大学入試センター試験 2012年(平成24年) 本試 数学ⅠA 第2問 解説

ア~カ

①式を平方完成して、
y=x2+(2a+4)x+b

途中式 y={x22(a+2)x}+b={x22(a+2)x+(a+2)2(a+2)2}+b={x22(a+2)x+(a+2)2}+(a+2)2+b
y={x(a+2)}2+a2+4a+4+b
より、頂点の座標は(a+2,a2+4a+b+4)である。

解答ア:2, イ:4, ウ:4

別解

復習

y=ax2+bx+cのグラフの頂点の座標は
b2a
だった。

この問題のように、平方完成がちょっと面倒なときには、このやり方が楽。

①式の頂点のx座標は、
x=(2a+4)2(1)=a+2
これを①式に代入して、
y=(a+2)2+(2a+4)(a+2)+b=(a+2)2+2(a+2)2+b=(a+2)2+b=a2+4a+4+b より、頂点の座標は(a+2,a2+4a+b+4)である。

解答ア:2, イ:4, ウ:4

この頂点がy=4x1上にあるので、頂点の座標を代入して、
a2+4a+b+4=4(a+2)1
b=4(a+2)1a24a4=4a81a24a4=a28a13 である。

解答エ:8, オ:1, カ:3

問題を解く前に、この式を①式に代入してbを消しておこう。
y=x2+(2a+4)xa28a13
①'

ついでに、頂点の座標もaだけで表しておくと、
(a+2,a2+4a+(a28a13)+4)=(a+2,a2+4aa28a13+4)=(a+2,4a9) である。

(1)

二次関数のグラフがx軸と異なる2点で交わるので、式①'の判別式が正になればよいから、
D>0
より
(2a+4)24(1)(a28a13)>0
とかける。

これを計算すると

途中式 22(a+2)24(1)(a28a13)>0
(a+2)2a28a13>0
a2+4a+4a28a13>0
4a9>0
4a<9
a<94
となる。

解答キ:-, ク:9, ケ:4


次は、x軸と放物線のグラフの共有点の位置の問題。
このタイプの問題は、決まった解き方をするので憶えておこう。

復習

ポイントは、条件に合うグラフを描いて、
判別式から、x軸との共有点の個数条件A 範囲の端(ここでは、x=0)のy座標の正負条件B 放物線の軸が、範囲の端より右にあるか左にあるか条件C を考えること。

この方針で解いてみよう。

x軸の正の部分と負の部分の両方で交わる条件に合うグラフは、図Aのような形になる。

図A
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅠA第2問 解説図A

図Aを見ながら復習の3つの条件を考えると、
条件A:x軸と異なる2点で交わるので、0<D 条件B:x=0のときy>0 条件C:放物線の軸はどこにあってもよい ことが分かる。
それぞれの条件について解こう。話の都合上、条件Bからはじめる。

条件B
①'式にx=0を代入したものが正になるので、
a28a13>0
a2+8a+13<0式B

ここで、a2+8a+13=0のとき、解の公式より
a=8±824132=8±4(8213)2=8±282132=4±3 なので、式Bの解は
43<a<a+3条件B
である。

アドバイス

方程式ax2+bx+c=0bが偶数のとき、b=2nとおいて、
x=n±n2aca
とする解の公式もあるけど、上の計算のように√の中を因数分解すると、すぐにこの公式と同じ形になる。なので、この公式は憶える必要はない。てか、この公式に頼ると因数分解をしなくなるので、個人的にはむしろ害があると思ってます。

次に、条件A。
Gx軸と異なる2点で交わるのだけれど、条件Bにy>0ってのが入ってる。
上に凸の放物線のy座標が正になるところがあれば、x軸と2点で交わるのは明らか。
なので、条件Aは考えなくてもよい。

アドバイス

考えてもいいけど、余計な作業が増えるだけで、答には影響がないです。

最後に条件Cだけど、軸はどこにあってもよいので、これも考えなくてもよい。

以上より、求めるaの範囲は、条件Bのまま、
43<a<a+3
である。

解答コ:4, サ:3

(2)

よく見る、頂点が移動する場合の2次関数の最小値の問題だ。これも決まった解き方があるので憶えておこう。
上に凸のグラフの最小値なので、

(i) 頂点が定義域の中央より左にあるとき

図B
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅠA第2問 解説図B
図C
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅠA第2問 解説図C

最小値はx=4のとき

(ii) 頂点が定義域の中央または右にあるとき

図D
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅠA第2問 解説図D
図E
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅠA第2問 解説図E
図F
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅠA第2問 解説図F

最小値はx=0のとき

の2つのパターンを考えよう。
頂点が定義域のちょうど中央のときは(i),(ii)のどちらに入れてもいいけれど、今は(ii)に入れておいた。


(i) 頂点が定義域の中央より左にあるとき

式Aより、頂点のx座標はx=a+2,定義域の中央は2なので、このパターンになるのは
a+2<2
a<0式C
のとき。

このとき、関数①の最小値は、①'式にx=4を代入して、
42+4(2a+4)a28a13

これが22になるので、

途中式 42+4(2a+4)a28a13=22
16+8a+16a28a13=22
a2=9
a2=9
a=±3

このうち、式Cの範囲に入るのは
a=3
である。

解答シ:-, ス:3


(ii) 頂点が定義域の中央または右にあるとき

このパターンになるのは
2a+2
0a式D
のとき。
このとき、関数①の最小値は、①'式にx=0を代入して、
a28a13
これが22になるので、

途中式 a28a13=22
a2+8a9=0
(a+9)(a1)=0
a=91
このうち、式Dの範囲に入るのは
a=1
である。

解答セ:1

a=1のとき、頂点のx座標は3なので、頂点は定義域の右半分に入り、図Eのようなグラフになる。
図Eより、関数①が最大となるのは、頂点のとき。
よって、求める最大値は、式Aのy座標にa=1を代入して、
419=13
である。

解答ソ:-, タ:1, チ:3

別解

最大値は①'式にx=3a=1を代入して、
y=32+(21+4)3128113=9+6+121813=13 である。

解答ソ:-, タ:1, チ:3


図G
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅠA第2問 解説図G

a=3のとき、式Aより、Gの頂点の座標は
(3+2,4(3)9)
=(1,129)
=(1,3)式E

a=1のとき、さっき求めたように、Gの頂点の座標は
(3,13)式F

これをグラフにすると、図Gができる。 図Gより、 x軸方向に4 y軸方向に16 移動すればよい。

解答ツ:4, テ:-, ト:1, ナ:6

別解

アドバイス

計算だけで解く例も載せておく。位置ベクトルを求めるときと同じで、矢印の先っちょの座標から根っこの座標を引けばよい。
けれど、試験本番では、計算だけで解くと移動のはじめの点と終わりの点を間違えたりしがちなので、面倒でもミスを防ぐために図Gを描くことをお薦めする。

式Eを式Fに平行移動するので、
(3,13)(1,3)=(3+1,133)=(4,16) より、
x軸方向に4 y軸方向に16 移動すればよい。

解答ツ:4, テ:-, ト:1, ナ:6