単元に分類できないトピック : 複数単元を含むもの グラフの描き方(2)
はじめに
このページでは、グラフを描く作業の中での数学的じゃない部分の説明をする。
ぶっちゃけ、鉛筆の動かし方(笑)だ。
このサイトのあちこちに書いてあることだけど、数学の問題を解くとき、頭の中で解いてはいけない。
必ず図を描き、グラフを描き、表を書いて目で見て考える。
実際、問題が解けなくて質問に来た生徒に 図を描いてあげるだけで「分かった」って言って帰って行くことも多い。
目で見える形にできれば、問題は半分解けたも同然なのだ。
とは言うものの、図やグラフを上手に描くのは難しい。
美しい図やグラフを描く必要はないんだけれど、あんまりゆがんでいると つじつまが合わなくなったり、イメージがつかみにくかったりする。
というわけで、それっぽい図が描けるような鉛筆の動かし方だ。
二次関数のグラフの描き方
例題
頂点が$(2,-1)$で、$y=3$で$y$軸と交わるような二次関数のグラフを描きなさい。
例えば放物線のグラフの場合、上手に描けないって訴える生徒がよく作るのは、図Aのようなグラフだ。
コンピューターが描いた正確なグラフは図Bなんだけど、それと比べるとかなり歪んでいる。線がスムーズじゃなくて、折れ線っぽい。
これを上手に描く方法を考えてみようというわけだ。
最初に、なぜ図Aみたいなグラフになるのか考えてみよう。
生徒の様子を見ていると、大体次のような手順で描いているようだ。
1.$x$軸と$y$軸を描く
2.頂点の$(2,-1)$と$y$切片の$(0,3)$に印をつける
3.$(2,-1)$と$(0,3)$を通るように放物線を描く
恐らく、問題なのは作業の順番だ。
先に点があって、それを通るように放物線を引くから、どうしても折れ線っぽくなる。
ということは、放物線を引いてから点をつくればいいのではないか。
つまり、図Cのように、先に放物線を描いて、後から軸と目盛を書き込めばよい。
手順はアニメーションで確認してもらいたい。
おっと。図Cの放物線はフリーハンドで描いたんだけど、うっかり上手に描けすぎてしまった。
とは言うものの、どうしても点が先にあって後から放物線を描かなきゃいけないこともある。
そういうときは、一筆で放物線を描くのじゃなくて、図Dのように頂点の左と右の二つに分けて描くのがお勧めだ。
そのとき、コツは、頂点から線を引き始めること。描き始めは線の向きが水平方向になるように気をつけるとよい。
三次関数のグラフの描き方
例題
極値が$(0,3)$と$(2,-1)$であるような三次関数のグラフを描きなさい。
三次関数でも、二次関数のときと同じように、先に関数のグラフを描いて、後から軸や目盛を書き込んだ方が描きやすい。
この場合も、点が先にあって後から曲線を描かなきゃいけないこともある。
今回も一筆で曲線を描くのじゃなくて、図Fのように分けて描くのがお勧めだ。
そのとき、コツは極値点から線を引き始めること。描き始めはやはり線の向きが水平方向になるように気をつけるとよい。
また、三次関数のグラフは、必ず2つの極値点の中点を通る。もっと言うと、その中点に関してグラフは点対称だ。
なので、中点に目印をつけて、その目印まで線を引く。
以上の方法でグラフを描くと、図Fのようになる。
円の描き方
例題
中心が$(2,-1)$で、半径が$3$の円を描きなさい。
円の場合も、これまで通り 先に円を描いて、後から軸や目盛を書き込む。
最後は、点が先にあって後から円を描かなきゃいけないとき。
不思議なことに、実線で描くよりも 点線の方が上手に描けたりする。私だけかも知れないけれど。
目印として、中心から半径分離れたところに何か所かマークをつけて、あとは点線で結ぶ。
すると、図Hのような描き方になる。
座標平面じゃないときも、考え方は同じだ。
図形の問題のとき、例えば三角形の外接円や内接円のときも、点線の方が描きやすかったりする。
おわりに
以上、図やグラフと言うよりは絵の描き方の解説をした。
繰り返しになるけれど、図やグラフを美しく描く必要は全くない。
私の方法がすべての人にとって良い方法とは限らないし、上の方法をやってみて上手く描けなくても心配しなくていい。
一番大切なのは、自分にとって分かりやすい図やグラフを、必要最低限のクオリティーでいいから素早く作ることなのだ。