数学B : 数列 群数列2
例題
数列
$\{a_{n}\}=3,6,6,9,9,9,12,12,12,12,15,\ldots$
を
$ 3|6,6|9,9,9|12,12,12,12|15,\ldots$
のように群に分けるとき、
(1)$a_{100}$の値を答えよ。
(2)$1000\leqq a_{1}+a_{2}+\cdots+a_{n}$となる最小の自然数$n$を求めよ。
(類:センター試験2003年本試)
アドバイス
各群に含まれる項がすべて同じ値の群数列の問題だ。
このタイプの問題は、実は群数列的な考え方をしなくても解ける。
けれど、定期テストや模試などでも群数列として出題されるので、以下群数列として解説した。
例によって表を使って解くから、まだ読んでない人は先に群数列のページを見てもらいたい。
問題を解く準備
例題の情報を、表Aにまとめた。
で、問題を解く前に、表Aのピンクのマスをうめよう。
群 | $1$ | $2$ | $3$ | $\cdots$ | $m$ | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
$\{a_{n}\}$ | $a_{1}$ | $a_{2}$ | $a_{3}$ | $a_{4}$ | $a_{5}$ | $a_{6}$ | $\cdots$ | $a_{?}$ | $\cdots$ | $a_{?}$ | |
$n$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ | $\cdots$ | ⑤ | $\cdots$ | ④ | |
値 | $3$ | $6$ | $6$ | $9$ | $9$ | $9$ | $\cdots$ | ② | $\cdots$ | ② | |
群の | 項数 | $1$ | $2$ | $3$ | $\cdots$ | ① | |||||
和 | $\cdots$ | ③ |
まず①から始めよう。
ここに入るのは、第$m$群に含まれる項の数だ。
第$1$群が項数$1$,第$2$群が項数$2$,第$3$群が項数$3$なので、第$m$群は項数$m$だって考えられるから、①のマスには$m$を入れる。
それから、②。
第$1$群に含まれる項はすべて$3$
第$2$群に含まれる項はすべて$6$
第$3$群に含まれる項はすべて$9$
なので、
第$m$群に含まれる項はすべて$3m$
と考えられる。
ここまで求めたら、③の、群の項の和を計算しておこう。
群の項数は$m$
項の値はすべて$3m$
なので、群の項の和は
$3m\times m=3m^{2}$
である。
次は、④。
第$m$群の末項の$n$、つまり第$m$群の末項が$\{a_{n}\}$の何項目にあたるかを考える。
第$m$群の末項の$n$は、$1$~$m$群に含まれる項数の和なので、
④$=1+2+3+4+\cdots+m$
④$\displaystyle $$\displaystyle =\sum_{k=1}^{m}k$
④$\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{2}m(m+1)$
である。
④が分かれば⑤は簡単だ。
第$m$群の初項は、第$(m-1)$群の末項の次の項。
第$(m-1)$群の末項は、④より
$\displaystyle \frac{1}{2}(m-1)m$
なので、
⑤$=\displaystyle \frac{1}{2}(m-1)m+1$
⑤$\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{2}(m^{2}-m+2)$
となる。
これまでの結果を書き込んで表を完成させたのが、表Bだ。
群 | $1$ | $2$ | $3$ | $\cdots$ | $m$ | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
$\{a_{n}\}$ | $a_{1}$ | $a_{2}$ | $a_{3}$ | $a_{4}$ | $a_{5}$ | $a_{6}$ | $\cdots$ | $a_{?}$ | $\cdots$ | $a_{?}$ | |
$n$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ | $\cdots$ | $\frac{1}{2}(m^{2}-m+2)$ | $\cdots$ | $\frac{1}{2}m(m+1)$ | |
値 | $3$ | $6$ | $6$ | $9$ | $9$ | $9$ | $\cdots$ | $3m$ | $\cdots$ | $3m$ | |
群の | 項数 | $1$ | $2$ | $3$ | $\cdots$ | $m$ | |||||
和 | $\cdots$ | $3m^{2}$ |
この表Bを見ながら問題を解いてゆく。
(1)
$a_{100}$が第何群に入るかを考える。
表Bより、
第$m$群の初項は、$\{a_{n}\}$の
$\displaystyle \frac{1}{2}(m^{2}-m+2)$項目。
第$m$群の末項は、$\{a_{n}\}$の
$\displaystyle \frac{1}{2}m(m+1)$項目。
よって、
$\displaystyle \frac{1}{2}(m^{2}-m+2)\leqq 100\leqq\frac{1}{2}m(m+1)$式A
となる$m$を求めれば、それが$a_{100}$の含まれる群だ。
式Aの中辺と右辺より、
$100\displaystyle \leqq\frac{1}{2}m(m+1)$
$200\leqq m(m+1)$式B
なんだけど、これを真面目に二次不等式として解いてはいけない。時間がかかるから。
式Bの右辺は連続する整数。
なので、かけて$200$以上になる連続する整数をさがす。
今回は$200$くらいの数なのでやみくもに探しても見つかるけれど、もっと大きな数だと大変だ。
式Bの左辺の$200$を
$200=\sqrt{200}^{2}$
$200$$=(10\sqrt{2})^{2}$
$200$$\doteqdot(10\times 1.41)^{2}$
$200$$=14.1^{2}$
と考えると、$m$は$14$くらいの数だと想像がつく。
式Bの右辺に$m=14$を代入すると、
$14(14+1)=210$
なので、式Bは成り立つ。
また、$m=14$のときに$210$なので、$m=13$のときは計算するまでもなく式Bは成り立たない。
よって、$a_{100}$は第$14$群に含まれる。
表Bより、第$m$群に含まれる項の値はすべて$3m$。
なので、第$14$群に含まれる項の値はすべて$42$。
以上より
$a_{100}=42$
である。
解答$a_{100}=42$
(2)
(1)と同じように、$a_{n}$が第何群に入るか考えよう。
$a_{n}$が第$m$群に入るとすると、
$ 1000\leqq$第$1$群から第$m$群までの和
である。
表Bより、第$m$群に含まれる項の和は
$3m^{2}$
なので、第$1$群から第$m$群までに含まれる項の和は、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{m}3k^{2}$式C
とかけるから、
$1000\displaystyle \leqq\sum_{k=1}^{m}3k^{2}$
という式ができる。
これを変形して、
$1000\displaystyle \leqq 3\cdot\frac{1}{6}m(m+1)(2m+1)$
$1000\displaystyle \leqq\frac{1}{2}m(m+1)(2m+1)$
右辺の$\displaystyle \frac{1}{2}$と$(2m+1)$をかけ算して
$1000\leqq m(m+1)\left(m+\frac{1}{2}\right)$式D
となる。
これから式Dを解くのだけれど、(1)の式Bのときと同じような考え方をしよう。
式Dの
左辺は、$10^{3}$
右辺は、連続する整数とその間の数の積。
なので、$m=10$のとき、式Dは成り立つことが分かる。
次に$m=9$でやってみよう。
式Dに$m=9$を代入して、
$1000\displaystyle \leqq 9\cdot(9+1)\cdot\frac{9+1}{2}$
$1000\leqq 9\cdot 10\cdot 5$
両辺を$50$で割って、
$20\leqq 9$
より、式Dは$m=9$のときには成り立たない。
以上より、第$1$群から第$10$群の和が、はじめて$1000$を超えることが分かる。
よって、求める$a_{n}$は第$10$群に含まれる。
ここまでの結果を表にすると、表Cができる。
群 | $1$ | $2$ | $\cdots$ | $9$ | $10$ | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
項 | $a_{1}$ | $a_{2}$ | $a_{3}$ | $\cdots$ | $a_{?}$ | $\cdots$ | $a_{45}$① | $a_{?}$ | $\cdots$ | $a_{n}$ | $\cdots$ | $a_{?}$ |
$3$ | $6$ | $6$ | $\cdots$ | $27$② | $\cdots$ | $27$② | $30$③ | $\cdots$ | $30$③ | $\cdots$ | $30$③ | |
合計 | $855$④ |
表Cについて、ちょっと補足。
①の$a_{45}$は、
表Bより、第$m$群の末項は第$\displaystyle \frac{1}{2}m(m+1)$項なので、
第$9$群の末項は、これに$m=9$を代入して、第$45$項。
②の$27$は、
表Bより、第$m$群に含まれる項の値はすべて$3m$なので、第$9$群の項は、これに$m=9$を代入して、$27$。
③の$30$も、$3m$に$m=10$を代入して、$30$。
④の$855$は、
式Cより、第$1$群から第$m$群までに含まれる項の和は、$\displaystyle \sum_{k=1}^{m}3k^{2}$
これに、$m=9$を代入すると、第$1$群から第$9$群までに含まれる項の和は、$\displaystyle \sum_{k=1}^{9}3k^{2}$
これを計算して、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{9}3k^{2}=3\cdot\frac{1}{6}\cdot 9(9+1)(2\cdot 9+1)$
$=855$
である。
表Cより、第$1$群から第$9$群までに含まれる項の和は、$855$。
なので、$1000$には$145$足りない。
足りない分は、第$10$群の項をいくつかたさないといけない。
第$10$群に含まれる項はすべて$30$なので、
$30\times 4 \lt 145 \lt 30\times 5$
より、第$10$群の項を$5$項たせば、初項からの和が$1000$以上になることが分かる。
表Cから、第$9$群の末項は$a_{45}$
これに$5$項加えるので、
$45+5=50$
より、$a_{1}$から$a_{50}$までの和がはじめて$1000$以上になる。
解答$n=50$