大学入試センター試験 2012年(平成24年) 本試 数学ⅡB 第5問 解説

(1)

表A
(点) 10
9
8 1 1

7 5
6 4 1 1 2
5 2
4 1 1
3 1
2
1
0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
国語 (点)

国語の得点が4点なのは表Aの緑の部分なので、5人。

解答ア:5

表B
(点) 10
9
8 1 1

7 5
6 4 1 1 2
5 2
4 1 1
3 1
2
1
0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
国語 (点)

図Bの青い部分は、国語と英語の得点が等しい。なので、それより右下の緑の部分は英語の得点が国語の得点より低い。
よって、問われている英語の得点が国語の得点以下であるのは青+緑の部分で、8人。

解答イ:8

(2)

表C
(点) 10
9
8 1 1

7 5
6 4 1 1 2
5 2
4 1 1
3 1
2
1
0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
国語 (点)

5点を仮平均とする。表Cのグレーの部分が仮平均。
仮平均値を0とすると、グレーより右の部分は+、左の部分は-で表せて、例えば6点は+1点、4点は1点になる。
すると、表Cの緑の部分・青い部分は右と左がセットで0になるので、オレンジ色の部分だけ計算すればよい。
1×4+1×1+3×1=0
なので、仮平均の5点がちょうど平均値Bである。

解答ウ:5, エ:0


ここで「偏差」って言葉の復習をしておこう。

復習

偏差とは、それぞれのデータの値と平均値との差で、データの値から平均値を引いたもの。
例えば表Cだと、国語の最高点は8点だけど、偏差は
85=3
で3になる。
平均値ちょうどのデータの偏差は0,平均値より小さい値のデータの偏差は負の数である。

それから、分散の復習もしておく。

復習

分散s2の定義は、
「偏差の2乗の平均」
つまり、
s2=(平均値)2の和データの大きさ
である。

公式

s2={(x1x)2+(x2x)2++(xnx)2}n=x2(x)2

を憶えておこう。

表D
(点) 10
9
8 1 1

7 5
6 4 1 1 2
5 2
4 1 1
3 1
2
1
0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
国語 (点)

表Dのグレーの部分が平均値。グレーの部分よりも下は偏差は負・上は偏差は正になるけど、分散の計算に必要なのは偏差の2乗なので、上も下も正の数になる。
偏差の2乗は、緑の部分は12,青い部分は22,オレンジの部分は32になる。
グレーの部分の偏差の2乗はは02だから、無視しても結果は変わらない。なので、計算からは除外する。
分散s2
s2={12×(5+2)+22×(1+1+1+1)+32×1}20

途中式 s2=7+16+920=3220=1610
s2=1.6
である。

解答オ:1, カ:6, キ:0

(3)

表E
(点) 10
9
8 1 1

7 5
6 4 1 1 2
5 2
4 1 1
3 1
2
1
0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
国語 (点)

国語の得点も英語の得点も平均値じゃない生徒は、表Eのグレーの部分以外。
なので、5人。

解答ク:5


次は、相関係数だ。

復習

データの組(x1,y1)(x2,y2)(xn,yn)があり、xの平均値をxyの平均値をyとする。
xの偏差とyの偏差の積
(x1x)(y1y)(x2x)(y2y)(xnx)(yny)
を偏差の交差積という。
この偏差の交差積の平均値を共分散という。
共分散をsxyとすると、

公式

sxy=1n{(x1x)(y1y)+(x2x)(y2y)++(xnx)(yny)}=1nk=1nxkykxy

この共分散sxyを、x, yそれぞれの標準偏差の積で割った、

公式

rxy=sxysxsy

を相関係数という。

表Eのグレーの部分は、国語または英語の偏差が0なので、偏差の交差積も0。
なので、無視しても結果は変わらないから、計算からは除外する。
偏差の交差積は、
緑の部分は2
右上の緑は、1×2=2 左下の緑は、(1)×(2)=2
青い部分は4
(2)×(2)=4
オレンジの部分は6
右上のオレンジは、3×2=6 左下のオレンジは、(2)×(3)=6
である。
よって、共分散sxyは、
sxy=2×(1+1)+4×1+6×(1+1)20=4+4+1220=2020=1

このsxyを国語と英語の標準偏差の積で割れば、相関係数だ。
問題文中の表より、国語の分散は1.60なので、国語の標準偏差は1.60 オカキより、英語の分散も1.60なので、英語も標準偏差は1.60 以上より、相関係数rxyは、
rxy=11.60×1.60

途中式 rxy=11.60=1016=58
rxy=0.625
となる。

解答ケ:0, コ:6, サ:2, シ:5

(4)

表F
(点) 10
9
8 1 1

7 5 2 1
6 4 1 8 5 F
5 3 5 5 1
4 2 2 D E 2 2
3 1 1
2
1
0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
国語 (点)

(2)でAクラスの国語の平均点を求めたのと同じような計算方法をしよう。
国語の得点が5点(表Fのグレーの部分)を基準(0)にすると、グレーより右の部分は+、左の部分は-で表せる。例えば6点は+1点、4点は1点になる。
すると、表Fの青い部分は右と左がセットで0になるので、オレンジ色の部分だけ計算すると、
1×(1+8)+2×5+3×1=22
なので、国語の合計点は5×人数よりも22点多い。
問題文より、D, E, Fを除いた人数は52人なので、
5×52+22=10×26+22=282 である。

解答ス:2, セ:8, ソ:2


問題より、生徒は全部で60人で、D, E, Fを除いた人数は52人。
なので、
D+E+F=6052
D+E+F=8式A
である。

解答タ:8

また、問題より、全60人の生徒の平均点は、国語も英語も5.4点。
なので、国語も英語も合計点は
5.4×60=324式B
で、324点。
スセソより、D, E, Fを除いた国語の合計点は282点。

よって、
4D+5E+8F=324282=42

解答:チ:4, ツ:2

さらに、英語でも同じように式をつくると、
4D+4E+6F=36式D

式A,C,Dの連立方程式を解く。
式Aの両辺を4倍して、
4D+4E+4F=32式A'

式A'と式Cで加減法をして、

4D+5E+8F=42
)4D+4E+4F=32
E+4F=10式E

式A'と式Dで加減法をして

4D+4E+6F=36
)4D+4E+4F=32
2F=4

より、
F=2

これを式Eに代入して、
E+8=10
E=2

E=2F=2を式Aに代入して、
D=4
である。

解答テ:4, ト:2, ナ:2

(5)

式Bより、全60人の英語の合計点は、324点。
Aクラスの英語の合計点は、
平均点は6.0点。 人数は20人。 より、6×20=120点。
よって、Aクラス以外の
合計点は、324120=204点。 人数は、40人。 となるので、平均点は
20440=5.1
である。

解答ニ:5, ヌ:1


中央値は計算では求められないので、面倒だけど頭を働かさずに手を働かそう。

表G
クラス
全部 A以外
(点) 10 0 0 0
9 0 0 0
8 2 2 0

7 8 5 3
6 20 8 12
5 14 2 12
4 14 2 12
3 2 1 1
2 0 0 0
1 0 0 0
0 0 0 0

問題文中の2つの表から、英語の点数ごとの人数を計算した。と言っても、横1行ごとに人数の合計を計算しただけなので、たいした計算ではない。その後、全クラスの人数からAクラスの人数を引いた。その結果が表Gである。
今必要なのはAクラス以外の人数なので、表のオレンジの部分を見る。
Aクラス以外の人数は40人なので、中央値は上から(下からでもいいけど)20番目と21番目の平均だ。

表Gより、上から20番目も、21番目も5点であることが分かる。
なので、中央値は5.0である。

解答ネ:5, ノ:0

(6)

ちょっと面倒だけど、この問題でも表を書こう。
問題文中のAクラス+他クラスの表をもとに、縦1列ごとに、M(x)(英語の平均点)とN(x)(英語の得点の中央値)を計算したものが表Hである。

表H
国語 (点)
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
(点) 10
9
8 1 1

7 5 2 1
6 4 1 8 5 2
5 3 5 5 1
4 2 2 4 2 2 2
3 1 1
2
1
0
x 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
M(x) 3 4 113 5 7413 8916 438 345 7
N(x) 3 4 4 5 5 6 6 7 7

表Hより、M(x)N(x)であるのはx=3,5,6,7,8の5個である。

解答ハ:5

さらに、表Hより、M(x)<xかつN(x)<xであるのはx=7,8,9の3個である。

解答ヒ:3