大学入学共通テスト 2025年(令和7年) 本試 数学ⅠA 第3問 解説
(1)
直線$\mathrm{AD}$と直線$\mathrm{BE}$は、図Aのように
同一平面(紫の平面)上にある
平行でない
から、1点(点$\mathrm{P}$)で交わる。
直線$\mathrm{AD}$は、図Bのように平面$\mathrm{ABED}$(紫の平面)と平面$\mathrm{ACFD}$(黄色い平面)の交線だ。
解答ア:2
つまり、直線$\mathrm{AD}$は黄色い平面上にある。
したがって、
直線$\mathrm{AD}$上にある点$\mathrm{P}$も、黄色い平面上にある。
同様に、直線$\mathrm{BE}$は、図Cのように平面$\mathrm{ABED}$(紫の平面)と平面$\mathrm{BCFE}$(青い平面)の交線だ。
解答イ:3
つまり、直線$\mathrm{BE}$は青い平面上にある。
したがって、
直線$\mathrm{BE}$上にある点$\mathrm{P}$も、青い平面上にある。
以上より、点$\mathrm{P}$は黄色い平面と青い平面両方の上にある。
黄色い平面と青い平面は別の平面なので、点$\mathrm{P}$が両方の上にあるためには、図Dのように2平面の交線上になければならない。
黄色い平面と青い平面の交線は 直線$\mathrm{CF}$なので、点$\mathrm{P}$は$\mathrm{CF}$上にある。
つまり、$\mathrm{CF}$は 点$\mathrm{P}$を通る。
言いかえると、$\mathrm{CF}$も $\mathrm{AD}$と$\mathrm{BE}$の交点を通る。
したがって、3直線$\mathrm{AD}$,$\mathrm{BE}$,$\mathrm{CF}$は1点で交わる。
(2)
与えられた辺の長さを書き込むと、図Eができる。
ポイントは、五面体$\mathrm{ABC}-\mathrm{DEF}$が球に内接すること。
このことから、五面体の各面は円に内接していることが分かる。
これを使って問題を解く。
(i)
五面体の面$\mathrm{ABED}$(図Eの紫の面)は円に内接する。
この面だけ取りだすと、図Fのようになっている。
図Fで、
$\angle \mathrm{PAB}+\angle \mathrm{BAD}=180^{\circ}$
紫の四角形は円に内接するから、
$\qquad \angle \mathrm{BED}+\angle \mathrm{BAD}=180^{\circ}$
なので、
$\angle \mathrm{PAB}=\angle \mathrm{BED}$
だ。
よって、
△$\mathrm{PAB}$∽△$\mathrm{PED}$
であり、相似比は
$$
\begin{align}
\mathrm{AB}:\mathrm{ED}&=3:9\\
&=1:3
\end{align}
$$
である。
解答ウ:3
したがって、
$\mathrm{PA}:\mathrm{PE}=1:3$
より
$$
\begin{align}
3\mathrm{PA}&=\mathrm{PE}\\
&=\mathrm{PB}+11\class{tex_formula}{式A}
\end{align}
$$
解答エ:1, オ:1
$\mathrm{PB}:\mathrm{PD}=1:3$
より
$$
\begin{align}
3\mathrm{PB}&=\mathrm{PD}\\
&=\mathrm{PA}+7\class{tex_formula}{式B}
\end{align}
$$
解答カ:7
とかける。
式A,式Bの連立方程式を解くと、$\mathrm{PA}$,$\mathrm{PB}$が分かる。
式Aを
$\mathrm{PB}=3\mathrm{PA}-11$式A'
と変形して式Bに代入すると、
$3(3\mathrm{PA}-11)=\mathrm{PA}+7$
となる。
これを計算して、
$9\mathrm{PA}-33=\mathrm{PA}+7$
$8\mathrm{PA}=40$
$\mathrm{PA}=5$
解答キ:5
これを式A'に代入して、
$$
\begin{align}
\mathrm{PB}&=3\cdot 5-11\\
&=4
\end{align}
$$
解答ク:4
である。
(ii)
五面体の面$\mathrm{BCFE}$(図Eの青い面)も円に内接する。
この面だけ取りだすと、図Gのようになっている。
図Gの直線$\mathrm{PF}$,直線$\mathrm{PE}$に方べきの定理を使うと、
$\mathrm{PC}\cdot \mathrm{PF}=\mathrm{PB}\cdot \mathrm{PE}$
とかける。
これにそれぞれの値を代入すると、
$\mathrm{PC}(\mathrm{PC}+17)=4(4+11)$
$\mathrm{PC}^{2}+17\mathrm{PC}=60$
となって、二次方程式
$\mathrm{PC}^{2}+17\mathrm{PC}-60=0$
ができる。
これを解くと
$(\mathrm{PC}-3)(\mathrm{PC}+20)=0$
より
$\mathrm{PC}=3$,$-20$
となるけど、負の値は不適なので
$\mathrm{PC}=3$
だ。
解答ケ:3
さらに、(i)と同様に考えると、
△$\mathrm{PFE}$∽△$\mathrm{PBC}$
なので
$\mathrm{EF}:\mathrm{CB}=\mathrm{PE}:\mathrm{PC}$
とかける。
これにそれぞれの値を代入すると、
$$
\begin{align}
\mathrm{EF}:3&=4+11:3\\
&=5:1\\
\end{align}
$$
より
$\mathrm{EF}=15$
となる。
解答コ:1, サ:5
また、面$\mathrm{ACFD}$で同様に考えると、
△$\mathrm{PFD}$∽△$\mathrm{PAC}$
なので、
$\mathrm{DF}:\mathrm{CA}=\mathrm{PD}:\mathrm{PC}$
とかける。
これにそれぞれの値を代入して、
$$
\begin{align}
\mathrm{DF}:3&=5+7:3\\
&=4:1
\end{align}
$$
$\mathrm{DF}=12$
である。
解答シ:1, ス:2
(iii)
以上より
$\left\{\begin{array}{l}
\mathrm{PD}=5+7=12\\
\mathrm{PE}=4+11=15\\
\mathrm{PF}=3+17=20\\
\mathrm{DF}=12\\
\mathrm{EF}=15
\end{array}\right.$
だから、図形は図Iのようになる。
図Iの
△$\mathrm{DEP}$について、
$$ \begin{align} \mathrm{DE}:\mathrm{DP}:\mathrm{EP}&=9:12:15\\ &=3:4:5 \end{align} $$ なので、△$\mathrm{DEP}$は$\angle \mathrm{PDE}=90^{\circ}$の直角三角形だ。
なので、図中の
オレンジの角は直角
である。
△$\mathrm{DEF}$について、
$$ \begin{align} \mathrm{DE}:\mathrm{DF}:\mathrm{EF}&=9:12:15\\ &=3:4:5 \end{align} $$ なので、△$\mathrm{DEF}$は$\angle \mathrm{EDF}=90^{\circ}$の直角三角形だ。
なので、図中の
グレーの角は直角
である。
△$\mathrm{DFP}$について、
$$
\begin{align}
\mathrm{DF}^{2}+\mathrm{DP}^{2}&=12^{2}+12^{2}\\
&=4^{2}\cdot 3^{2}\cdot 2\\
&=4^{2}\cdot 18
\end{align}
$$
$$
\begin{align}
\mathrm{FP}^{2}&=20^{2}\\
&=4^{2}\cdot 5^{2}\\
&=4^{2}\cdot 25
\end{align}
$$
より
$\mathrm{PF}^{2} \gt \mathrm{PD}^{2}+\mathrm{DF}^{2}$
だ。
なので、図中の
緑の角は鈍角
である。
したがって、図形を図Iの青い矢印の方向から見ると、図Jのような状態だ。
図Jより、
平面$\mathrm{ABED}$(図Jの紫の平面)と平面$\mathrm{DEF}$(黄緑の平面)について、
なす角(緑の角)が鈍角なので、ふたつの平面は垂直じゃない。
直線$\mathrm{DE}$(青い直線)と平面$\mathrm{ACFD}$(黄色い平面)について、
青い直線は、黄色い平面上の交わる2直線($\mathrm{AD}$と$\mathrm{DF}$)に垂直だ。
なので、青い直線は黄色い平面に垂直である。
直線$\mathrm{AC}$(オレンジの直線)と直線$\mathrm{DE}$(青い直線)について、
青い直線⊥黄色い平面$\Rightarrow$青い直線⊥黄色い平面上の直線
なので、オレンジの直線と青い直線は垂直である。
よって、解答群のうち正しいものは
④
だ。
解答セ:4