数学B : 統計的な推測 母比率の推定
例題
ある県で無作為に回答者を選んでアンケートを行った結果、
この県の全人口に占める猫好きの割合の、信頼度95%の信頼区間を求めよ。
公式から求める
公式
標本比率を
ただし、
信頼度95%のとき、
信頼度99%のとき、
例題の標本の大きさは
また、信頼度は
となる。
これを計算して、
となる。
解答
アドバイス
これでは原理がゼンゼン分からないので、以下に公式を使わない解法を説明した。
ただし、過程がちょっと複雑で面倒なので、センター試験本番では公式を使って解くことをおすすめする。
公式を使わない解法
前振り
分かりにくいけれど、この問題は反復試行だ。
例えば県民全体のちょうど40%が猫好きだった場合(つまり母比率が
一人目の回答者が猫好きの確率は
二人目の回答者が猫好きの確率も
三人目の回答者が猫好きの確率も
である。
これは、赤球が4個 白球が6個入っている袋の中から、球を1個取り出して、色を見て袋に戻す試行を繰り返す実験と同じ確率だ。
なので、この問題は反復試行の問題なのだ。
材料になる二項分布をつくる
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計 |
復習
確率
先に書いたように、これは反復試行の問題だ。なので、県民全体に占める猫好きの割合(母比率)を
以上より、
二項分布を正規分布で近似する
復習
で近似できる。
これをグラフにすると、図Bのようになる。
図中、緑の部分が平均値を中心とした
問題では信頼度
つまり、緑の範囲の下限を
緑の部分の面積が
標準正規分布表を見る
まず条件1から解決しよう。
緑の部分の面積が
標準正規分布表(こちらのページ)を見るんだけど、表に載っているのはグラフの真ん中より右の面積。
正規分布のグラフは左右対称なので、図Bの緑の面積の半分の
であることが分かる。
これをグラフに描くと、図Cができる。
正規分布の標準化
だけど、
図Bのグラフは、
平均値が
分散が
図Cのグラフは
平均値が
分散が
なので、そのまま比較はできない。
なので、図Bのグラフの正規分布を標準化して、図Cに合わせる。
復習
正規分布の標準化
正規分布
とすると、
式Bを使って条件2の各辺を標準化する。式が長くなるので、以下、標本の大きさの
これをグラフに描くと、図Dができる。
図Cと図Dは同じ
平均値が
と書き直せる。
あとは計算
式Dを変形して、母比率
途中式
式E
となる。
根号の中に
しかし、
なので、根号の中の
となる。式Aと同じになった。
あとはこれを計算して、
となる。
解答
余談
この部分の計算は、厳密には、式Dより、
両辺を2乗して、
分母を払って、
として、
もっと言うと、センター試験を解くだけなら、このページ最初の「公式から求める」方法が時間がかからないのでお薦めである。