大学入試センター試験 2011年(平成23年) 本試 数学ⅡB 第5問 解説
(1)
1回戦の得点の平均値は、30点を仮平均として計算しよう。
参加者の得点からそれぞれ30を引くと、表Aのようになる。
番号 | 1回戦 | |
---|---|---|
点 | 点-30 | |
1 | 33 | 3 |
2 | 44 | 14 |
3 | 30 | 0 |
4 | 38 | 8 |
5 | 29 | -1 |
6 | 26 | -4 |
7 | 43 | 13 |
8 | 23 | -7 |
9 | 28 | -2 |
10 | 34 | 4 |
11 | 33 | 3 |
12 | 26 | -4 |
13 | 36 | 6 |
14 | 30 | 0 |
15 | 27 | -3 |
表Aの右端の列の数字は、$+$と-をセットで消して、残った数字で平均値を出すと、
$\displaystyle \frac{3+14+13}{15}=\frac{30}{15}=2$
これを仮平均の$30$にたして、
$30+2=32$
より、平均値は$32.0$点である。
解答ア:3, イ:2, ウ:0
上位10人の得点の平均値が$\mathrm{A}_{1}$なので、上位10人の合計得点は$10\mathrm{A}_{1}$
下位5人の得点の平均値が$\mathrm{A}_{2}$なので、下位5人の合計得点は$5\mathrm{A}_{2}$
なので、全体の平均$\mathrm{A}$は、
$\displaystyle \mathrm{A}=\frac{10\mathrm{A}_{1}+5\mathrm{A}_{2}}{15}$
$\displaystyle \mathrm{A}$$\displaystyle =\frac{10\mathrm{A}_{1}}{15}+\frac{5\mathrm{A}_{2}}{15}$
$\displaystyle \mathrm{A}$$\displaystyle =\frac{2}{3}\mathrm{A}_{1}+\frac{1}{3}\mathrm{A}_{2}$
と表せる。
解答エ:2, オ:3, カ:1, キ:3
(2)
まず、偏差の復習をしよう。
復習
偏差とは、それぞれのデータの値と平均値との差で、データの値から平均値を引いたもの。
例えば、番号1の選手の1回目の得点は33点。1回目の平均値は32点なので、
$33-32=1$
で、この選手の偏差は1になる。
平均値ちょうどのデータの偏差は0,平均値より小さい値のデータの偏差は負の数である。
偏差は
得点-平均値
なので、最大になるのは得点が最大のとき。
最高得点は番号2の選手の$44$点で、その偏差は
$44-37=7.0$
である。
解答ク:7, ケ:0
ついでに、分散と標準偏差の復習もしておこう。
復習
分散$s^{2}$の定義は、
「偏差の2乗の平均」
つまり、
$s^{2}=\displaystyle \frac{(値-平均値)^{2}の和}{データの大きさ}$
である。
公式
データ$\{x_{1}$,$x_{2}$,$\cdots$,$x_{n}\}$があって、その平均値が$\overline{x}$のとき、
$s^{2}=\displaystyle \frac{(x_{1}-\overline{x})^{2}+(x_{2}-\overline{x})^{2}+\cdots+(x_{n}-\overline{x})^{2}}{n}$式A
$s^{2}$$=\overline{x^{2}}-(\overline{x})^{2}$式B
を憶えておこう。
さらに、標準偏差は分散の正の平方根である。
分散を$s^{2}$,標準偏差を$s$とすると、
$s=\sqrt{s^{2}}$
である。
得点が2桁なので、式Bを使って求めるのは面倒なので、式Aを使う。
それぞれの選手の得点について、偏差と偏差の2乗を求めると、表Bができる。
番号 | 2回戦 | ||
---|---|---|---|
得点 | 偏差 | 偏差の2乗 | |
1 | 37 | 0 | 0 |
2 | 44 | 7 | 49 |
3 | 34 | -3 | 9 |
4 | 35 | -2 | 4 |
5 | 30 | -7 | 49 |
6 | - | - | - |
7 | 41 | 4 | 16 |
8 | - | - | - |
9 | - | - | - |
10 | 38 | 1 | 1 |
11 | 33 | -4 | 16 |
12 | - | - | - |
13 | 41 | 4 | 16 |
14 | 37 | 0 | 0 |
15 | - | - | - |
表Bの右端の列の平均値を出すと、それが分散だ。
$\displaystyle \frac{0\times 2+1+4+9+16\times 3+49\times 2}{10}$
$=\displaystyle \frac{160}{10}$
$=16.00$
である。
解答コ:1, サ:6, シ:0, ス:0
さらに、標準偏差は、
$\sqrt{16.00}=4.0$
である。
解答セ:4, ソ:0
(3)
$\mathrm{D}-43=x$
$\mathrm{E}-43=y$
$\mathrm{F}-43=z$
なので、$x$,$y$,$z$はそれぞれ$\mathrm{D}$,$\mathrm{E}$,$\mathrm{F}$の偏差になる。
よって、3回戦に参加した4人の選手の偏差は、$x$,$0$,$y$,$z$である。
また、$\mathrm{F} \lt \mathrm{E} \lt 43 \lt \mathrm{D}$なので、
$z \lt y \lt 0 \lt x$式C
である。
以上より、
偏差の和は$0$なので、
$x+0+y+z=0$
$x+y+z=0$式D
範囲は$7$なので、
$x-z=7$式E
分散は$6.50$なので、
$\displaystyle \frac{x^{2}+0^{2}+y^{2}+z^{2}}{4}=6.50$
$x^{2}+y^{2}+z^{2}=26$式F
である。
解答タ:0, チ:7,ツ:2,テ:6
この式D,式E,式Fの連立方程式を解く。
式Eより、
$x=z+7$式E'
これを式Dに代入して、
$(z+7)+y+z=0$
$y=-2z-7$式D'
式D',式E'を式Fに代入して、
$(z+7)^{2}+(-2z-7)^{2}+z^{2}=26$
途中式
$z^{2}+2\cdot 7z+7^{2}+4z^{2}+4\cdot 7z+7^{2}+z^{2}-26=0$
$6z^{2}+6\cdot 7z+2\cdot 7^{2}-26=0$
$6z^{2}+6\cdot 7z+2\cdot(7^{2}-13)=0$
$6z^{2}+6\cdot 7z+2\cdot 36=0$
$z^{2}+7z+12=0$
より、
$z=-4$,$-3$
$z=-4$のとき、
式D'より、
$y=-2\cdot(-4)-7$
$y$$=1$
となるけど、これは式Cに当てはまらない。
$z=-3$のとき、
式D'より、
$y=-2\cdot(-3)-7$
$y$$=-1$
式E'より、
$x=-3+7$
$x$$=4$
となる。これは式Cに当てはまる。
以上の$x$,$y$,$z$を
$\mathrm{D}-43=x$
$\mathrm{E}-43=y$
$\mathrm{F}-43=z$
に代入して、
$\mathrm{D}=47$
$\mathrm{E}=42$
$\mathrm{F}=40$
となる。
解答ト:4, ナ:7, ニ:4, ヌ:2, ネ:4, ノ:0
(4)
⓪~③の4つの相関図を見比べると、黒い点は同じ場所にあるけれど、他の色の点は場所が変わっている。
なので、黒以外の点だけ確認しよう。
まず、赤い点。
$p$(1回戦の得点)が$33$の選手を問題文中の表で探すと、番号1と番号11が該当する。
番号1の$q$(2回戦の得点)は$37$,番号11の$q$は$33$なので、⓪,①の赤い点は存在しない。
なので、⓪と①は不適だ。
次に、オレンジの点。
$p$(1回戦の得点)が$44$の選手を問題文中の表で探すと、番号2が該当する。
番号2の$q$は$44$なので、③のオレンジの点は存在しない。
なので、③も不適。
よって、適切なものは②である。
解答ハ:2
②の相関図を見ると、点は左下から右上に並んで分布する傾向があることが分かる。なので、正の相関関係があると考えられる。
解答ヒ:0
(5)
データの大きさは10人くらいなので、頭を使うよりも手を使って、$r$を計算してしまおう。
ただし、$q$(2回戦の得点)が$p$(1回戦の得点)よりも低い場合は$r$は負になるけど、この人数は問題文中の度数分布表から2人だと分かっているので、計算しない。
番号 | $p$(1回戦) | $q$(2回戦) | $r=\displaystyle \frac{q-p}{p}\times 100$ |
---|---|---|---|
1 | 33 | 37 | $\displaystyle \frac{400}{33}$ |
2 | 44 | 44 | $0$ |
3 | 30 | 34 | $\displaystyle \frac{400}{30}$ |
4 | 38 | 35 | - |
5 | 29 | 30 | $\displaystyle \frac{100}{29}$ |
6 | 26 | - | - |
7 | 43 | 41 | - |
8 | 23 | - | - |
9 | 28 | - | - |
10 | 34 | 38 | $\displaystyle \frac{400}{34}$ |
11 | 33 | 33 | $0$ |
12 | 26 | - | - |
13 | 36 | 41 | $\displaystyle \frac{500}{36}$ |
14 | 30 | 37 | $\displaystyle \frac{700}{30}$ |
15 | 27 | - | - |
表Cより、$r$が$10$未満なのは、3人。($r$が負の場合を除く)
なので、問題文中の度数分布表のGは、3人である。
解答フ:3
②回戦に参加した人数が10人で、H以外の人数が
$2+3+1=6$人
なので、Hは4人である。
解答ヘ:4