大学入試センター試験 2014年(平成26年) 追試 数学ⅡB 第2問 解説
(1)
放物線$C$と$D$の連立方程式
$\left\{\begin{array}{l}
y=2x^{2}\\
y=-(x-p)^{2}+2
\end{array}\right.$
を解く。
ただし、この形の連立方程式は代入法で解くのが普通だろうけど、今回は加減法で解く。
辺々引くと、
$-)$$ y=2x^{2}$
$\underline{-)y=-(x-p)^{2}+2}$
$-)$$ 0=2x^{2}-\{-(x-p)^{2}+2\}$式A
この右辺が$f(x)$なので、$f(x)=0$は、放物線$C$と$D$の連立方程式を解いている途中式だ。
式Aを展開して、
$3x^{2}-2px+p^{2}-2=0$式A'
解答ア:2, イ:2
この解が放物線$C$と$D$の交点の$x$座標である。
$C$と$D$は異なる2点で交わるので、式A'の方程式は異なる2つの実数解をもつ。
よって、判別式から、
$(-2p)^{2}-4\cdot 3\cdot(p^{2}-2) \gt 0$
$p^{2} \lt 3$
より、$p$の範囲は
$-\sqrt{3} \lt p \lt \sqrt{3}$
である。
解答ウ:3
$\alpha+\beta,\ \beta-\alpha$については、
解法1
解と係数の関係から求める
解法2
解の公式を使って$\alpha,\beta$を求め、たしたり引いたりする。
の方法が考えられる。解法2は強引な感じだが、今回はこっちが計算が楽かも。
解法1
$\alpha,\beta$は式A'の解なので、解と係数の関係から
$\left\{\begin{array}{l}
\alpha+\beta=\frac{2}{3}p\\
\alpha\beta=\frac{p^{2}-2}{3}
\end{array}\right.$式B
解答エ:2, オ:3
$(\beta-\alpha)^{2}=(\alpha+\beta)^{2}-4\alpha\beta$なので、
$(\displaystyle \beta-\alpha)^{2}=\left(\frac{2}{3}p\right)^{2}-4\cdot\frac{p^{2}-2}{3}$
$(\displaystyle \beta-\alpha)^{2}$$\displaystyle =\frac{2^{2}}{3^{2}}(6-2p^{2})$
$\alpha \lt \beta$より、$ 0 \lt \beta-\alpha$なので、
$\displaystyle \beta-\alpha=\frac{2}{3}\sqrt{6-2p^{2}}$式C
となる。
解答カ:2, キ:6
解法2
$\alpha,\beta$は式A'の解なので、解の公式から、
$x=\displaystyle \frac{2p\pm\sqrt{(-2p)^{2}-4\cdot 3\cdot(p^{2}-2)}}{2\cdot 3}$
$x\displaystyle $$\displaystyle =\frac{p\pm\sqrt{6-2p^{2}}}{3}$
$\alpha \lt \beta$なので、
$\left\{\begin{array}{l}
\alpha=\frac{p}{3}-\frac{\sqrt{6-2p^{2}}}{3}\\
\beta=\frac{p}{3}+\frac{\sqrt{6-2p^{2}}}{3}
\end{array}\right.$式D
式Dより、
$\displaystyle \alpha+\beta=\frac{p}{3}\times 2$
$\displaystyle \alpha+\beta$$\displaystyle =\frac{2}{3}p$
解答エ:2, オ:3
$\displaystyle \beta-\alpha=\frac{\sqrt{6-2p^{2}}}{3}\times 2$
$\displaystyle \beta-\alpha$$\displaystyle =\frac{2\sqrt{6-2p^{2}}}{3}$
解答カ:2, キ:6
(2)
余談
この部分、数Ⅲが不要な人には全く関係のない話です。分からなくてもこの問題は解けるし。なので、読み飛ばしてもらっていいです。
今回は問題中に$-1 \lt \alpha \lt \beta \lt 1$と書いてあるけれど、これが分からないと$-1 \lt p \lt 1$での$\alpha,\beta$の範囲を調べないといけない。
その場合、
解の公式から、
$x=\displaystyle \frac{p\pm\sqrt{6-2p^{2}}}{3}$
$\alpha \lt \beta$なので、
$\left\{\begin{array}{l}
\alpha=\frac{p-\sqrt{6-2p^{2}}}{3}\\
\beta=\frac{p+\sqrt{6-2p^{2}}}{3}
\end{array}\right.$式E
数Ⅲの範囲になるけど、これを$p$で微分しよう。
$x'=\displaystyle \frac{1}{3}\pm\frac{1}{3}\cdot\left(\sqrt{6-2p^{2}}\right)'$
$x'$$=\displaystyle \frac{1}{3}\pm\frac{-2p}{3\sqrt{6-2p^{2}}}$
式Eより、複合が-のとき$\alpha$、$+$のとき$\beta$なので、
$\left\{\begin{array}{l}
\alpha'=\frac{1}{3}-\frac{-2p}{3\sqrt{6-2p^{2}}}\\
\beta'=\frac{1}{3}+\frac{-2p}{3\sqrt{6-2p^{2}}}
\end{array}\right.$式E'
$\alpha'=0$のとき
$\displaystyle \frac{1}{3}-\frac{-2p}{3\sqrt{6-2p^{2}}}=0$
$\displaystyle \frac{-2p}{\sqrt{6-2p^{2}}}=1$
$-2p=\sqrt{6-2p^{2}}$
より、$p \lt 0$
両辺2乗して、
$4p^{2}=6-2p^{2}$
$p=-1$
これから、$\alpha$について$-1 \lt p \lt 1$の範囲で増減表を書くと、
$p$ | -1 | … | 1 |
---|---|---|---|
$\alpha'$ | 0 | + | |
$\alpha$ | -1 | $\nearrow$ | $-\displaystyle \frac{1}{3}$ |
となるので、$-1 \lt p \lt 1$の範囲で、
$-1 \lt \displaystyle \alpha \lt -\frac{1}{3}$
同様に、
$\displaystyle \frac{1}{3} \lt \beta \lt 1$
以上より、
$-1 \lt \alpha \lt \beta \lt 1$
といえる。
結構大変だ。
$-1 \lt \alpha \lt \beta \lt 1$より、グラフを描くと図Bのようになる。グラフ中、放物線$D$の軸$p$は正になっているけれど、$p$の範囲は$-1 \lt p \lt 1$である。
アイの式より、
$\displaystyle \int_{-1}^{1}f(x)dx=\int_{-1}^{1}(3x^{2}-2px+p^{2}-2)dx$
$\displaystyle \int_{-1}^{1}f(x)dx$$\displaystyle =\left[x^{3}-px^{2}+(p^{2}-2)x\right]_{-1}^{1}$
$\displaystyle \int_{-1}^{1}f(x)dx$$\displaystyle =2p^{2}-2$式F
解答ク:2, ケ:2
$\displaystyle \int_{-1}^{1}f(x)dx=\int_{-1}^{\alpha}f(x)dx+\int_{\alpha}^{\beta}f(x)dx$
$\displaystyle +\int_{\beta}^{1}f(x)dx$式G
とかける。
$f(x)$は$C$の式$-D$の式なので、
$\left\{\begin{array}{l}
\int_{-1}^{\alpha}f(x)dx=T_{1}\\
\int_{\alpha}^{\beta}f(x)dx=-S\\
\int_{\beta}^{1}f(x)dx=T_{2}
\end{array}\right.$式H
式Hを式Gに代入して、
$\displaystyle \int_{-1}^{1}f(x)dx=T_{1}-S+T_{2}$式I
である。
解答コ:0
次に$S$を求める。
式Hより、
$\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta}f(x)dx=-S$
$S=-\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta}f(x)dx$式J
ここで、$\alpha,\beta$は$f(x)=0$の解なので、$\displaystyle \frac{1}{6}$公式が使える。
復習
$\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta}(x^{2}+bx+c)dx=-\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^{3}$
ただし、$\alpha,\beta$は$x^{2}+bx+c=0$の解
だった。
なので、式Jは、
$S=-3\cdot\left\{-\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^{3}\right\}$
これに式Cを代入して、
$S\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{2}\left(\frac{2}{3}\sqrt{6-2p^{2}}\right)^{3}$
$S\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2^{2}}{3^{3}}\left(\sqrt{6-2p^{2}}\right)^{3}$式K
$S$$=\frac{8}{27}(3-p^{2})\sqrt{6-2p^{2}}$
となる。
解答サ:8, シ:2, ス:7, セ:3, ソ:6
ちょっとややこしくなってきたから、いったん整理しよう。
これから使いそうな式は
$\displaystyle \int_{-1}^{1}f(x)dx=T_{1}-S+T_{2}$式I
$\displaystyle \int_{-1}^{1}f(x)dx=2p^{2}-2$式F
$S\displaystyle =\frac{2^{2}}{3^{3}}\left(\sqrt{6-2p^{2}}\right)^{3}$式K
の3つ。
式Iの両辺に$2S$をたして、
$S+T_{1}+T_{2}=\displaystyle \int_{-1}^{1}f(x)dx+2S$式I'
$q=\sqrt{6-2p^{2}}$とおくので、
両辺2乗して、
$2p^{2}=6-q^{2}$
$p^{2}=3-\displaystyle \frac{q^{2}}{2}$
これを式Fに代入して、
$\displaystyle \int_{-1}^{1}f(x)dx=6-q^{2}-2=4-q^{2}$式F'
式Kに代入して、
$S=\displaystyle \frac{2^{2}}{3^{3}}q^{3} =\frac{4}{27}q^{3}$式K'
式F'・K'を式I'の右辺に代入して、
$S+T_{1}+T_{2}=(4-q^{2})+2\displaystyle \cdot\frac{4}{27}q^{3}$
$S+T_{1}+T_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{8}{27}q^{3}-q^{2}+4$式L
解答タ:8, チ:2, ツ:7, テ:4
次は、$-1 \lt p \lt 1$のときの$q$の範囲だ。
$q=\sqrt{6-2p^{2}}$なので、
$-1 \lt p \lt 1$から$\sqrt{6-2p^{2}}$の範囲をつくろう。
$0\leqq p^{2} \lt 1$
$0\geqq-2p^{2} \gt -2$
$6\geqq 6-2p^{2} \gt 4$
3辺とも正の数なので、√に入れて、
$\sqrt{6}\geqq\sqrt{6-2p^{2}} \gt 2$
なので、
$2 \lt q\leqq\sqrt{6}$式M
である。
解答ト:2, ナ:6
もうちょっとだ。
$q$が式Mの範囲のとき、式Lが最小値となる$q$を求める。
式Lを微分して、
$(S+T_{1}+T_{2})'=\displaystyle \frac{8}{9}q^{2}-2q$
$(S+T_{1}+T_{2})'\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2}{9}q(4q-9)$
より、$q=0,\displaystyle \ \frac{9}{4}$のとき、$(S+T_{1}+T_{2})'=0$
以上から$2 \lt q\leqq\sqrt{6}$の範囲で$S+T_{1}+T_{2}$の増減表をかくと、
$q$ | 2 | … | $\displaystyle \frac{9}{4}$ | … | $\sqrt{6}$ |
---|---|---|---|---|---|
$(S+T_{1}+T_{2})'$ | - | 0 | + | ||
$S+T_{1}+T_{2}$ | $\searrow$ | $\nearrow$ |
表Cより、
$S+T_{1}+T_{2}$は$q=\displaystyle \frac{9}{4}$のとき最小となる。
解答ニ:9, ヌ:4
このときの$p$は、
$\displaystyle \sqrt{6-2p^{2}}=\frac{9}{4}$
より、両辺を2乗して、
$6-2p^{2}=\displaystyle \frac{9^{2}}{4^{2}}$
$p^{2}=\displaystyle \frac{6\cdot 4^{2}-9^{2}}{4^{2}\cdot 2}$
$p^{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3\cdot 5}{4^{2}\cdot 2}$
$p=\displaystyle \pm\frac{\sqrt{15}}{4\sqrt{2}}$
分母を有理化して、
$p=\displaystyle \pm\frac{\sqrt{30}}{8}$
である。
解答ネ:3, ノ:0, ハ:8