大学入学共通テスト 2025年(令和7年) 本試 数学ⅠA 第2問 [1] 解説

(1)

まず、$C_{1}$の式から。

問題文の指示に従って、$C_{1}$の式を
$y=ax^{2}+bx+c$式A
とおく。

仮定1より $C_{1}$は$(0,1)$を通るので、式Aに$(0,1)$を代入すると
$c=1$
である。

解答ア:1


復習

二次関数の式の表し方は3通りあって、状況に応じて使い分けるんだった。
$y=a(x-p)^{2}+q$式B
放物線の頂点が$(p,\ q)$
$y=a(x-\alpha)(x-\beta)$式C
放物線と$x$軸との交点の$x$座標が $\alpha$,$\beta$
$y=ax^{2}+bx+c$
頂点も$x$軸との交点も分からないとき。
この式を使うと計算が面倒になりやすい。

この問題では$C_{1}$と$x$軸の交点の座標が分かっているので、復習の式Cを使う。

$C_{1}$は2点
$\left(-\dfrac{5}{2},\ 0\right)$,$\left(\dfrac{1}{2},\ 0\right)$
で$x$軸と交わるので、式Cより、$C_{1}$の式は
$y=a\left(x+\dfrac{5}{2}\right)\left(x-\dfrac{1}{2}\right)$
とかける。

これを展開すると
$$ \begin{align} y&=a\left(x^{2}+2x-\dfrac{5}{4}\right)\\ &=ax^{2}+2ax \textcolor{red}{-\dfrac{5}{4}a} \class{tex_formula}{式D} \end{align} $$ だけど、より 赤い部分は$1$なので、
$-\dfrac{5}{4}a=1$
$a=-\dfrac{4}{5}$
だ。

これを式Dに代入して、$C_{1}$の式は
$y=-\dfrac{4}{5}x^{2}-\dfrac{8}{5}x+1$
である。

解答イ:4, ウ:5, エ:8, オ:5

イ~オの別解

問題文中に式Aが出てくるから、式Aの$a$,$b$を求める方法で解いてしまう人が多いかもしれない。
その場合は次のような作業になる。
だけど、計算がややこしくなるし、この方法はおすすめじゃない。
放物線と$x$軸との交点の座標が分かっているときは、復習の式Cを使おう。

より、式Aは
$y=ax^{2}+bx+1$式A'
となる。

$C_{1}$は$\mathrm{P}_{1}$ $\left(-\dfrac{5}{2},\ 0\right)$を通るので、式A'より
$\left(-\dfrac{5}{2}\right)^{2}a-\dfrac{5}{2}b+1=0$
とかける。

これを計算すると
$\dfrac{25}{4}a-\dfrac{5}{2}b+1=0$
$25a-10b+4=0$式E
と表せる。

$C_{1}$は$\left(\dfrac{1}{2},\ 0\right)$を通るので、式A'より
$\left(\dfrac{1}{2}\right)^{2}a+\dfrac{1}{2}b+1=0$
とかける。

これを計算すると
$\dfrac{1}{4}a+\dfrac{1}{2}b+1=0$
$a+2b+4=0$式F
と表せる。


式Eと式Fの連立方程式を解いて、$a$と$b$を求める。

式Eと式F$\times 5$を辺々たすと、

$25a$ $-10b$ $+4$ $=0$
$+)$ $5a$ $+10b$ $+20$ $=0$
$30a$ $+24$ $=0$

より
$a=-\dfrac{24}{30}=-\dfrac{4}{5}$
となる。

これを式Eに代入して、$b$は
$-\dfrac{4}{5}\cdot 25-10b+4=0$
$-20-10b+4=0$
$10b=-16$
$b=-\dfrac{16}{10}=-\dfrac{8}{5}$
だ。

この$a$,$b$を式A'に代入して、$C_{1}$の式は
$y=-\dfrac{4}{5}x^{2}-\dfrac{8}{5}x+1$
である。

解答イ:4, ウ:5, エ:8, オ:5

アドバイス

次は$C_{1}$の頂点の$y$座標だ。
間違えても$C_{1}$の式を平方完成しようなどと考えてはいけない。

$C_{1}$の軸は、$C_{1}$と$x$軸との2つの交点のちょうど真ん中を通る。
なので、その$x$座標は
$\dfrac{-\cfrac{5}{2}+\cfrac{1}{2}}{2}=-1$
だ。

これが頂点の$x$座標にあたる。

この部分の別解

復習

二次関数
$y=ax^{2}+bx+c$
の頂点の$x$座標は
$\dfrac{-b}{2a}$

復習より、$C_{1}$の頂点の$x$座標は、
$\dfrac{\cfrac{8}{5}}{2\cdot\left(-\cfrac{4}{5}\right)}=-1$
である。

よって、頂点の$y$座標は $C_{1}$の式に$x=-1$を代入した
$$ \begin{align} y&=-\dfrac{4}{5}(-1)^{2}-\dfrac{8}{5}(-1)+1\\ &=-\dfrac{4}{5}+\dfrac{8}{5}+\dfrac{5}{5}\\ &=\dfrac{9}{5}\class{tex_formula}{式G} \end{align} $$ である。

解答カ:9, キ:5


$C_{1}$と$C_{3}$は$y$軸に関して対称だから、2つのグラフの頂点を通る放物線$C_{2}$も$y$軸に関して対称である。
よって、$C_{2}$と$x$軸との交点の一方が 仮定2のように $\left(\dfrac{3}{2},\ 0\right)$ならば、もう一方は$\left(-\dfrac{3}{2},\ 0\right)$だ。

このことから、$C_{2}$の式は、$\alpha$を実数として
$y=\alpha\left(x-\dfrac{3}{2}\right)\left(x+\dfrac{3}{2}\right)$式H
とかける。

これが$C_{1}$の頂点$\left(-1,\ \dfrac{9}{5}\right)$を通るので、
$\alpha\left(-1-\dfrac{3}{2}\right)\left(-1+\dfrac{3}{2}\right)=\dfrac{9}{5}$
より

途中式 $-\dfrac{5}{2}\cdot\dfrac{1}{2}\alpha=\dfrac{9}{5}$
$\alpha=\dfrac{9}{5}\left(-\dfrac{2}{5}\cdot\dfrac{2}{1}\right)$
なので
$\alpha=-\dfrac{9\cdot 2^{2}}{25}$
となる。

これを式Hに代入すると、$C_{2}$の式は

途中式 $$ \begin{align} y&=-\dfrac{9\cdot 2^{2}}{25}\left(x-\dfrac{3}{2}\right)\left(x+\dfrac{3}{2}\right)\\ &=-\dfrac{9\cdot 2^{2}}{25}x^{2}-\dfrac{9\cdot \cancel{2^{2}}}{25}\cdot\left(-\dfrac{3^{2}}{\cancel{2^{2}}}\right)\\ &=-\dfrac{9\cdot 2^{2}}{25}x^{2}+\dfrac{9\cdot 3^{2}}{25} \end{align} $$ なので
$y=-\dfrac{36}{25}x^{2}+\dfrac{81}{25}$
である。

したがって、$C_{2}$の頂点の$y$座標は
$\dfrac{81}{25}$式I
だ。

解答ク:8, ケ:1, コ:2, サ:5


以上より、大きな噴水の高さは、小さな噴水の高さの
$\dfrac{\text{式I}}{\text{式G}}=\dfrac{\cfrac{81}{25}}{\cfrac{9}{5}}=\dfrac{81}{25}\cdot\dfrac{5}{9}=\dfrac{9}{5}=1.8$
倍だ。

よって、選択肢のうち適当なものは

である。

解答シ:0

(2)

仮定2'より、$C_{2}'$は
$C_{1}$の頂点$\left(-1,\ \dfrac{9}{5}\right)$を通る 頂点の座標が$(0,\ 5)$ である放物線だ。

この$C_{2}'$の式をつくる。
頂点の座標が分かっているので、(1)の復習の式Bを使おう。

式Bより、$\beta$を実数として、$C_{2}'$の式は
$$ \begin{align} y&=\beta(x-0)^{2}+5\\ &=\beta x^{2}+5\class{tex_formula}{式J} \end{align} $$ とかける。

これが$C_{1}$の頂点を通るから、式Jに$\left(-1,\ \dfrac{9}{5}\right)$を代入して計算すると、
$\beta(-1)^{2}+5=\dfrac{9}{5}$
$\beta=\dfrac{9}{5}-5=-\dfrac{16}{5}$
だ。

これを式Jに代入すると、$C_{2}'$の式は
$y=-\dfrac{16}{5}x^{2}+5$式J'
であることが分かる。


今問われているのは$\mathrm{P}_{2}'$の$x$座標、つまり$C_{2}'$と$x$軸の交点の座標だ。
なので、式J'に$y=0$を代入して$x$を求める。

$-\dfrac{16}{5}x^{2}+5=0$
$x^{2}=\dfrac{5}{\cfrac{16}{5}}=\dfrac{5^{2}}{16}$
$x=\pm\dfrac{5}{4}$
だけど、仮定2'より $\mathrm{P}_{2}'$の$x$座標は正なので、
$x=\dfrac{5}{4}$
である。

以上より、$\mathrm{P}_{2}$と$\mathrm{P}_{2}'$の$x$座標は

$\mathrm{P}_{2}$:$\cfrac{3}{2}$$\mathrm{P}_{2}'$:$\cfrac{5}{4}$

であることが分かった。

$\mathrm{P}_{2}'$の$x$座標から$\mathrm{P}_{2}$の$x$座標を引くと
$\dfrac{5}{4}-\dfrac{3}{2}=\dfrac{5-6}{4}=-\dfrac{1}{4}$
となるから、
$\mathrm{P}_{2}'$は$\mathrm{P}_{2}$を$x$軸方向に$-\dfrac{1}{4}$平行移動した点 だ。

言いかえると、
$\mathrm{P}_{2}'$は$\mathrm{P}_{2}$より$\dfrac{1}{4}$だけ$\mathrm{P}_{1}$の方にある ことになる。

解答ス:1, セ:4, ソ:0