数学Ⅱ : 微分・積分の考え 高次方程式の実数解の個数(2)
例題
三次方程式$x^{3}-3x^{2}-9x+5-a=0$の異なる実数解の個数を求めなさい。
アドバイス
よく見るタイプの問題だけど、決まった解き方があるので憶えておこう。
1.方程式を、文字の部分の式と文字がない部分の式に分ける。
2.できた二つの式を、$y=$とおいてグラフを描く。
3.二つのグラフの交点の数を求める。
の3ステップで解く。
解説
方程式を変形して、
$x^{3}-3x^{2}-9x+5=a$式A
より、右辺と左辺をそれぞれ$y=$とおいて、
$\left\{\begin{array}{l}
y=x^{3}-3x^{2}-9x+5\\
y=a
\end{array}\right.$式B
の2つの式に分ける。
式Bを連立方程式として解く場合、一方の$y$を他方に代入すると、式Aにもどる。
ということは、式Aは、式Bを連立方程式として解いている途中だと考えられる。
なので、式Aの解の個数は、式Bの連立方程式の解の個数と等しい。
ということで、式Bの連立方程式の解の個数を調べよう。
連立方程式の解はグラフの共有点なので、共有点の数を調べる。
そのためには、まずグラフを描かないといけない。
$y=x^{3}-3x^{2}-9x+5$を微分して、
$y'=3x^{2}-6x-9$
$y'$$=3(x^{2}-2x-3)$
$y'$$=3(x+1)(x-3)$
より、$x=-1,3$のとき$y'=0$である。
以上から増減表を書くと、
$x$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ | $3$ | $\cdots$ |
---|---|---|---|---|---|
$y'$ | $+$ | $0$ | - | $0$ | $+$ |
$y$ | $\nearrow$ | $10$ | $\searrow$ | $-22$ | $\nearrow$ |
となるので、グラフを描くと、
となる。
また、$y=a$のグラフは、$x$軸に平行で、図Bのような形になる。
以上より、$y=a$のグラフが図Aの緑の範囲にあるのは
$a \lt -22$または$10 \lt a$
のときで、二つのグラフは図Cのようになる。
図Cより、共有点の数は1つ。
よって、方程式の解は1つ。
$y=a$のグラフが図Aのオレンジ色の線に重なるのは
$a=-22$または$a=10$
のときで、二つのグラフは図Dのようになる。
図Dより、共有点の数は2つ。
よって、方程式の解は2つ。
$y=a$のグラフが図Aの青い範囲に入るのは
$-22 \lt a \lt 10$
のときで、二つのグラフは例えば図Eのようになる。
図Eより、共有点の数は3つ。
よって、方程式の解は3つ。
まとめると、方程式の異なる実数解の個数は、
$a \lt -22$または$10 \lt a$のとき、1個
$a=-22$または$a=10$のとき、2個
$-22 \lt a \lt 10$のとき、3個
である。
解答$a \lt -22$または$10 \lt a$のとき、1個
$a=-22$または$a=10$のとき、2個
$-22 \lt a \lt 10$のとき、3個