数学A : 場合の数と確率 多角形の頂点を移動する点
例題
正方形ABCDがあり、頂点Aにコインが置いてある。さいころを投げ、出た目の数だけコイン移動させる。このとき、コインは頂点A→B→C→D→Aの順に移動するものとする。
(1)さいころを1回投げた後、コインが頂点Aにもどる確率を求めなさい。
(2)さいころを2回投げた後、コインがはじめて頂点Aにもどる確率を求めなさい。
(3)さいころを3回投げた後、コインがはじめて頂点Aにもどる確率を求めなさい。
(類:センター試験2007年本試,1990年追試)
アドバイス
「場合の数と確率」の単元の問題は、教科書通りのテクニックだけで解ける問題よりも、自分でパターンを見つけて解く問題が目立つ。全体的に難易度は高くないのだが、自分でパターンを見つける作業に慣れてないと、意外に時間がかかったりする。
なので、様々な問題にあたって慣れておくことをお薦めする。
例題の、点が多角形の頂点を移動してゆくタイプの問題は、回数は少ないけれど過去に何度か出題されている。ここ10年ほど出ていないので、そろそろ出題されるかもしれない。念のために復習しておこう。
解き方はいろいろあるけれど、目で見て考える方がミスが少ない。そのため、ここでは表を使う方法を解説する。
(1)
コインは頂点Aからスタートして、図Aのように移動する。
さいころをふって出た目の数だけコインは矢印方向に進むので、さいころの目と移動後の頂点は表Bのような関係になる。
出た目 | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ |
---|---|---|---|---|---|---|
頂点 | B | C | D | A | B | C |
よって、さいころを1回投げた後にコインが頂点Aにもどる確率は
$\displaystyle \frac{1}{6}$
である。
解答$\displaystyle \frac{1}{6}$
(2)
さいころを2回投げる問題なので、表を書こう。
1回目 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
$1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ | ||
2回目 | $1$ | C | D | A | B | C | D |
$2$ | D | A | B | C | D | A | |
$3$ | A | B | C | D | A | B | |
$4$ | B | C | D | A | B | C | |
$5$ | C | D | A | B | C | D | |
$6$ | D | A | B | C | D | A |
2回投げた後にコインがはじめて頂点Aにもどる確率なので、表Cの青い部分は不適。
青い部分以外のAは、赤い部分の8マス。
マスは全部で$36$個で、どのマスも同じ確率で起こるので、求める確率は
$\displaystyle \frac{8}{36}=\frac{2}{9}$
である。
解答$\displaystyle \frac{2}{9}$
(3)
さいころ2回は表Cのように簡単に表が書けるけど、3回は書きにくい。なので、方法をちょっと考えないといけない。
まず、(2)の表Cから、さいころを2回投げた後のコインの位置を考えてみよう。
3回投げた後にコインがはじめて頂点Aにもどる確率を求めるので、1回投げた後にAにもどる青いマスと、2回投げた後にAにもどる赤いマスは不適。
白いマスだけを考えると、
Bが$6$マス
Cが$7$マス
Dが$9$マス
ある。
つまり、コインが一度も頂点Aに止まらない場合だけを考えると、さいころを2回投げた後のコインの位置と確率は表Dのようになる。
2回投げた後の位置 | |||
---|---|---|---|
B | C | D | |
確率 | $\displaystyle \frac{6}{36}$ | $\displaystyle \frac{7}{36}$ | $\displaystyle \frac{9}{36}$ |
さらに、さいころを投げたときに出た目とコインの動きをまとめると、
$1$の目が出ると、コインは1つ次の頂点に進む
$2$が出ると、2つ進む
$3$が出ると、3つ進む
$4$が出ると、一周回って同じ頂点にもどる
$5$が出ると、一周回って1つ進む
$6$が出ると、一周回って2つ進む
である。これをコインの動きに注目して確率にすると、表Eができる。
コインの動き | 確率 |
---|---|
動かない | $\displaystyle \frac{1}{6}$ |
1つ進む | $\displaystyle \frac{2}{6}$ |
2つ進む | $\displaystyle \frac{2}{6}$ |
3つ進む | $\displaystyle \frac{1}{6}$ |
表Dと表Eから、さいころを3回投げた後のコインの位置は、表Fのようになる。
2回投げた後の位置 | |||||
---|---|---|---|---|---|
B | C | D | |||
$\displaystyle \frac{6}{36}$ | $\displaystyle \frac{7}{36}$ | $\displaystyle \frac{9}{36}$ | |||
3回目 | 動かない | $\displaystyle \frac{1}{6}$ | B | C | D |
1つ進む | $\displaystyle \frac{2}{6}$ | C | D | A | |
2つ進む | $\displaystyle \frac{2}{6}$ | D | A | B | |
3つ進む | $\displaystyle \frac{1}{6}$ | A | B | C |
表Fより、3回投げた後にコインがはじめて頂点Aにもどる確率は、
$\displaystyle \frac{6}{36}\cdot \frac{1}{6}$$+$$\displaystyle \frac{7}{36}\cdot\frac{2}{6}$$+$$\displaystyle \frac{9}{36}\cdot\frac{2}{6}$
$=\displaystyle \frac{3}{36\cdot 3}+\frac{7}{36\cdot 3}+\frac{9}{36\cdot 3}$
$=\displaystyle \frac{19}{36\cdot 3}$
$=\displaystyle \frac{19}{108}$
である。
解答$\displaystyle \frac{19}{108}$
アドバイス
さいころを4回投げた後にコインがはじめて頂点Aにもどる確率も、これと同様に求められる。
5回以上投げた後の確率も求められるけど、回数が多くなると上の方法では計算が大変なので、漸化式を作って数列で解く方が楽。でも、センター試験ではそんな問題はきっと出ない。