大学入試センター試験 2017年(平成29年) 追試 数学ⅡB 第4問 解説

(1)

ベクトルの問題で、図が描けるときには、最初に図を描こう。

図A
大学入試センター試験2017年追試 数学ⅡB第4問 解説図A

アドバイス

空間座標を使ってちゃんと描くと図Aができる。(x,y,z)の位置はテキトーだけど。
でも、センター試験本番ではこんな図は描いてはいけない。時間がかかるから。
おおまかなイメージがつかめて、情報の整理ができればいいので、お薦めは図Bだ。

図B
大学入試センター試験2017年追試 数学ⅡB第4問 解説図B

それから、内積の性質の復習もしておこう。

復習

ab=ba
kab=k(ab)=(ka)b=a(kb)kは実数)
a(b±c)=ab±ac
aa=|a|2


復習より、
DADBDBDC=DB(DADC)=DBCA=(1x,1y,z)(1,0,1)=1x+0+z=zx+1

解答ア:8

DBDCDCDA=DC(DBDA)=DCAB=(1x,y,1z)(1,1,0)=1+xy=xy1

解答イ:0

である。

(2)

三平方の定理より、
AB=(12)2+(10)2+(00)2=2 である。

解答ウ:2

問題文より、四面体ABCDは正四面体なので、
|DA|=|DB|=|DC|=AB=2 である。

解答エ:2

また、正四面体の各面は正三角形なので、
ADB=BDC=CDA=60
である。

解答オ:6, カ:0

よって、
DADB=DBDC=DCDA=22cos60=1 となる。

解答キ:1


以上より、問題文中の式①,式②は、
DADBDBDC=0
DBDCDCDA=0
である。

これを式A,式Bに代入して、
zx+1=0 xy1=0 とかける。
これを変形して、
z=x1式A' y=x1式B' ができる。

また、
|DA|=2
なので、
|DA|2=22
DADA=2
より
(2x,y,z)(2x,y,z)=2
(2x)2+y2+z2=2式C
となる。

あとは、連立方程式だ。
連立方程式を解くということは、文字数を減らすこと。

式A',式B'を式Cに代入して、yzを減らそう。
(2x)2+(x1)2+(x1)2=2
ここからは展開しないと仕方がない。
44x+x2+2x24x+2=2
3x28x+4=0
(3x2)(x2)=0
x=232
となるけど、問題文より1<xなので、
x=2
である。

これを式A',式B'に代入して、
z=21=1 y=21=1 となる。

解答ク:2, ケ:1, コ:1

(3)

情報が増えてきたので、図を描き直そう。

図C
大学入試センター試験2017年追試 数学ⅡB第4問 解説図C

図Cで、

PABの中点なので、座標は
A+B2=(2,0,0)+(1,1,0)2=(32,12,0)

QDA1:2に内分する点なので、
A+2D3=(2,0,0)+2(2,1,1)3=(2,23,23)

RDCt:1tに内分する点なので、
tC+(1t)D=t(1,0,1)+(1t)(2,1,1)=(t,0,t)+(22t,1t,1t)=(2t,1t,1)

である。

よって、
PQ=(2,23,23)(32,12,0)=(12,16,23) PR=(2t,1t,1)(32,12,0)=(12t,12t,1) である。


以上より、

|PQ|2=PQPQ=(12,16,23)(12,16,23)

途中式 =(12)2+(16)2+(23)2=(36)2+(16)2+(46)2=32+12+4262=2666=1363
=1318式F

解答サ:1, シ:3, ス:1, セ:8

|PR|2=PRPR=(12t,12t,1)(12t,12t,1)

途中式 =(12t)2+(12t)2+12=2(12t)2+1=2(14t+t2)+1=122t+2t2+1
=2t22t+32式G

解答ソ:2, タ:2, チ:3, ツ:2

となる。


これを、問題文の
4S2=|PQ|2|PR|2|PQ|2|PR|2cos2θ
式H
に代入するのだけれど、cosθの値が分からない。
ベクトルの問題で、ふたつのベクトルのなす角のcosなので、内積を使おう。

PQPR=|PQ||PR|cosθ 式D,式Eより、
PQPR=(12,16,23)(12t,12t,1)
なので、
|PQ||PR|cosθ=(12,16,23)(12t,12t,1)
とかける。

この式の両辺を2乗して、
|PQ|2|PR|2cos2θ={(12,16,23)(12t,12t,1)}2

途中式 =(1412t+11216t+23)2=(121246t)2=(123t)2
=143t+49t2式I
ができる。

あとは、式Hに式F,式G,式Iを代入して、
4S2=1318(2t22t+32)(143t+49t2)
となる。分数でくくることもできるけど、今は展開した方が早そうだ。
4S2=139t2139t+13121+43t49t2=t219t+112 である。

解答テ:1, ト:9, ナ:1, ニ:1, ヌ:2


式Jは下に凸の二次関数のグラフで、頂点のt座標は
192=118
だから、頂点は、定義域
0<t<1
に含まれる。

また、判別式
D=(19)24112
は計算するまでもなく負。
なので、式Jが負になることはない。

以上より、
t=118
のとき、4S2は正の値の最小値をとる。
よって、このときSも最小となる。

解答ネ:1, ノ:1, ハ:8