大学入試センター試験 2015年(平成27年) 本試 数学ⅡB 第3問 解説

(1)

エまでは実際に2nの計算をやってみて求めよう。
21=2より、a1=2
22=4より、a2=4
23=8より、a3=8
24=16より、a4=6
25=32より、a5=2
である。

解答ア:4, イ:8, ウ:6, エ:2

a632×2の一の位だけど、必要なのは一の位だけなので、十の位以上は無関係。だから、a6a5×2の一の位と考えてもよい。とすると、数列{an}{2, 4, 8, 6}の繰り返しであることが分かる。だから、
an+4=an
である。

解答オ:3

余談:なぜ0も正解か

これとは別の話として、オは0も正解になる。しかし、0を選んでしまうと問題の流れからはずれてしまうので、以下の「なぜ0も正解か」の説明は読み飛ばして(2)に進んでもらってかまわない。


数列anは、
nが4の倍数のとき、an=6
nが4の倍数+1のとき、an=2
nが4の倍数+2のとき、an=4
nが4の倍数+3のとき、an=8
といえる。

ここで、

nが4の倍数であるとき
n=4mmは自然数)とかけるから、
5n=54m
となり、5nも4の倍数であり、an=a5n=6である。

nが4の倍数+1であるとき
n=4m+1mは自然数)とかけるから、
5n=5(4m+1)=54m+5=4(5m+1)+1 となり、5nも4の倍数+1であり、an=a5n=2である。

nが4の倍数+2であるとき
n=4m+2mは自然数)とかけるから、
5n=5(4m+2)=54m+10=4(5m+2)+2 となり、5nも4の倍数+2であり、an=a5n=4である。

nが4の倍数+3であるとき
n=4m+3mは自然数)とかけるから、
5n=5(4m+3)=54m+15=4(5m+3)+3 となり、5nも4の倍数+3であり、an=a5n=8である。

以上より、すべての自然数nにおいて、an=a5nであるといえる。
よって、

解答オ:0

(2)

まずbn+4bnの二項間漸化式を作るようだけど、何だかよく分からないと思う。
でも、問題には①を「繰り返し用いる」と書いてあるし、カの漸化式にはan+3とかan+2とかan+1とかanとかが入っている。
なので、①のnn+3とかn+2とかn+1を代入してみたら何とかなるんじゃないかと予想がつく。
さっそくやってみよう。

①のnn+1,n+2,n+3をそれぞれ代入して、
bn+1=anbn4
bn+2=an+1bn+14
bn+3=an+2bn+24
bn+4=an+3bn+34

以上の式だけど、下の式のbn+?に上の式を代入してゆくと、
bn+4=an+3an+2an+1anbn4444
となる。

とんでもない式ができた感じだけど、そうでもない。分母と分子に4をかけて、複分数を消してゆくと、
bn+4=an+3an+2an+1anbn44×4444

途中式 bn+4=an+3an+2an+1anbn4244=an+3an+2an+1anbn424×42424=an+3an+2an+1anbn434=an+3an+2an+1anbn434×4343=an+3an+2an+1anbn44
bn+4=an+3an+2an+1an28bn式A
となる。

解答カ:8

また、(1)で、数列{an}は、2, 4, 8, 6 のくり返しだということが分かっているので、連続する4項の積は
2×4×8×6=2×22×23×23=273 より、
an+3an+2an+1an=273式B

アドバイス

間違っても2×4×8×6を展開して、そのあと素因数分解をしてはいけない。かけ算をして、そのあと同じ数で割ってゆくわけで、時間のムダでもあるし、計算間違いのリスクも増える。くれぐれも数学の計算の基本はまず因数分解である。

解答キ:7

この式Bを式Aに代入して、
bn+4=27328bn=32bn になる。

解答ク:3, ケ:2


これを表にすると、

表A
b1 ×32 b5 ×32 b9
b2 ×32 b6 ×32 b10
b3 ×32 b7 ×32
b4 ×32 b8 ×32

となる。

表Aから、数列{bn}は、4つの等比数列を混ぜたものだということが分かる。

ここまで理解したところで、問題の先を読む。

コサの式のb4k3ckとおくと、
c1=b413=b1
c2=b423=b5
c3=b433=b9
となるから、緑の列の数列をさしていると分かる。
なので、等比数列の一般項の公式から、
ck=b4k3=b1(32)k1
問題文からb1=1なので、
ck=(32)k1式C
となる。

解答コ:3, サ:2

シスの式のb4k2dkとおくと、上と同様に考えるとオレンジの数列であるのが分かるから、
dk=b4k2=b2(32)k1
①より
b2=a1b14=214=12
なので、
dk=12(32)k1式D
である。

解答シ:1, ス;2

同じ考え方で、
ek=b4k1=b3(32)k1=12(32)k1 式E

解答セ:1, ソ:2

fk=b4k=b4(32)k1=(32)k1式F

以上をいったん表に整理しよう。

表B
初項 第2項 第3項 n
{cn}={b4n3} 1 b5 b9 (32)n1
{dn)={b4n2} 12 b6 b10 12(32)n1
{en}={b4n1} 12 b7 b11 12(32)n1
{fn}=[b4n} 1 b8 b12 (32)n1

アドバイス

ここでは数列にcnとかdnとか名前をつけまくっているけど、これは文章で説明する都合上であって、実際の試験のときにあんまり名前をつけるのは混乱のもとになるのでおすすめではない。

(3)

S4mb1b4mの和なので、表Bの白い部分の和にあたる。

表Bを見ると、
解法1
ヨコの行の和をそれぞれ求め、それらをたしてS4mとする。
解法2
タテの列の和をそれぞれ求め、それらをたしてS4mとする。
の2つの解法が考えられる。

解法1

表Bのそれぞれの行の和を求める。ただし、式を簡略化するために、公比の32rとしてある。

等比数列の和の公式から、
1行目の和=4行目の和=1(1rm)1r
2行目の和=3行目の和=12(1rm)1r

なので、
S4m={1(1rm)1r+12(1rm)1r}×2
(1rm)1rを共通因数としてくくると、
S4m=1rm1r(1+12)×2=1rm1r×3

r=32なので、
S4m=1(32)m1(32)×3=1(32)m12×3 分母分子に2をかけて、
S4m={2+2(32)m}×3=6(32)m6 となる。

解答タ:6, チ:6

解法1の別解

それぞれの行の和を求めるのに、等比数列の和の公式ではなく、Σを使うと、以下のような計算になる。ただし、式を簡略化するために、公比の32rとしてある。

S4m=j=1mcj+j=1mdj+j=1mej+j=1mfj=j=1m(cj+dj+ej+fj)=j=1m(rj1+12rj1+12rj1+rj1)=j=1m3rj1

Σの公式より、
S4m=31rm1r
r=32なので、
S4m=31(32)m1(32)

途中式 S4m=31(32)m12
分母分子に2をかけて、
S4m=3{2+2(32)m}
S4m=6(32)m6
となる。

解答タ:6, チ:6

解法2

表Bのそれぞれのタテの列の和を、数列{gn}とする。

一般項gnは、公比の32rとすると、表B右端の列の和なので、
gn=rn1+12rn1+12rn1+rn1=3rn1 となる。
よって、数列{gn}は、初項3、公比r=32の等比数列である。

ここから、
S4m=k=1m3rk1
としてもよいし、等比数列の和の公式から
S4m=3(1rm)1r
と考えてもよい。

どちらにしても、式は
S4m=3{1(32)m}1(32)
となる。
よって、
S4m=33(32)m12
分母分子に2をかけて、
S4m=6+6(32)m=6(32)m6 である。

解答タ:6, チ:6

(4)

T4mb1b4mの積なので、表Bの白い部分の積にあたる。
今度は問題文が解き方を指定しているので、流れに乗って解いてゆく。

表Bのそれぞれのタテの列の積を、数列{hn}とする。

hnは表B右端の列の積なので、公比の32rとすると、
hn=rn1×12rn1×12rn1×rn1
hn=14r4(n1)

解答ツ:4, テ:4

T4nは表Bの白い部分の積なので、
T4m=h1×h2×h3××hm=14r40×14r41×14r42××14r4(m1)=(14)m×(r40×r41×r42××r4(m1)) Aα×Aβ=Aα+βなので、
T4m=(14)m×r40+41+42++4(m1)

ここで、rの指数部分は、初項0、公差4、末項4(m1)、項数mの等差数列なので、
T4m=(14)m×r12m{0+4(m1)}=(14)m×r2m(m1)=14m(32)2m22m となる。

解答ト:2, ナ:2

また、T10は表Bの青い枠の部分の積なので、
T10=T42×c3×d3式H
とかける。

ここで、公比の32rとすると、
式Gより、
T42=142r22222=142r4=124r4
表Bより、
c3=r31=r2
d3=12r31=12r2
なので、式Hは
T10=124r4×r2×12r2=125r8 r=32なので、
T10=1253828=38213 である。

解答ニ:8, ヌ:1, ネ:3