数学Ⅰ : 図形と計量 直角三角形と三角比
例題
また、線分
このとき、以下の値を求めなさい。
(1) 円
(2)
(3)
(4)
(5)
(センター試験 2010年度本試 改)
アドバイス
センター試験では、時々「簡単すぎて解けない」っていうことが起こる。
例えば、次の例を見てもらいたい。
例
(i)
(ii)
(i) の三角形
なので、
である。
また、(ii) の三角形
なので、
である。
目まいがするほど基本的で簡単な問題だけど、実はセンター試験には時々このタイプの問題が出る。で、試験本番でテンパってたりすると、簡単すぎて解き方に気づかなかったりする。冗談みたいだけど本当の話だ。
個人的に印象に残っているのが、2010年度本試・数IAの第3問だ。当時の私の生徒にも、簡単すぎて解けなかったり、時間を取られたりした受験生がいた。
例題に載せたのは、その問題から必要な部分を抜き出したものだ。図を描きながら解いてみてほしい。
(1)
内接円の半径を
(
しかない。
三角形
なので、式Aは
となる。
これを解いて、
である。
解答
別解
ちょっと手間はかかるけど、次のような方法でも解ける。
円
このとき、
よって、円
より
より
は
より
と表せる。
これに式B,式Cを代入して、
である。
解答
(2)
図Eの赤い直角三角形に三平方の定理を使って、
青い四角形は正方形なので、
よって、
である。
解答
(3)
ちょっとややこしくなってきたので、これまでに分かったことを図Fに整理した。
点
この状態で
図中の赤い線に方べきの定理を使って、
より、
となる。
解答
(4)
(3)で分かったことを書き込むと図Gができる。
図Gを見ると、△
であることが分かる。
よって、
解答
(5)
以上から図Hができる。
問われているのは、緑の角のタンジェントだ。
直角三角形
である。
解答
アドバイス
ポイントは(5)の
センター試験本番で精神的に一杯一杯のとき、問題の途中でこんな問いを出されると、簡単すぎて気づかない受験生が意外にいる。
問題を解いているうちに、頭が難しく考える方に行ってしまって、単純なことが見えなくなるのだろう。
このサイトのあちこちに書いてあるけど、センター試験にはひどく難しい問題は出ない。普通に受験勉強をしてきた生徒にとっては、基本問題ばかりだ。
もし解けなければ、それは問題が難しいのではなくて、何かを見落としたりミスをしたりしている可能性が高い。
問題を解いていてつまづいても、慌ててはいけない。
落ち着いて、上を見る。つまり、今まで自分がどう解いてきたかを確認する。
今回の問題であれば、
これを用いて図Hの緑の角のタンジェントを求めると考えれば、赤い三角形に気づきやすくなる。
上を見ても分からなければ、下を見る。つまり、この先何をしなければいけないかを考える。
それでも分からなければ、とりあえずその問題は置いておいて、他の問題に行こう。
他の問題を解いているうちに思考がリセットされて、見落としていたものが見えるようになることも多い。