大学入試センター試験 2012年(平成24年) 本試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説

解説

α=π6のとき、sinα=cos2βをみたすβを求める。
sinπ6は値が分かるから以下のような手間がかかる作業をする必要はないんだけれど、説明の都合なので付き合ってほしい。

まず、三角比の拡張の復習から。

復習

図A
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図A

単位円(半径1の円)で、中心からθの角度で線を引き、円にぶつかった点のx座標がcosθy座標がsinθだった。

図B
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図B

α=π6のとき、単位円でαの角度を表すと、図Bのようになる。
黒い点のy座標がsinαで、値は12である。

図C
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図C

sinα=cos2βなので、cos2β=12になる角度をさがす。
cosx座標なので、単位円にx=12の線を書き込むと、図Cができる。
x=12の線は単位円と赤い2点の共有点をもつ。
Oから赤い点に線を引くと、これがcos2β12となる角度だ。

図D
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図D

0βπ
より、
02β2π
なので、図Cに角度の線を赤で、定義域を緑で書き込むと、図Dができる。
図Dより、
2β=π353π
β=π656π
となる。

解答シ:6, ス:5

それから、図Dのオレンジの角度はαと等しい。


で、セ以下を解いてゆくのだけれど、どうすればよいのか一瞬悩むと思う。

アドバイス

センター試験に限らず、マークシートのテストで悩んだら、上を見て、下を見る。つまり、今までの流れを確認して、それでも分からなければ先の流れを読む。
今回も、まず上を見よう。

シスは、α=π6としてsinα=cos2βを解いた。で、次はαの文字のままで解けという。このような、文字に計算しやすい数字を代入して問題を解かせ、次に文字のまま解けというパターンのときは、数字を代入したときの解法がヒントになっていると考えて間違いない。なので、シスまでの解法と同じことをしてみよう。

図E
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図E

0α<π2のとき、単位円でαの角度を表すと、図Eのようになる。
黒い点のy座標がsinαで、説明のために値をkとしておく。

単位円にx=kの線を書き込むと、この線は単位円と赤い点の共有点をもつ。
Oから赤い点に線を引くと、これがcos2βkとなる角度だ。
さっきと同じように、角度の線を赤で、定義域を緑で書き込むと、図Fができる。
図F中のオレンジの角度はαと等しい。

図F
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図F

図Fより、
2β=π2α32π+α
β=π4α234π+α2
となる。
このうち小さい方がβ1,大きい方がβ2なので、
{β1=π4α2β2=34π+α2式A
である。

解答セ:4, ソ:2, タ:3


図G
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図G

同じようにしてπ2απのときのβも求めよう。
単位円でαの角度を表して、図Gをつくり、
x=kの線と、単位円との共有点と、角度の線と、2βの定義域を書き込んで、図Hをつくる。

さっきと似たようなグラフができたけど、αが違う。
αの作り方で混乱するかも知れないけれど、図Dを見ると、y軸の
正の方向から右回り 負の方向から左回りαの角度をとっている。
図Hでも同じようにすればいい。

図H
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図H

図Hより、
2β=π2+α52πα
β=π4+α254πα2
となる。

よって、
{β1=π4+α2β2=54πα2式B
である。

解答チ:4, ツ:2, テ:5


0α<π2のとき、式Aより、
α+β12+β23=α+π4α22+34π+α23

途中式 =α+π8α4+π4+α6=π8+2π8+1212α3α12+2α12
=38π+1112α式C

0α<π2の各辺を1112倍して、
01112α<1124π
各辺に38πをたして、
38π38π+1112α<38π+1124π

途中式 38π38π+1112α<924π+1124π
38π38π+1112α<2024π
38π38π+1112α<56π
この式の中辺は式Cと同じなので、
38πα+β12+β23<56π式D
である。

π2απのときも同様の作業をしよう。
式Bより、
α+β12+β23=α+π4+α22+54πα23

途中式 =απ8+α4+512πα6=324π+1024π+1212α+3α122α12
=724π+1312α式E

π2απの各辺を1312倍して、
1324π1312α1312π
各辺に724πをたして、
724π+1324π724π+1312α724π+1312π

途中式 2024π724π+1312α724π+2624π
56π724π+1312α3324π
56π724π+1312α118π
この式の中辺は式Eと同じなので、
56πα+β12+β23118π式F
である。

求める範囲は、式Dの範囲または式Fの範囲なので、
38πα+β12+β23118π式G
であることが分かる。

解答ト:3, ナ:8, ニ:1, ヌ:1, ネ:8


図I
大学入試センター試験2012年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図I

式Gの範囲をグラフで表すと、図Iのようになる。

sin(α+β12+β23)が最大になるのは、図Iの赤い角度で、
α+β12+β23=π2式H
である。

π2は式Dの範囲に入るので、場合分けのうち0α<π2のときだ。よって、式Cより、
α+β12+β23=38π+1112α
なので、式Hは
38π+1112α=π2
とかける。
両辺24倍して、
9π+22α=12π
22α=3π
α=322π
となるので、最大値をとるときのα322πである。

解答ノ:3, ハ:2, ヒ:2

また、図Iより、最大値は1である。

解答フ:1