大学入試センター試験 2017年(平成29年) 追試 数学ⅠA 第2問 [2] 解説

(1)

まず、箱ひげ図の復習からはじめよう。

復習

大学入試センター試験2017年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図

問題文中の図1の箱ひげ図を見ると、最小値・第3四分位数・最大値は a,b,cともに同じ階級に入っているので、表1との組合せを見分けるのには使えない。

一方、
第1四分位数は
a,cは55点以上60点未満の階級 bは50点以上55点未満の階級
第2四分位数(中央値)は
a,bは60以上65未満の階級 cは65以上70未満の階級
に含まれる。

まとめると、
第1四分位数が50点以上55点未満ならばb
条件A
第2四分位数が65以上70未満ならばc
条件B
ということになる。


次に、四分位数の復習をしておこう。

復習

第1四分位数
データの下位半分の中央値。データの大きさが奇数のときは、全体の中央値を除いて偶数にし、その下位半分の中央値をとる。
第2四分位数
中央値に等しい。データの大きさが偶数のときには、中央2数の平均値。
第3四分位数
データの上位半分の中央値。データの大きさが奇数のときは、全体の中央値を除いて偶数にし、その上位半分の中央値をとる。

問題文中の表1より、1組の人数は34人なので、
第1四分位数は、下位半分下から1番目~17番目の中央値、つまり下から9番目の得点 である。
表1より、下から9番目の生徒は50点以上55点未満の階級に含まれる。
なので、条件Aより、1組の箱ひげ図はbであることが分かる。結果A

条件Aは使ったので、次は条件Bを考えるから、第2四分位数を求めよう。
表1より、2組,3組の人数はともに33人なので、
第2四分位数は、下から(上からでもいいけど)17番目の得点 である。
表を見ると、2組の17番目は65以上70未満の階級に含まれる。
なので、条件Bより、2組の箱ひげ図はcであることが分かる。結果B


結果A,結果Bより、正しい組合せは③である。

解答ス:3

(2)

⓪~⑤の選択肢をひとつずつ検討しよう。


復習

四分位範囲は、第3四分位数-第1四分位数

なので、箱ひげ図の箱の部分の横幅にあたる。
図2の箱ひげ図を見ると、2回目の箱の横幅の方が、1回目より小さい。
なので、⓪は正しい。


復習

データXの標準偏差を$s_{x}$,データYの標準偏差を$s_{y}$,データXとYの共分散を$s_{xy}$とすると、相関係数$r_{xy}$は、
$r_{xy}=\displaystyle \frac{s_{xy}}{s_{x}\cdot s_{y}}$式A

なので、問題文中の表2より、相関係数$r$は
$r=\displaystyle \frac{25.0}{8.4\times 5.2}\doteqdot 0.57$
である。なので、①は誤り。



図A
大学入試センター試験2017年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図A

1回目の得点が55点未満は、図Aの緑の範囲。
1回目の得点と2回目の得点が等しいのは、図Aの赤い線だから、これより上の点は、1回目の得点より2回目の得点が高い。
緑の範囲の点は、すべて赤い線よりも上にあるから、②は正しい。



図B
大学入試センター試験2017年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図B

2回目の得点が70点以上なのは、図Bの緑の範囲。
緑の範囲に含まれる点の数を数えると、25個ある。
なので、③は正しい。



図C
大学入試センター試験2017年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図C

2回目の得点が1回目よりも10点以上高いのは、図Cの赤い線より上(ちょうど赤い線上も含む)。
1回目の得点が55点未満は、図Cの緑の範囲。
赤い線より上(ちょうど赤い線上も含む)の点は、緑の範囲以外にも存在するから、④は誤り。



1回目のテストで65点以上とった生徒の人数は、問題文中の表1から、
$7+7+1+13+6+1+4+5+1=45$
より、45人。

図D
大学入試センター試験2017年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図D

一方、2回目の得点が65点以上なのは、図Dの緑の範囲。
点がたくさんあって数えたくないけど、③で70点以上の点の数が25個だったので、赤い範囲の点の数を数えて25にたそう。
赤い範囲の点の数は29。
なので、2回目の得点が65点以上なのは、
$25+29=54$
より、54人以上。

なので、⑤は正しい。


以上より、誤っているものは①と④である。

解答セ:1, ソ:4 (順不同)

(3)

まず、得点の変換式
新しい得点$=50+10\displaystyle \times\frac{\text{得点の偏差}}{\text{標準偏差}}$(*)
について考えてみよう。


偏差は、得点-平均点。
1回目のテストの場合、問題文中の表3より、
平均点は、61.9点 標準偏差は、8.4 なので、式(*)は
新しい得点$=50+10\displaystyle \times\frac{\text{得点}-61.9}{8.4}$
新しい得点$\displaystyle $$\displaystyle =50+\frac{10}{8.4}\times($得点$-61.9)$
新しい得点$\displaystyle $$\displaystyle =\frac{10}{8.4}\times$得点$+50-\displaystyle \frac{10}{8.4}\times 61.9$
と変形できる。

なので、新しい得点は、もとの得点を
$\displaystyle \frac{10}{8.4}$倍して $50-\displaystyle \frac{10}{8.4}\times 61.9$点をたしたもの である。

このことから、1回目のテストの得点について、
新しい得点の散布図は、問題文中の図3散布図を横軸方向に
$\displaystyle \frac{10}{8.4}$倍に拡大縮小して $50-\displaystyle \frac{10}{8.4}\times 61.9$平行移動 したものであることが分かる。


3回目のテストについても同様に考えると、
新しい得点の散布図は、図3散布図を縦軸方向に
$\displaystyle \frac{10}{26.0}$倍に拡大縮小して、 $50-\displaystyle \frac{10}{26.0}\times 133.3$平行移動 したものであることが分かる。


以上より、新しい得点の散布図は、図3を縦横別々の割合で拡大縮小したものであることが分かる。
なので、正解は図3を横に拡大し、縦に縮小した①である。

解答タ:1

アドバイス

この問題のように、もとの値を$a$倍$(a\neq 0)$して$b$を加えて新しい値をつくった場合、
散布図はもとの値のものを縦横別々に拡大縮小したものになる。 $a \lt 0$のときは大小が逆になる。
なので、横軸の値ならば左右逆、縦軸の値なら上下逆になる。
このことを知っていれば、問題を見た瞬間に正解は①だと分かる。

余談

問題を解くときには関係ないけど、式(*)は偏差値を求める式だ。