大学入試センター試験 2013年(平成25年) 本試 数学ⅡB 第3問 解説
(1)
復習
まず、漸化式の基本の復習をしよう。
漸化式の基本の形は4つあって、
$a_{n+1}=a_{n}+d$:公差$d$の等差数列
$a_{n+1}=ra_{n}$:公比$r$の等比数列
$a_{n+1}=a_{n}+f(n)$:階差数列の一般項が$f(n)$
$a_{n+1}=pa_{n}+q$:特性方程式を使って解く
だった。
今回は4つめのパターンだ。
なので、特性方程式を使って解く。
①の小さな文字を消して
$p=\displaystyle \frac{1}{3}p+1$
とおくと、
$p=\displaystyle \frac{3}{2}$
これを①の両辺から引いて、
$p_{n+1}-\displaystyle \frac{3}{2}=\frac{1}{3}p_{n}+1-\frac{3}{2}$
$p_{n+1}-\displaystyle \frac{3}{2}$$\displaystyle =\frac{1}{3}p_{n}-\frac{1}{2}$
$p_{n+1}-\displaystyle \frac{3}{2}$$\displaystyle =\frac{1}{3}\left(p_{n}-\frac{3}{2}\right)$式A
である。
解答ア:3, イ:2
$p_{n}-\displaystyle \frac{3}{2}=q_{n}$とおくと、式Aは、
$q_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{3}q_{n}$
となり、これは漸化式の基本の形の2つめだから、$q_{n}$は公比$\displaystyle \frac{1}{3}$の等比数列である。
$q_{n}$の初項は、
$q_{1}=p_{1}-\displaystyle \frac{3}{2}$
なので、
$q_{1}=3-\displaystyle \frac{3}{2}$
$q_{1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3}{2}$
よって、数列$\{q_{n}\}$は、
$q_{n}=\displaystyle \frac{3}{2}\cdot\left(\frac{1}{3}\right)^{n-1}$
$p_{n}-\displaystyle \frac{3}{2}=q_{n}$なので、
$p_{n}=q_{n}+\displaystyle \frac{3}{2}$
これに$q_{n}$の一般項を代入して、
$p_{n}=\displaystyle \frac{3}{2}\cdot\left(\frac{1}{3}\right)^{n-1}+\frac{3}{2}$式B
$p_{n}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3}{2\cdot 3^{n-1}}+\frac{3}{2}$
$p_{n}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{2\cdot 3^{n-2}}+\frac{3}{2}$式B'
解答ウ:2, エ:3, オ:3, カ:2
この数列の初項から$n$項までの和は、式Bより、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}p_{k}=\sum_{k=1}^{n}\left\{\frac{3}{2}\cdot\left(\frac{1}{3}\right)^{k-1}+\frac{3}{2}\right\}$式C
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}p_{k}$$\displaystyle =\frac{3}{2}\sum_{k=1}^{n}\left(\frac{1}{3}\right)^{k-1}+\sum_{k=1}^{n}\frac{3}{2}$
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}p_{k}$$\displaystyle =\frac{3}{2}\left\{\frac{1-\left(\frac{1}{3}\right)^{n}}{1-\frac{1}{3}}\right\}+\frac{3}{2}n$
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}p_{k}$$\displaystyle =\frac{\frac{3}{2}\left(1-\frac{1}{3^{n}}\right)}{\frac{2}{3}}+\frac{3}{2}n$
複分数の分母分子に$\displaystyle \frac{3}{2}$をかけて、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}p_{k}$$\displaystyle =\frac{9}{4}\left(1-\frac{1}{3^{n}}\right)+\frac{3}{2}n$
解答キ:9, ク:4, ケ:3, コ:3, サ:2
アドバイス
式Cをつくるのに、式B'ではなく式Bを使った。
等比数列の和の公式でも、Σの公式でも、式B'にはすぐにあてはめることができないが、式Bだと簡単に使えるため。
無意識に式変形の最後の形を使うのではなく、計算しやすい式を使おう。
(2)
$a_{4}=\displaystyle \frac{3+3}{3}=2$
解答シ:2
$a_{6}=\displaystyle \frac{3+2}{3}=\frac{5}{3}$
解答ス:5, セ:3
おぉ。数学で用語を問う問題が出た。
選択肢の用語を一応簡単に復習しておこう。
復習
0. 整式÷一次式の計算の簡略版。 1. 角度を表す方法のひとつ。例えば、$\displaystyle \frac{\pi}{3}$(60°) 2. 今回の正解 3. 証明したいことの否定を仮定し、矛盾を導く証明法。
で、2。
解答ソ:2
帰納法を自分で作る問題はセンター試験に出たことがない。まぁ、マークシート方式だから当然と言えば当然だけど。
なので、[Ⅱ]の証明全部を読んで理解する必要はなくて、答えだけ作ろう。
問題の指示通り、②に$n=2k$と$n=2k-1$を代入して、
$a_{2k+3}=\displaystyle \frac{a_{2k}+a_{2k+1}}{a_{2k+2}}$式D
$a_{2k+2}=\displaystyle \frac{a_{2k-1}+a_{2k}}{a_{2k+1}}$式E
これと、$b_{n}=a_{2n-1}$、$c_{n}=a_{2n}$から、タチツテの式を作る。
まず、タチの式の左辺$b_{k+2}$だ。
$b_{n}=a_{2n-1}$より、
$b_{k+2}=a_{2k+3}$
これは式Dの左辺と同じなので、タチの式は式Dを材料にしよう。
式Dより、
$b_{k+2}=\displaystyle \frac{a_{2k}+a_{2k+1}}{a_{2k+2}}$式D'
右辺を見ると、$a_{2k}$は$c_{k}$なので解決だけど、$a_{2k+1}$と$a_{2k+2}$がじゃま。
なので、この2つを$b_{n}=a_{2n-1}$、$c_{n}=a_{2n}$から作る。
$b_{n}=a_{2n-1}$、$c_{n}=a_{2n}$に$n=k+1$を代入して、
$b_{k+1}=a_{2(k+1)-1}=a_{2k+1}$式F
$c_{k+1}=a_{2(k+1)}=a_{2k+2}$
できた。
これを式D'に代入して、
$b_{k+2}=\displaystyle \frac{c_{k}+b_{k+1}}{c_{k+1}}$式D''
となる。
解答タ:b, チ:c
ツテの式も同じようにして作る。
左辺の$c_{k+1}$は、
$c_{n}=a_{2n}$より、
$c_{k+1}=a_{2k+2}$
これは式Eの左辺と同じなので、ツテの式は式Eを材料にしよう。
式Eより、
$c_{k+1}=\displaystyle \frac{a_{2k-1}+a_{2k}}{a_{2k+1}}$式E'
右辺を見ると、分子の$a_{2k-1}$と$a_{2k}$は、$b_{n}=a_{2n-1}$、$c_{n}=a_{2n}$より
$a_{2k}=c_{k}$
$a_{2k-1}=b_{k}$
なので解決。
$a_{2k+1}$も、式Fで解決。
なので、式E'は
$c_{k+1}=\displaystyle \frac{b_{k}+c_{k}}{b_{k+1}}$式E''
である。
解答ツ:b, テ:b
次は、トナニの式だ。
問題文から、式D''と式E''から作るのは分かるけど、一瞬悩みそう。
アドバイス
そういうときは、材料になる式と、作りたい式を並べて書いて、見ながら考える。
$b_{k+2}=\displaystyle \frac{c_{k}+b_{k+1}}{c_{k+1}}$式D''
$c_{k+1}=\displaystyle \frac{b_{k}+c_{k}}{b_{k+1}}$式E''
$b_{k+2}=\displaystyle \frac{([\text{ト}]_{k}+[\text{ナ}]_{k+1})[\text{ニ}]_{k+1}}{b_{k}+c_{k}}$作りたい式
見比べると、式E''の分子が作りたい式の分母になっている。
ということは、式D''に式E''を代入すれば、何とかなりそう。
式D''に式E''を代入して、
$b_{k+2}=\displaystyle \frac{c_{k}+b_{k+1}}{\frac{b_{k}+c_{k}}{b_{k+1}}}$
分母分子に$b_{k+1}$をかけて、
$b_{k+2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{\left(c_{k}+b_{k+1}\right)\cdot b_{k+1}}{b_{k}+c_{k}}$
となる。
解答ト:c, ナ:b, ニ:b
最後は、$c_{1}$だ。
$c_{n}=a_{2n}$より、$c_{1}=a_{2}$なので、
$c_{1}=3$
である。
解答ヌ:3