hから式Iを辺々引いて、
kx2kx2k=0
共通因数kでくくると、
k(x2x2)=0式J
なので、k=0のとき、すべてのxが解になる。
つまり、2つの式は同じグラフになる。
今は囲まれた図形の面積が1になる場合を求めているので、k=0は不適。

k0のとき、式Jが成り立つのは、
x2x2=0
の場合。
因数分解して、
(x+1)(x2)=0
より
x=1,2
の場合。
つまり、2つのグラフは、
x=1,2
で共有点をもつ。

このことから、
1<x<2
の範囲で、2つのグラフの上下は入れ替わらないから、一度に積分できることが分かる。


で、どっちのグラフが上にあるか考える。
2つのグラフは
1<x<2
の範囲で上下が入れ替わらないので、式Hと式Iのx1<x<2の範囲の簡単な値を代入して比べよう。
式Hにx=0を代入して、
y=2k
式Iにx=0を代入して、
y=0
なので、
0<2k
つまり
k<0
のとき、式Hが上
2k<0
つまり
0<k
のとき、式Iが上
である。


ということで、積分だ。

k<0のとき

式Hが上で、図形の面積が1になるので、
12()dx=1
より
12[{x3(k+20)x2k}(x3kx220x)]dx=1
である。
これを計算して、

途中式 12(kx2kx2k)dx=1
k12(x2x2)dx=1
k[x33x222x]12=1
k{23133221222(21)}=1
k(73322)=1
k(14696126)=1
k(76)=1式K
k=67
となる。
これは、場合分けのk<0に含まれる。

0<kのとき

k<0のときとグラフの上下が入れ替わっただけなので、積分の計算結果は±が入れ替わるだけ。
なので、式Kより
k(76)=1
k=67
となる。
これは、場合分けの0<kに含まれる。

以上より、図形の面積が1になるのは
k=±67
のときである。

解答ニ:6, ヌ:7