数学Ⅰ : 図形と計量 対角線と四角形の面積

例題

(1) 図のような四角形ABCDにおいて、AC=5BD=4ACBDのなす角が45のとき、この四角形の面積を求めなさい。

対角線と四角形の面積 問題図

(2) 図のような四角形ABCDにおいて、AC=4BD=2ACBDの延長とのなす角が60のとき、この四角形の面積を求めなさい。

対角線と四角形の面積 問題図

(1)

アドバイス

対角線の長さと交わる角度から、四角形の面積を求める問題。
一発では求められないので、図Aで色分けしたような4つの三角形に分けて考えよう。
三角形の面積の公式はいくつかあるけど、ここでは

公式

対角線と四角形の面積 復習図

右図のような三角形の面積をSとするとき、

S=12absinθ である。

を使う。


図A
対角線と四角形の面積 解説図A

説明のために、図Aのように、
ふたつの対角線の交点を点O,なす角をθ AOBOCODOを、それぞれabcd とおく。

このとき、
緑の三角形の面積は、
12absinθ
青い三角形の面積は、
12cdsinθ
とかける。

また、
sin(180θ)=sinθ
なので、
オレンジの三角形の面積は、
12bcsin(180θ)
=12bcsinθ
黄色い三角形の面積は、
12adsin(180θ)
=12adsinθ
とかける。

この4つの三角形の面積を合わせて、四角形ABCDの面積Sは、
S=12absinθ+12cdsinθ
            +12bcsinθ+12adsinθ式A
となる。

式Aを因数分解しよう。
各項を共通因数の12sinθでくくって、
S=12(ab+bc+cd+ad)sinθ
( )の中をさらに因数分解して、
S=12{b(a+c)+d(c+a)}sinθ
S=12(a+c)(b+d)sinθ式A'
だけど、
a+c=AC b+d=BD なので、式A'は
S=12ACBDsinθ式A''
と表せる。


以上より、

公式

四角形の2本の対角線の長さをa,b 対角線の交わる角度をθ としたとき、四角形の面積Sは、
S=12absinθ式B
である。

ことが分かる。

ということで、問題を解こう。

式Bより、問題の四角形の面積Sは、
S=1254sin45
S=125412
S=52
である。

解答52

(2)

アドバイス

式Bの公式は、(2)のような凹四角形(ひとつの角が180より大きい四角形)でも使えるけど、念のために確認しておこう。

図B
対角線と四角形の面積 解説図B

説明のために、図Bのように
対角線BDの延長と対角線ACの交点を点O,なす角をθ AOBDCODOを、それぞれabcd とおく。

このとき、
緑の三角形の面積は、
12a(b+d)sinθ
オレンジの三角形の面積は、
12c(b+d)sin(180θ)
=12c(b+d)sinθ
黄色い三角形の面積は、
12adsinθ
青い三角形の面積は、
12cdsin(180θ)
=12cdsinθ
なので、四角形ABCDの面積Sは、
S=12a(b+d)sinθ+12c(b+d)sinθ
            12adsinθ12cdsinθ式C
となる。

式Cをさっきと同じように因数分解する。
各項を共通因数でくくって、
S=12{a(b+d)+c(b+d)adcd}sinθ
{ }の中をさらに因数分解して、
S=12{(a+c)(b+d)(a+c)d}sinθ
S=12(a+c)(b+dd)sinθ
S=12(a+c)bsinθ式C'
となるけど、
a+c=AC b=BD なので、式C'は
S=12ACBDsinθ
となって、式A''と同じになった。

以上から、式Bの公式は凹四角形でも使えることが分かる。

ということで、問題を解こう。

式Bより、問題の四角形の面積Sは、
S=1242sin60
S=124232
S=23
である。

解答23