大学入試センター試験 2014年(平成26年) 本試 数学ⅡB 第3問 解説

問題を解く準備

問題を解く前に$\left\{a_{n}\right\}$について整理しておこう。

表A
$6$ $a_{2}$ $a_{3}$ $a_{4}$ $\cdots$ $a_{n-1}$ $a_{n}$
\/ \/ \/ \/
$9$ $9+4$ $9+4\times 2$ $\cdots$ $9+4(n-1)$

(1)

表Aより、
$a_{2}=6+9$
$a_{2}$$=15$

解答ア:1, イ:5

$a_{3}=a_{2}+(9+4)$
$a_{3}$$=28$

解答ウ:2, エ:8

階差数列の一般項は、等差数列の一般項の式より、
$9+(n-1)4=4n+5$

解答オ:4, カ:5

復習

階差数列からもとの数列の一般項を求める式は、
もとの数列を$\left\{a_{n}\right\}$
階差数列を$\left\{b_{n}\right\}$
とすると、
$a_{n}=a_{1}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}b_{k} \hspace{30px} (2\leqq n)$
だった。

なので、$2\leqq n$のとき
$a_{n}=6+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}(4k+5)$
$a_{n}\displaystyle $$\displaystyle =6+4\cdot\frac{1}{2}(n-1)n+5(n-1)$
$a_{n}$$=6+2n^{2}-2n+5n-5$
$a_{n}$$=2n^{2}+3n+1$
である。
これは$n=1$のときも成り立つ。

解答キ:2, ク:2, ケ:3, コ:1

(2)

$b_{2}$は、②に$n=1$を代入して、
$b_{2}=\displaystyle \frac{a_{1}}{a_{2}-1}b_{1}$
これに$a_{1}=6,\displaystyle \ a_{2}=15,\ b_{1}=\frac{2}{5}$を代入して、
$b_{2}=\displaystyle \frac{6}{15-1}\cdot\frac{2}{5}$
$b_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{6\cdot 2}{14\cdot 5}$
$b_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3\cdot 2}{7\cdot 5}$
$b_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{6}{35}$
である。

解答サ:6, シ:3, ス:5

次に③だけど、②と見比べると$a_{n}$や$a_{n+1}$が消えている。なので、代入して消そう。

①より、
$a_{n}=2n^{2}+3n+1$式A
これに$n=n+1$を代入して、
$a_{n+1}=2(n+1)^{2}+3(n+1)+1$
$a_{n+1}$$=2n^{2}+4n+2+3n+3+1$
$a_{n+1}$$=2n^{2}+7n+6$式B

②に式A・Bを代入して、
$b_{n+1}=\displaystyle \frac{2n^{2}+3n+1}{2n^{2}+7n+6-1}b_{n}$
$b_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2n^{2}+3n+1}{2n^{2}+7n+5}b_{n}$
$b_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{(2n+1)(n+1)}{(2n+5)(n+1)}b_{n}$
$b_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2n+1}{2n+5}b_{n}$
となる。

解答セ:2, ソ:1, タ:5


ここで、問題文は
$c_{n}=(2n+1)b_{n}$
とおき、これを用いて③を変形せよという。
変形後の式を見ると$b_{n}$と$b_{n+1}$が消えているので、代入して消そう。

④より、
$b_{n}=\displaystyle \frac{c_{n}}{2n+1}$
$b_{n+1}=\displaystyle \frac{c_{n+1}}{2(n+1)+1}$
$b_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{c_{n+1}}{2n+3}$

これを③に代入すると、
$\displaystyle \frac{c_{n+1}}{2n+3}=\frac{2n+1}{2n+5}\cdot\frac{c_{n}}{2n+1}$
$\displaystyle \frac{c_{n+1}}{2n+3}=\frac{c_{n}}{2n+5}$
分母を払って、
$(2n+5)c_{n+1}=(2n+3)c_{n}$式C
となり、変形後の式ができる。

解答チ:5, ツ:3


⑤はちょっと悩むと思うけど、

アドバイス

マークシート試験で悩んだときは、上を見て、下を見る。つまり、これまでに解いたことを振り返り、それでも分からなければ先を読む。

今回は先を読もう。

$d_{n}=(2n+\text{テ})c_{n}$
とおくと、
$d_{n+1}=d_{n}$
になるらしい。
ここからテを逆算しよう。

$d_{n}=(2n+\text{テ})c_{n}$
$d_{n+1}=\{2(n+1)+\text{テ}\}c_{n+1}$

$d_{n+1}=d_{n}$
に代入して、
$\{2(n+1)+\text{テ}\}c_{n+1}=(2n+\text{テ})c_{n}$
$\{2n+(\text{テ}+2)\}c_{n+1}=(2n+\text{テ})c_{n}$
これを式Cと見比べると、
$\text{テ}=3$
であることが分かる。

解答テ:3

次は、$d_{1}$だ。
$d_{n}=(2n+3)c_{n}$
なので、
$d_{1}=(2\cdot 1+3)c_{1}$
$d_{1}$$=5c_{1}$

④より
$c_{n}=(2n+1)b_{n}$
なので、
$c_{1}=(2\cdot 1+1)b_{1}$
$c_{1}$$=3b_{1}$

問題文より$b_{1}=\displaystyle \frac{2}{5}$なので、さかのぼって代入していって、
$c_{1}=3\displaystyle \cdot\frac{2}{5}$
$d_{1}=5\displaystyle \cdot 3\cdot\frac{2}{5}$
$d_{1}$$=6$
である。

解答ト:6

以上より、$d_{1}=6,\ d_{n+1}=d_{n}$なので、
$d_{n}=6$


ここから$d_{n}$→$c_{n}$→$b_{n}$ともどってゆくのだけれど、今回は計算をしなくても、問題文から
$b_{n}=\displaystyle \frac{6}{(2n+1)(2n+3)}$式D
だと分かる。
この部分の計算については、以下の解説で説明する。問題の流れだけ追いたいひとは飛ばしてもらっても大丈夫。

解説

$d_{n}$→$c_{n}$→$b_{n}$ともどる部分の説明。

⑤と$d_{n}=6$より、
$(2n+3)c_{n}=6$
$c_{n}=\displaystyle \frac{6}{2n+3}$

これを④に代入すると、
$(2n+1)b_{n}=\displaystyle \frac{6}{2n+3}$
$b_{n}=\displaystyle \frac{6}{(2n+1)(2n+3)}$式D
となる。


式Dの数列の和を求める。
式Dは、見るからに部分分数に分けてたし算をすると、セットで消えるタイプの数列だ。

分母の$(2n+1)(2n+3)$を見ると、$2n+3$と$2n+1$の差は$2$なので、
$\displaystyle \frac{1}{(2n+1)(2n+3)}=\frac{1}{2}\cdot\left(\frac{1}{2n+1}-\frac{1}{2n+3}\right)$
両辺を$6$倍して、
$\displaystyle \frac{6}{(2n+1)(2n+3)}=3\cdot\left(\frac{1}{2n+1}-\frac{1}{2n+3}\right)$
$\displaystyle \frac{6}{(2n+1)(2n+3)}$$\displaystyle =\frac{3}{2n+1}-\frac{3}{2n+3}$
より、
$b_{n}=\displaystyle \frac{3}{2n+1}-\frac{3}{2n+3}$
である。

解答ナ:3, ニ:3

このことから、
$S_{n}=b_{1}+b_{2}+\cdots+b_{n-1}+b_{n}$
$ S_{n}$$=\left(\frac{3}{2\cdot 1+1}-\frac{3}{2\cdot 1+3}\right)+\left(\frac{3}{2\cdot 2+1}-\frac{3}{2\cdot 2+3}\right)+\cdots$
      $+\left(\frac{3}{2\cdot(n-1)+1}-\frac{3}{2\cdot(n-1)+3}\right)+\left(\frac{3}{2n+1}-\frac{3}{2n+3}\right)$
$ S_{n}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3}{3}-\frac{3}{5}+\frac{3}{5}-\frac{3}{7}+\cdots$
      $+\displaystyle \frac{3}{2n-1}-\frac{3}{2n+1}+\frac{3}{2n+1}-\frac{3}{2n+3}$
セットで消えて、最初と最後の分数だけ残る。
$S_{n}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3}{3}-\frac{3}{2n+3}$
通分して、
$S_{n}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3\{(2n+3)-3\}}{3(2n+3)}$
$S_{n}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2n}{2n+3}$
となる。

解答ヌ:2, ネ:2, ノ:3