大学入試センター試験 2013年(平成25年) 追試 数学ⅡB 第3問 解説
(1)
$\{a_{n}\}$は初項$3$・公差$2$の等差数列なので、等差数列の一般項の公式より、
$a_{n}=3+2\cdot(n-1)$
$a_{n}$$=2n+1$
解答ア:2, イ:1
ア$=2$、イ$=1$なので、$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}3^{2k+1}$を求める。
$3^{2k+1}=3^{2k}\times 3=9^{k}\times 3$から、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}3^{2k+1}=3\sum_{k=1}^{n}9^{k}$
となる。これを計算する。
Σの公式より、
$3\displaystyle \sum_{k=1}^{n}9^{k}=3\times\frac{9(1-9^{n})}{1-9}$
$3\displaystyle \sum_{k=1}^{n}9^{k}$$\displaystyle =\frac{27(9^{n}-1)}{8}$
である。
解答ウ:2, エ:7, オ:9, カ:8
(2)
新しく$b_{n}$と$c_{n}$が出てきた。
$\left\{\begin{array}{l}
a_{n}=2n+1\\
b_{n}=-2\cos\left(\frac{a_{n}}{3}\pi\right)+2\\
c_{n}=b_{n}+n
\end{array}\right.$
なのだけれど、まず$b_{n}$の$\cos\left(\frac{a_{n}}{3}\pi\right)$の部分について考えよう。
$a_{n}$は初項$3$、公差$2$の等差数列なので、$\displaystyle \frac{a_{n}}{3}\pi$は初項$\pi$、公差$\displaystyle \frac{2}{3}\pi$の等差数列。
よって、$\cos\left(\frac{a_{n}}{3}\pi\right)$は$-1,\displaystyle \frac{1}{2},\frac{1}{2}$の繰り返しになる。
ここまで分かったところで、それぞれの数列の最初の6項を求める。
$n$ | $a_{n}$ | $b_{n}$ | $c_{n}$ |
---|---|---|---|
1 | $3$ | $4$ | $5$ |
2 | $5$ | $1$ | $3$ |
3 | $7$ | $1$ | $4$ |
4 | $9$ | $4$ | $8$ |
5 | $11$ | $1$ | $6$ |
6 | $13$ | $1$ | $7$ |
解答キ:4, ク:1, ケ:4, コ:5, サ:4, シ:8
$b_{m-2}$だの$b_{m-1}$だのって言われても、文字で考えると混乱のもと。
$ m=3,6,9,\cdots$ということだから、$m$に$3$でも代入して考えよう。
$b_{m-2}$は、$m$に$3$を代入した$b_{1}$がその例。$b_{1}=4$なので、
解答ス:4
$b_{m-1}$は、$m$に$3$を代入した$b_{2}$を考えると、$b_{2}=1$なので、
解答セ:1
$b_{m}$は$b_{3}=1$なので、
解答ソ:1
$c_{m-2},c_{m-1},c_{m}$も同様に$m$に$3$を代入して例を作ろう。
$c_{m-2}$の例は、$c_{1}=5$
$c_{m-1}$の例は、$c_{2}=3$
$c_{m}$の例は、$c_{3}=4$
以上より、
$c_{2} \lt c_{3} \lt c_{1}$なので、
$c_{m-1} \lt c_{m} \lt c_{m-2}$
と考えられる。
解答タ:1, チ:2, ツ:0
アドバイス
ちゃんと考えると、
$c_{m-2}=b_{m-2}+(m-2)$
スより$b_{m-2}=4$なので、
$c_{m-2}$$=4+(m-2)$
$c_{m-2}$$=m+2$
$c_{m-1}=b_{m-1}+(m-1)$
$c_{m-1}$$=m$
$c_{m}=b_{m}+m$
$c_{m}$$=m+1$
以上より、
$c_{m-1} \lt c_{m} \lt c_{m-2}$
となるけど、センター試験は時間との闘いで、どんな解き方をしようが正解を出せば得点になる。なので、上の例を作る方法の方が短時間で解けるからおすすめ。
次は、$m$が3の倍数のとき、数列$\{c_{n}\}$の初項から$m$項までの和を求めよという。
問題文がヒントになっているので、その流れに乗って解こう。
問題は3項ずつ( )に入れているので、まねしてみよう。
そのとき、直前のタチツで$c_{m-1} \lt c_{m} \lt c_{m-2}$が分かっているので、$c_{m-1}+c_{m}+c_{m-2}$の順に書いてみる。
$c_{2}+c_{3}+c_{1}=3+4+5$
$c_{5}+c_{6}+c_{4}=6+7+8$
となるので、数列$\{c_{n}\}$は、項を小さい順に並べると
$ 3,4,5,6,7,8,\cdots$
であることが分かる。
このことから、$c_{1}$から$c_{m}$までの和は、 初項$3$ 公差$1$ 項数$m$ の等差数列の和と等しいことが分かる。
この等差数列の一般項は、
$3+(n-1)=n+2$
以上より、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{m}c_{k}=\sum_{k=1}^{m}(k+2)$式A
解答テ:2
式Aはさらに、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{m}(k+2)=\sum_{k=1}^{m}k+\sum_{k=1}^{m}2$
$\displaystyle \sum(k+2)$$\displaystyle =\frac{1}{2}m(m+1)+2m$
$\displaystyle \sum(k+2)$$\displaystyle =\frac{1}{2}m(m+1+4)$
$\displaystyle \sum(k+2)$$\displaystyle =\frac{1}{2}m(m+5)$
問題文のマスに合う形に変形して、
$\displaystyle \sum(k+2)$$\displaystyle =\frac{m^{2}+5m}{2}$
となる。
解答ト:5, ナ:2
さらに、$d_{n}=\displaystyle \frac{b_{n}}{nc_{n}}$として、$d_{n}$の和を求めよという。
問題文に「$c_{n}=b_{n}+n$に注意して」とあるけれど、焦って$c_{n}$に$b_{n}+n$を代入してはいけない。
分母が多項式になると後が面倒だし、ニヌの式を見ると$c_{k}$が残っている。
なので、
$b_{n}=c_{n}-n$
と変形して$d_{n}$の式に代入して、$b_{n}$を消そう。
$d_{n}=\displaystyle \frac{c_{n}-n}{nc_{n}}$
$d_{n}=\displaystyle \frac{c_{n}}{nc_{n}}-\frac{n}{nc_{n}}$
$d_{n}=\displaystyle \frac{1}{n}-\frac{1}{c_{n}}$
より、
$\displaystyle \sum_{k=n}^{m}d_{k}=\sum_{k=n}^{m}\left(\frac{1}{k}-\frac{1}{c_{k}}\right)$式B
解答ニ:1, ヌ:1
式Bはさらに、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{m}d_{k}=\sum_{k=n}^{m}\frac{1}{k}-\sum_{k=1}^{m}\frac{1}{c_{k}}$式B'
と変形できる。
$\{c_{n}\}$は$\{5,3,4,8,6,7,\cdots\}$という数列だけれど、項数が3の倍数の$m$項なので、小さい順に並べ替えると$\{3,4,5,6,7,8,\cdots,m+2\}$となる。
だから、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{m}\frac{1}{c_{k}}=\sum_{k=1}^{m}\frac{1}{k+2}$
といえるので、式B'は
$\displaystyle \sum_{k=1}^{m}d_{k}=\sum_{k=n}^{m}\frac{1}{k}-\sum_{k=1}^{m}\frac{1}{k+2}$式B''
と書き換えられる。
解答ネ:2
あとは式B''を解けばよい。
でも、Σの公式に、分母に$k$があるものはなかった。
アドバイス
Σの式で行き詰まったら、項を並べて書いてみよう。
式B''をΣを使わずに書くと、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{m}d_{k}=\left(\frac{1}{1}-\frac{1}{3}\right)$
$+\left(\frac{1}{2}-\frac{1}{4}\right)$
$+\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{5}\right)$
$+\left(\frac{1}{4}-\frac{1}{6}\right)$
$+\cdots$
$+\left(\frac{1}{m-2}-\frac{1}{m}\right)$
$+\left(\frac{1}{m-1}-\frac{1}{m+1}\right)$
$+\left(\frac{1}{m}-\frac{1}{m+2}\right)$
となる。お約束の形で、ここまで来たら勝ったも同然。
分数はセットで消えて、相手のいない4つだけが残って、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{m}d_{k}=\left(\frac{1}{1}+\frac{1}{2}\right)+\left(-\frac{1}{m+1}-\frac{1}{m+2}\right)$
$\displaystyle \sum d_{k}$$\displaystyle =\left(1+\frac{1}{2}\right)-\left(\frac{1}{m+1}+\frac{1}{m+2}\right)$
解答ノ:2, ハ:2
$\displaystyle \sum d_{k}$$\displaystyle =\frac{3}{2}-\left(\frac{1}{m+1}+\frac{1}{m+2}\right)$
右辺を通分して、
$\displaystyle \sum d_{k}$$\displaystyle =\frac{3(m+1)(m+2)}{2(m+1)(m+2)}-\left(\frac{2(m+2)+2(m+1)}{2(m+1)(m+2)}\right)$
$\displaystyle \sum d_{k}$$\displaystyle =\frac{3(m+1)(m+2)-2(m+2)-2(m+1)}{2(m+1)(m+2)}$
$\displaystyle \sum d_{k}$$\displaystyle =\frac{3m^{2}+9m+6-2m-4-2m-2}{2(m+1)(m+2)}$
$\displaystyle \sum d_{k}$$\displaystyle =\frac{3m^{2}+5m}{2(m+1)(m+2)}$
$\displaystyle \sum d_{k}$$\displaystyle =\frac{m(3m+5)}{2(m+1)(m+2)}$
となる。
解答ヒ:3, フ:5, ヘ:2