大学入試センター試験 2011年(平成23年) 追試 数学ⅠA 第3問 解説

ア~キ

図A
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅠA第3問 解説図A

3辺の長さが分かっていて、ひとつの角の$\cos$が問われているので、余弦定理を使おう。
図Aで余弦定理を使って、
$\mathrm{BC}^{2}=\mathrm{AB}^{2}+\mathrm{AC}^{2}-2\mathrm{AB}\cdot \mathrm{AC}\cdot\cos\angle \mathrm{BAC}$
$7^{2}=5^{2}+6^{2}-2\cdot 5\cdot 6\cos\angle \mathrm{BAC}$
$\displaystyle \cos\angle \mathrm{BAC}=\frac{5^{2}+6^{2}-7^{2}}{2\cdot 5\cdot 6}$
$\displaystyle \cos\angle \mathrm{BAC}$$\displaystyle =\frac{12}{2\cdot 5\cdot 6}$
$\displaystyle \cos\angle \mathrm{BAC}$$\displaystyle =\frac{1}{5}$
となる。

解答ア:1, イ:5

$\sin^{2}\angle \mathrm{BAC}+\cos^{2}\angle \mathrm{BAC}=1$なので、
$\sin^{2}\angle \mathrm{BAC}+\left(\frac{1}{5}\right)^{2}=1$
$\sin^{2}\angle \mathrm{BAC}=1-\left(\frac{1}{5}\right)^{2}$
$\displaystyle \sin^{2}\angle \mathrm{BAC}$$\displaystyle =\frac{24}{25}$
$0 \lt \sin\angle \mathrm{BAC}$なので、
$\displaystyle \sin\angle \mathrm{BAC}=\frac{\sqrt{24}}{5}$
$\displaystyle \sin\angle \mathrm{BAC}$$\displaystyle =\frac{2\sqrt{6}}{5}$
である。

解答ウ:2, エ:6, オ:5

△$\mathrm{ABC}$の面積は、
△$\displaystyle \mathrm{ABC}=\frac{1}{2}\cdot \mathrm{AB}\cdot \mathrm{AC}\cdot\sin\angle \mathrm{BAC}$なので、
△$\displaystyle \mathrm{ABC}=\frac{1}{2}\cdot 5\cdot 6\cdot\frac{2\sqrt{6}}{5}$
△$\mathrm{ABC}$$=6\sqrt{6}$
である。

解答カ:6, キ:6

別解

3辺の長さの和が偶数なので、ヘロンの公式で直接面積を求めても面倒な計算にはならない。
なので、、次のような解き方もできる。
問題の流れとは逆なので、ミスを招くかも知れないからおすすめはしないけれど。


$s=\displaystyle \frac{5+7+6}{2}$
$s$$=9$
とすると、ヘロンの公式より、
△$\mathrm{ABC}=\sqrt{s(s-\mathrm{A}\mathrm{B})(s-\mathrm{B}\mathrm{C})(s-\mathrm{C}\mathrm{A})}$
△$\mathrm{ABC}$$=\sqrt{9(9-5)(9-7)(9-6)}$
△$\mathrm{ABC}$$=\sqrt{9\cdot 4\cdot 2\cdot 3}$
△$\mathrm{ABC}$$=\sqrt{3^{2}\cdot 2^{2}\cdot 2\cdot 3}$
△$\mathrm{ABC}$$=6\sqrt{6}$
である。

解答カ:6, キ:6

△$\mathrm{ABC}$の面積は$\displaystyle \frac{1}{2}\cdot \mathrm{AB}\cdot \mathrm{AC}\cdot\sin\angle \mathrm{BAC}$なので、
$\displaystyle \frac{1}{2}\cdot 5\cdot 6\cdot\sin\angle \mathrm{BAC}=6\sqrt{6}$
$\displaystyle \frac{5}{2}\sin\angle \mathrm{BAC}=\sqrt{6}$
$\displaystyle \sin\angle \mathrm{BAC}=\frac{2}{5}\sqrt{6}$
となる。

解答ウ:2, エ:6, オ:5

$\sin^{2}\angle \mathrm{BAC}+\cos^{2}\angle \mathrm{BAC}=1$なので、
$\left(\frac{2\sqrt{6}}{5}\right)^{2}+\cos^{2}\angle \mathrm{BAC}=1$
$\cos^{2}\angle \mathrm{BAC}=1-\left(\frac{2\sqrt{6}}{5}\right)^{2}$
$\displaystyle \cos^{2}\angle \mathrm{BAC}$$\displaystyle =\frac{25}{5^{2}}-\frac{24}{5^{2}}$
$\displaystyle \cos^{2}\angle \mathrm{BAC}$$\displaystyle =\frac{1}{5^{2}}$
ここで、$\mathrm{BC}^{2} \lt \mathrm{AB}^{2}+\mathrm{CA}^{2}$なので、$\angle \mathrm{BAC}$は鋭角だから
$0 \lt \cos\angle \mathrm{BAC}$なので、
$\displaystyle \cos\angle \mathrm{BAC}=\frac{1}{5}$
である。

解答ア:1, イ:5

(1)

復習

三角形の内接円の半径を求める公式は一つしかなくて、
三角形の面積を$s$ 内接円の半径を$r$ 3辺の長さをそれぞれ$a$,$b$,$c$ とすると、
$S=\displaystyle \frac{1}{2}r(a+b+c)$
だった。

なので、内接円の半径を$r$として、
△$\displaystyle \mathrm{ABC}=\frac{1}{2}r(\mathrm{AB}+\mathrm{BC}+\mathrm{CA})$
$6\displaystyle \sqrt{6}=\frac{1}{2}r(5+7+6)$
$6\displaystyle \sqrt{6}$$\displaystyle =\frac{1}{2}\cdot 18r$
$6\sqrt{6}$$=9r$
$r=\displaystyle \frac{6\sqrt{6}}{9}$
$r\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2\sqrt{6}}{3}$
である。

解答ク:2, ケ:6, コ:3


また、内接円$\mathrm{I}$と△$\mathrm{ABC}$の接点を、図Aのように$\mathrm{T}$,$\mathrm{X}$,$\mathrm{Y}$とすると、
$\mathrm{AT}=\mathrm{AY}$ $\mathrm{BT}=\mathrm{BX}$ $\mathrm{CY}=\mathrm{CX}$ である。
よって、$\mathrm{AT}=\mathrm{AY}=x$とおくと、
$\mathrm{BT}=\mathrm{BX}=5-\mathrm{x}$ $\mathrm{CY}=\mathrm{CX}==6-x$ となる。
また、
$\mathrm{BX}+\mathrm{CX}=\mathrm{BC}$ より、
$(5-x)+(6-x)=7$
$11-2x=7$
$2x=4$
$x=2$
なので、
$\mathrm{AT}=2$
である。

解答サ:2

(2)

問題文の説明はちょっとややこしいけれど、図にすると図Bのようになって、円Pは△$\mathrm{ABC}$の傍接円のひとつである。

図B
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅠA第3問 解説図B

傍接円の性質は特に憶える必要はない。

ここでは次の復習の性質を使う。

復習

円外の点から円に二本の接線を引いたとき、点からふたつの接点までの距離は等しい(図C)。

図C
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅠA第3問 解説図C

復習の性質より、
$\mathrm{AM}=\mathrm{AN}$ $\mathrm{BL}=\mathrm{BM}$ $\mathrm{CL}=\mathrm{CN}$ である。
$\mathrm{BL}=\mathrm{BM}=x$ $\mathrm{CL}=\mathrm{CN}=y$ とおくと、
$\mathrm{BL}+\mathrm{CL}=7$なので、
$x+y=7$式A
$\mathrm{AM}=\mathrm{AN}$なので、
$x+5=y+6$式B
この2つの式を連立方程式として解く。

式Bより、
$x-y=1$
これと式Aを辺々たして、
    $x+y=7$
$\underline{+)x-y=1}$
  $2x$      $=8$
    $x$     $=4$

なので、
$\mathrm{BL}=\mathrm{BM}=4$
である。

解答シ:4

これを式Aに代入して、
$4+y=7$
$y=3$
なので、
$\mathrm{CL}=\mathrm{CN}=3$
となる。

解答ス:3

$\mathrm{AN}=6+\mathrm{CN}$なので、
$\mathrm{AN}=9$
である。

解答セ:9


図D
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅠA第3問 解説図D

ここで、△$\mathrm{AIT}$(図Dの斜線の三角形)と△$\mathrm{APM}$(図Dの赤い三角形)は相似で、相似比は
$\mathrm{AT}:\mathrm{AM}=2:5+4$
$\mathrm{AT}:\mathrm{AM}$$=2:9$
である。

よって、
$\mathrm{AI}:\mathrm{AP}=2:9$
である。

解答ソ:2, タ:9

また、
$\mathrm{IT}:\mathrm{PM}=2:9$ $\mathrm{IT}=$△$\mathrm{ABC}$の内接円の半径$=\displaystyle \frac{2\sqrt{6}}{3}$ なので、
$\displaystyle \frac{2\sqrt{6}}{3}:\mathrm{PM}=2:9$
$2\displaystyle \mathrm{PM}=\frac{2\sqrt{6}}{3}\times 9$
$\mathrm{PM}=3\sqrt{6}$
となる。

解答チ:3, ツ:6

(3)

図がごちゃごちゃしてきたので、図Eに必要な情報だけ整理した。

図E
大学入試センター試験2011年追試 数学ⅠA第3問 解説図E

図E中、線分$\mathrm{PL}$上に中心をもち、点$\mathrm{C}$を通る円をオレンジで表した。
このオレンジの円と線分$\mathrm{BC}$の交点で、$\mathrm{B}$じゃない点を$\mathrm{Z}$とする。
また、点$\mathrm{B}$からオレンジの円に引いた接線の、オレンジの円との接点を$\mathrm{W}$とする。

接点までの距離を聞かれているので、まず方べきの定理を疑おう。
図E中の赤い2本の線に方べきの定理を使うと、
$\mathrm{BW}^{2}=\mathrm{BZ}\cdot \mathrm{BC}$式C
となる。
$\mathrm{BC}$は分かっているので、あとは$\mathrm{BZ}$を求めよう。

図Eの青い三角形と緑の三角形は合同なので、
$\mathrm{ZL}=\mathrm{CL}$
である。
スより$\mathrm{CL}=3$なので、
$\mathrm{ZL}=\mathrm{CL}=3$
だから、
$\mathrm{BZ}=7-3\cdot 2$
$\mathrm{BZ}$$=1$
である。

これを式Cに代入して、
$\mathrm{BW}^{2}=1\cdot 7$
$\mathrm{BW}^{2}$$=7$
$\mathrm{BW}=\sqrt{7}$
となる。

解答テ:7